聖女さまと癖の強い息子たち
遅くなりましたがなんとかなった、かな。
新キャラが出るたび、名前で悩みます。
もう、一度しか出てないキャラの名前とか覚えてません。
絶対そのうち被ります。
ちゃんとメモしとかないとダメですね……。
「えーっと、つまり、この2人が協力者候補という事ですね。」
「……そう言うことになるな。」
おい王様、こっち見ろや。
「ん?父さん、このお嬢さんたちは?」
「お前のご所望の聖女さま御一行だが。」
「……。え?このツリ目の子が?……本物?」
「だから言っただろう、お前の理想の聖女様とはかけ離れとると。」
「うっさいわ!」
なんて失礼な親子なんだ。特に王様。
まぁ、正直、多少筋肉がついており、そこそこ引き締まった体と、ツリ目、濃い目の肌色を見ると、聖なる乙女感は薄いというのは自覚している。
しかしながら、あなたは聖なる乙女ですとか言われてもさ、特に必要なければ、それっぽい格好とかしなくない?
そもそも、つり目なのは仕方ないじゃん。生まれつきだよ。
まぁ、教会とかには、白髪の小柄な少女がローブをまとって祈りを捧げる姿なんかが描かれていたりするしね。
あと、僧侶風と言うよりは、罠師や剣士に近い軽めのアーマーを身につけているのも問題かも知れないが。
つーか、回復魔法使うのに服装とか何でもいいじゃん。
「もーちょい儚いイメージだったなー。」
私を見ながらキョトンとしている王子を、ぐいっと引っ張って下がらせると、騎士団長の息子が口を開いた。
「あー、聖女様、お初にお目にかかります。騎士団長の息子で、王子の側近兼護衛のジークハルトと申します。王子の無礼は、王子の首をもって償わせていただきたいと思います。どうかお許しください。」
「ちょ、真っ先に主人の首を差し出す護衛がどこにいるんだよ!!」
「あ、そうでした。つい、守る価値があるかどうかと疑問を持ってしまって。その辺は、結構重要かな、と。」
「いや、守れよ、俺、王子だからね?」
じゃれあってるようにも見えるが、ジークハルトの淡々とした口調と、笑わない口元を見ていると、マジでそのうちあっさり切り捨てるのでは無いかという気もする。
王様達も、なんでこんな奴を側近にしてるのやら。
「なんか、くせが強いと言うか、マイペース感が凄いですね。二人とも。良くも悪くも王族らしく無いと言うか。」
ぼそりと呟く。
オブラートに包めない失礼王子と、謝ってるのか謝ってないのかよく分からん護衛。
地雷だろ、こいつら。
「いやいやお恥ずかしい。厳しく育てたつもりが、何を間違えたのか。」
「うちは、甘やかしすぎたかな……。」
騎士団長と、王様はお互い顔を見合わせてため息をついた。
親子二代に渡って、多分仲がいいんだろうけど。
「えーっと、アレクシスさん、ジークハルトさん。私が聖女のティーナと言います。ご存知かと思いますが、私もゼルも魔族です。ハンナは両親ともに人間ですが、先祖に獣人がいたため先祖返りした特徴を持っています。
後、こちらの少女が古竜から預かっている娘さんで、ヒメといいます。」
とりあえずざっくりと自己紹介をする。
王子の方は多少のちゃらんぽらん感があるが、ジークハルトの方は性格以外は頼りになりそうだし。
というか、王子に対してが冷たすぎるだけかな。他の人に対しては少し愛想がない程度で、普通な気もする。
「ティーナちゃんね。OK、覚えた。イメージとは違うけど可愛いから問題ナッシング!ヨロシク!ハンナちゃんに、ヒメちゃん。他の子達も将来有望だね。えーっと、男はまぁいいや。」
まぁいいやってなんだよ。
私の前に手を差し出すと、握手を求めてくる。
特に問題はないので、私はそれに応じたが。
本当に、魔族に対して抵抗がないんだな。もっと蔑まれ、嫌われるもんだと思っていたけど。
