第33話 七人全員の協力
「タマ様が誘拐されたというのは本当か!?」
「ああ、しかも人魚の王子様が魔王様の目の前でタマ様をさらったらしい」
「何という事を・・・」
「おやおや・・魔王様の目の前で・・リオン王子はそんなに死に急ぎたかったんでしょうか・・」
アスモデウスとベルゼブブの知らせは各大陸の大罪たちにも届き、七つの大罪はベルゼブブの大陸へ集結した。
ルシファーとサタンが人魚一族の王子、リオンがしでかした所業に頭を抱える中、マモンだけ落ち着いていた。
「変な事を言うんじゃないマモン!!お前はタマ様が心配ではないのか!?」
「勿論心から心配していますし・・怒りを感じていますよルシファー・・。王子を見つけたら魔王様を差し置いて、王子を八つ裂きにしてしまうんじゃないかというくらい・・ね?」
マスクの下でにやりと笑うマモン。
背後にはどす黒いオーラを携えていた。
「・・・・お前が怒るなんて珍しいな・・」
「・・かもしれませんねサタン・・」
こいつが怒るなんて、何百年ぶりだろう・・サタンはそう思った。
「すべての責任は、私にあります・・・もしもの時は私の命にかえても・・」
レヴィアタンは覚悟を決めた顔をしていた。
人魚一族はレヴィアタンの部下にあたるからだろう。
「レヴィアタン、貴方の所為じゃないわよぉん・・」
「いいえアスモデウス・・私は気づいていたんです・・。タマ様と出会ってからリオンの様子がいつもと違う事に・・」
「違うって、どういう事ぉん?」
「上手くは言えないけど・・よく思いつめた顔をしていました・・」
レヴィアタンは思い出す。
人魚一族の王の城へ出向いた時、リオンが城から魔王の住む城の方角を見つめていた事を。
その眼差しが、どことなく切なかった事を。
「あの時に詳しく問いただしていれば・・!」
「・・・・後悔、しても・・仕方ない・・・・」
見ればいつもな雲の上で眠ってばかりのベルフェゴールが、地の上に降り立っていた。
その顔は普段の眠たげで気怠い顔とは全く違う、真剣な顔だった。
「ベルフェゴールが・・真面目な顔してる・・」
驚くベルゼブブだが、いつもなら両手に食べ物を持っている彼も今は何も持っていない。
それだけ、七つの大罪達全員が、タマの身を案じていた。
「海中は管轄外だけど・・海の生物たちに・・・俺達の魔力を分ければ・・タマ様を見つけられるはず・・」
七つの大罪達は顔を見合わせ、お互い頷き合った。
全員、ベルフェゴールの考えに反対しなかった。
「・・・・・・・・・ん・・・・・」
あれ・・?
私・・どうしたんだろう・・・?
「・・・・え、何ここ・・・・」
見た事のない風景が飛び込んできて慌てて起きた。
何か絵本とかで見た事ある、大きな貝に私いるんだけど!?
え、凄いファンシー。
「な、何なのここ?・・え、何このブレスレット?」
「紅玉サンゴでできたブレスレットだ」
「紅玉サンゴの・・」
ああ、以前、人魚さん達から貰ったサンゴの事か。
・・・って誰!?
「目が覚めたんだな」
「あ・・・・!」
確か・・このイケメンな人魚さんは・・人魚の王子様・・リオン・・さん?
そうだ・・私、この王子様に・・海の中に引きずり込まれて・・。
「こ、ここは・・・?」
「ここは、深い深い海の底・・・人魚の俺達や魔獣さえもめったに来ない場所・・・」
「う、海の中・・・?!」
でも息できてる・・!
あ、そうか、このサンゴのお陰かっ。
聞いた通りに普通に話もできるし・・便利だなこのサンゴ。
って感心してる場合じゃなかった!
「な、何で・・私、ここに・・・?」
「俺がつれてきた」
「っ!」
何で、と聞こうとしたら、リオンさんは私をこのファンシーな貝の寝床に抑えつけてきた。
リオンさんは凄い力で覆い被さってくる。
「・・・やはり、覚えてないんだな・・俺を・・」
「な・・に・・・?」
覚えてない?
何を?
「・・でも、この真珠の事は覚えているだろう?」
リオンさんは中指にはめてあった指輪を見せてきた。
綺麗な、薄ピンク色の真珠だ。
真珠・・・。
どこかで、見た事あるような・・。
・・・・・・・・・そうだ夢だ。
夢の中で見たんだこの真珠。
でもどうしてリオンさんが持ってるんだろう?
「・・・・・・・・・・・・あ・・・・」
頭の中で、シャボン玉が弾けたような音がした。
ぶわっと頭の中で、ある記憶が広がる。
それはあの夢。
子供の頃に体験した時のあの夢。
そうだ・・私は・・・。
「私・・リオンさんに・・・会ってる・・・・」
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