陽介とバレーボール 3
先輩達がアタックの練習をする時、陽介の恩師(監督)は、「打って来たアタックをワンバウンドで拾え!」と指示を出し、陽介はそれを忠実に実行できるように努力した。勿論それが出来れば皆と一緒に練習を出来るようになると信じて…。しかし10人くらいのメンバーが打ってくるボールをワンバウンドで拾うのは、ただでさえ大変な上に、打ってくるコースも皆なバラバラだ。それを一人で拾うのは極めて大変で、ダッシュしてボールを拾わなければならない。当然ながら体力もすぐになくなる。陽介は理不尽だと思ったが、皆なと一緒に練習が出来ることを夢見て一生懸命努力した。そしていつの日か、打ってくるボールのコースを読ことにより、ワンバウンドでボールを拾うことが出来るようになってきた。
後で恩師に聞いたのだが、およそバレーボールをやれるような体型(当時は典型的なデブ)をしていなかった陽介が、厳しいボール拾いで音を上げ、辞めると言い出すだろうと思っていたらしい。そのほうが本人のためだととの、親心だったと。
しかし陽介は続けた。おそらくその当時は、自分に対してというよりも、親友にに対しての思いだったかもしれない。なぜならその親友は、日曜日や祝日の練習日には陽介が一人で準備をして、その後一人で練習をしている姿を見て、少なからずその時間を一緒に練習をしてくれたからだ。親友はレギュラー。本当の練習が始まればレギュラーと一緒の時間練習をこなす。本当であれば体力を使いたくない時間だったと思う。
さて、ある時である。春季高校公式戦の1週間前に新2年生の先輩たちが突然大勢辞めた。何が理由だったかは定かではないが、結果としてバレーボール部は陽介を含め7人となった。陽介のやっていたバレーボールは6人制、一人ケガでもすれば棄権しないかぎり、陽介がコートに入らざるを得なくなる。さすがにその時、陽介の恩師は陽介をコートに入れ、恩師みずから陽介にボールを打ち、レシーブの練習をさせた。ただし、コートに入ったのは陽介一人で、恩師が正面に打って来たボールを、恩師にレシーブして返すという、単純なものだった。