「聖女様に対して、どれだけ無礼を重ねれば気がすむんだお前は。無能は黙ってろ。もしくは死ね。」
「ほんとお前は頭が固いなぁ。可愛いは正義って、賢者のじいちゃんも言ってたじゃねぇか。」
なんだよその汚れきったジジィ。
私たちの前に立ち、2人はワイワイと言い合いを続ける。
「親御さんたちは、これには突っ込まない方針なの?」
「いやはや、お恥ずかしい。昔は止めていたんですが、なんか見慣れてしまって。」
「王や王子に遠慮なく発言できる友人というのも、貴重な存在でしてなぁ。」
ふむ。
まぁ、いつもこんな感じなのね。
「貴方達が、協力してくれるというなら、私としてはお願いしたいところなのだけど、一応ね、一人でも充分なんだけど。何で、アレクシスさんは、王子なのにわざわざ、ついて来たいわけ?」
「なんでって。伝説の聖女、しかも美少女だとか!まぁ、思ってたのと違って、多少健康そうなタイプの美少女だけど。まぁ、そんな伝説と旅する機会とか、外せないでしょ?気分上がらないわけないって。ヒャッホーイって感じ?」
「すみません聖女様。このバカは、女に見境がなくて、ミーハーで。……。やはり処分しましょう。」
女に見境がないって……。
でもまぁ、うちにいるのは基本幼女だしな。危険はないだろ。
そんなことを思っていると、ゼルがずいっと前に出て言った。
「お嬢様に手を出したら、魔王様とうちの父が黙ってませんよ。」
「そこは俺が黙ってないとか言おうよ、嘘でもね?」
ジークハルトの主人への忠誠度の低さはなかなかのものだが、護衛のやる気のなさでは、ゼルと同レベルか。
「恋に障害はつきものさ。ね、ティーナちゃん。」
「もう恋仲扱い。人間怖い。」
怖いとかじゃないだろ、違うツッコミしろよゼル。
同時に、剣に手をかけ、自分の主人に殺気を放つジークハルト。
「貴様、聖女様に対して馴れ馴れしい!」
「……もう、うちの護衛、主人の事貴様呼ばわり……。ちょっとしたお茶目なのに……。」
この状況に、王達はほぼ我関せずである。
ハンナと、今後の流れとか、エリクサーの融通とかそういう話をしていた。
あれ?そっちに焦点当てた方が良くない?
同時進行で、こっちの話題にスポットライト当ててどうすんだよ。
「誰が同行しようがわたくちは構わないのでしゅけども。」
様子をじっと見守っていたヒメが口を開いた。
「王子なんて連れ歩いて大丈夫でちゅか?目立ってしまう気がするでしゅ。」
「ああ、それは心配ない。長男の方はソコソコ公の場に顔を出しているのだが、次男は、王子なんて肩書きはナンパの邪魔だとか言って、あんまり顔を出さない上に、隠れて街に出て行ってしまうくらいでな。」
そこ、親として許すなよ。
ダメだろ、王子がナンパのために街をフラフラしてたら。
「まったく、それに付き合わされる俺の身にもなってくれ。だから、第一王子の護衛を希望したのに……」
ジークハルトくんは、なんだか苦労人のようですが。
今の流れを見る限り、悪い人ではないんだろう、二人とも。
「因みに、ジークハルトさんは、私たちと同行することに関しては納得しているんですか?場合によっては、主人や国としばらく別れることになりますよね?」
「主人と別れることに関しては、喜びしかありませんが、ついて来そうなので心底がっかりです。
あと、そうですね、国を離れることに関しては、かなり心配もあります。頻繁な帝国からの出兵依頼や、不審なよそ者達の増加、近隣の魔物の凶暴化など不安要素がいっぱいですからね。しかし、そのためには、聖女様をお守りすることこそ最重要事項と判断しております。」
「聖女様は、俺たちにとっての、やっと手に入れた切り札みたいなもんなんだよ。万が一にも、帝国に取られるわけにはいかないってこと。」
