経験したことのないキャプテン選考会議 1
間もなく3月の家庭婦人大会ということで、チームキャプテンを決めることになった。陽介は、大御所の川さんや三輪さんから、「陽ちゃん、永竹クラブの部長と会計とチームキャプテンを選考する時だけは、申し訳ないけど口を出さないでね!」と言われた。部長と会計とチームキャプテンは通常、年度ごとに更新しているとのこと。(どうやら3月決算らしい)しかし、チームキャプテンは、陽介が年度途中で監督になり『一年間で優勝させる』と言ってから初公式戦になるため、大御所とメンバーで相談した結果、年度内ではあるがあらためて決めることになったようである。
しかし、このキャプテン選考会議、陽介には全く経験したことのない決め方で決まって行った。それは、
一、選考会議会場が、練習後の体育館などではなく、『これからの時間』で使用している、混み合った中華料理屋であったこと。
二、選考、決定までのおよそ1時間30分、陽介は全く知らない人と相席の別席で、餃子とザーサイと生ビールだけあてがわれ、待たされたこと。(当然選考しているメンバーは、飲み食いしています)
三、およそ1時間30分時間をかけて選考した、チームキャプテンの選考理由が、試合のサーブ権を決めるジャンケンに強いからだということ。(当時のルールでは、サーブ権を決めるのにジャンケンが公式であった)
であった。
選考会議が終わり陽介が呼ばれると、混み合っているが故に、絶対にイスを置けないような隙間に無理矢理パイプ椅子をねじ込み、「はい、陽ちゃんはここ!」と北極グマに捕獲され、「生ビールの人ぉ~」と像アザラシが吠えた。陽介は「1時間30分も飲み食いして、また最初から始めるのかよ!」と思いながら、大御所の忠告も聞かず、チームキャプテン選考会議について物申した。