「アレクシス!」
ハンナと話し込んでいた王様が、語気を強めて息子を窘めた。
しかしながらそれが本音なのだろう。
こうやって、隠さずに本音を語ってくれるあたり、アレクシスは嫌いではない。
王達も、秘密にしたいというよりは、失礼の無いように伝えたかったという感じか。
「いいえ、大丈夫ですよ。少なくとも、帝国の動きが怪しい以上、あっちにつくことはないですし。」
「そうそう。この国好きだし、帝国に協力したりしないよ?」
「それもあるけど、拉致監禁とか、殺されたりの心配だよ。」
「……ああ!」
ゼルと私は、同時に間抜けな声を上げた。
ゼルやハンナ達はともかく、私が帝国で捕らえられたり拘束されたりするイメージがなさ過ぎて、微塵も心配していなかった。
しかしよく考えてみると、なるほど確かに。
「聖女は、何をおいても真っ先に手に入れたいモノだ。帝国が、どういう手に出るかわからんしな。」
「帝国には、先代聖女がいた名残もあります。聖女の扱いには、長けた国です。聖女に対して何かしら手を出そうとしてくる可能性も有るので、気をつけてください。」
王の言葉に、騎士団長は心配そうに付け足した。
「俺たちが守ってみせますよ、父さん。」
「お前が死ねばとりあえず、聖女様は守られる気がするんだが。」
「我が子でなければ、さっさと不敬罪とかで牢に入れるところなんだがなぁ。」
「お前も息子には甘いな。」
「お互い、子供には甘いですからなぁ。はっはっは。」
はっはっはじゃねぇよ。
それほど砕けた付き合いなんだろうけどね。
「では、とりあえず、お二人に同行して頂くということで宜しいのですか?」
「ああ。我々としても、信頼できる身内に、帝国の様子を視察してもらうのは理想的なのでな。特に、聖女様と同行するとなると、危険も増えるかもしれないが、逆に何より安全とも言える。是非宜しく頼む。それに……」
「王。」
ん?
「あ、ああ。あ、いや、君たちのことではなく、こちらの都合の事だから、それを伝えすぎて、君たちに気を使わせるわけにはいかないというだけだ。」
騎士団長が、遮り、苦笑しながら言った。
なんだか気にならなくもないが、まぁ、全てを包み隠さずというのも無理だろう。
しかし、最近以上な親バカ揃いだったから、この程度の親子関係だと安心するなぁ。
と、その時。
「アレクシス様ぁぁあああ!!!」
ものすごい勢いで応接室のドアが開いた。
驚いてそちらを見ると、ティアラをつけ、ふわふわな金髪を結い上げた、宝石のように透き通った美少女がいた。
成る程、こういう感じが理想的な聖女様かもなぁ。とか、ふと思ってしまった。
さて、これは誰?と、王様達を見ると同時に、目を逸らす騎士団長と王様。
「アレクシス様、聖女様護衛の任務を受け、その身を犠牲にして国のため、旅に出られるというのは本当なのですか!?」
王女かな?と思ったが、アレクシスへの態度を見ると、違うのかな?確かに、服も、どちらかといえば貴族の娘が着飾っていると言った感じだが。
「お、フローラ、元気にしてたか?」
「はい、アレクシス様!」
「フローラ、バカと喋ると馬鹿が移る。こっちに来なさい。」
「いやですわ、お兄様。私はアレクシスと常に共にありたいのです。」
「大丈夫だよ、フローラ。この旅で、アレクシスは帰らぬ人になる予定だからな。」
「おい。シスコン野郎。どさくさに紛れて亡き者にしようとするんじゃねぇよ。」
フローラと呼ばれた娘は、完全に目がハートである。
しかも、どうやらジークハルトの妹らしい。
なんとなく、ジークハルトがアレクシスに冷たく当たる理由がわかった気がしたのだった。
親バカだけではなく、兄馬鹿も居るようです。




