↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女さまは魔王を守りたい  作者: 朝霧あゆみ
聖女様と人間の国
61/175

聖女様は再び相談する

ゴールデンウィークも終わりましたね。

とりあえず更新を再開します。

「あー、頭痛い。」


ウーリ達と別れた後、近くの宿に一旦引き上げた。

彼らも、食べ過ぎた、と言いながら近場の宿へとはいっていった。

いきなり父親の存命を知らされた事により、母親への報告なども必要だから、と一旦は依頼を受けずに故郷に帰るかもしれないと言っていたが。


因みに、私たちのとまっている宿の方が高価で、ウーリたちの宿の倍以上するらしいが、王様たちの援助も受けているし、問題はない。


「大人は酒の限界を知らないの。」

特級回復薬(エリクサー)使わないんですか?」

「いや、ウーリさんがこの痛みも大人の嗜みだとか言ってたからさ。」

「ウーリ様は、Mの素質があるんでしゅかね?」

「いや、知らんけどさ。」


現状、3人で2部屋借りている。

1人増えたので3部屋にしようかとも思ったのだが、見た目5歳と見た目7歳を別の部屋に泊めるわけにもいかず、結果、少し狭いがゼルが一部屋、私たちが3人で一部屋という形になった。

訊いたところ、子供が1人増えたくらいでは追加料金はいらないとのことで、余計な出費は必要無さそうだ。


「さ、ヒメちゃん、今日の分の治療をしようか。」

「よろしくお願いしましゅ。」


私は、ヒメに向かって魔力を解放する。

ゆっくりゆっくり、呪いを溶かすように。

キラキラした光に包まれたヒメから、黒いモヤのようなものが現れ、消える。


「さ、試してみて。」

「いきましゅ!」


ヒメが目を閉じて人間には発音することのできないうなり声のような音で呪文を唱えると、小さなドラゴンの姿になった。

小さいとは言っても、人間よりはずっと大きく、小がらな虎くらいはありそうだ。


「グルルルゥ」


そしてヒメがもう一度唸る。

すると今度は、光に包まれた後にゆっくりと人の姿をとった。

先ほどまでとは違い、少し成長した姿。

ハンナと同じ歳くらいに見える。


「わー!背が伸びた!ハンナと同じくらいー!」


素直に喜んでいるヒメ。

舌ったらずたった口調も、きちんと発音できている。


「このままいけば、すぐに本来の年齢に……。」


ぴょんぴょんと飛び跳ねているかと思えば、突然白い煙に包まれ、ぽふん、と元の5歳児のような姿に戻った。


「やっぱりダメかー。」

「ううっ。どうしてでしゅかー……。」

「育たない、っていう呪いが、強制的に年齢を引き下げてるんだと思うのよね。成長が遅いだけの呪いなら、多分治療のたびに少しずつ大きな姿になれるんだろうけど、赤ちゃんに留めるっていう呪いのせいで、完全に解けるまでは治らないみたい。」

「でも、一瞬大きくなったでしゅよ!?」

「うーん、多分、呪い自体が薄まってるせいで、頑張れば一瞬大きくなれる、みたいな?」

そんなぁ(しょんなぁ)……。」


うーん、ウーリに想いを届けられるのはいつの日か。

かわいそうだけど、これ以上の治療もできないしなぁ。


「まぁ、効果は出てるんだし、根気よく続ければ、すぐに治るよ!」

「だといいんでしゅけど。まだしばらくよろしくお願いするでしゅ。」


まぁ、乗りかかった船なので、とりあえずはヒメの事は治るまで面倒見るとして。

とにかく帝国の様子を見たい。

依頼を受けるたびになんだか厄介な事になるし、ストレス発散のつもりだったが、ギルドであれこれするのは暫く控えよう。

じゃないと、話が前に進まない。


「で、次に、帝国に向かおうと思うんだけど、王様が探してくれると言った協力者と合流し次第、で良いよね?」

「そうですね。どうにも私たちだけでは人間の常識が欠如してしまっていまして。」

「というか、人間じゃない部分の常識も足りてない気がしゅるの。」


うーむ。

見た目5歳児に突っ込まれるのはアレなのですけど、魔王の娘としてほとんど城の中で暮らしてきたし、ゼルも魔王の側近見習い兼回復職として殆どの時間を修行や教養のため城で過ごしている。

なので、どうにもコミュ力の低さや駆け引きの弱さが目立ってしまう。

良くも悪くも箱入りなのだ。


「成人ちた大人が2人、7歳のハンナちゃんに頼る旅。大丈夫でちゅか?」

「ゴメンナサイ……。」

「よくもまぁ、魔王様も許可したの。しかもお供もポンコツなの。」

「ぽ、ポンコツ……。」


ポンコツ呼ばわりされたゼルは顔が引きつっているが、酒を飲んだ上に気絶していたこともあり、何も言えないようだ。


「父親が優秀だと、息子はこうなっちゃうんでしゅかね。」

「確かにロベルトさんは優秀だからなー。」

「そう言えば、本当に父が来たんですか?」


昨日のロベルト乱入事件の間、気絶していたゼルは、その事を全く知らないらしい。

幸せな奴め。

あの、蔑んだロベルトの視線を受けていたら多分コイツ心臓止まってるだろうし。


「なんか、気絶すると発動する召喚魔法陣を仕込んであるみたいよ。」

「気絶すると発動する?本当、僕のことを守るつもりはさらさらないんですね、あの人は。」

「いや、親心でしょ?」

「守りたいなら、気絶する前にあらわれるべきでしょう!?なんで、気絶した後に来るんですか。」

「それもそうか。」


あそこの家庭はスパルタだからなぁ。

たまにゼルがかわいそうになるくらい。親が回復のプロだからと言って、訓練でぶっ倒れるたびに回復魔法をかけられてまた訓練させるとか、平気でやるもんなぁ。

あれを見てると、うちの父上が過保護でよかった、とまで思えてくる。


「しかも、また仕込んでいったとか。背中に魔法陣を刻みつけてあるってことですかね?」


そう言って上着をずらすゼル。


「あ、ここにあるでしゅ。」


私たちが見てもよくわからなかったが、ヒメが右肩の少し下あたりを指でなぞると、魔法陣のようなものがぼんやりと光った。


「かなり高等な魔術式でしゅね。隠蔽もされていましゅので、そうそう気づかれない上に、この魔法陣自体に召喚分の魔力が込められていましゅ。ゼルしゃんが気絶しても、魔力を封じられても、異空間でも、死んでても発動すると思うでしゅ。」

「死んでてもって……。」


ゼルは、ため息をついた。

確かに私が父様や(エミール)に貰ったお守り型魔法陣は召喚用の魔力が込められているわけではないので、魔力を流す必要があり、私が気を失ってしまっては使用できない。

そういう意味では、ロベルトが仕込んだ魔法陣の方が確実だ。


「遠回しに、お嬢様を守って死ねっていう気持ちが込められてる気がする。」

「遠回しではなくて、その通りだと思うの。」

「後のことは気にせず、とにかく命がけで守れってことでしゅね。」


過保護な親を持つ娘三人衆たちには想像もつかないが、スパルタな親はこんな感じなのだろうか。

うちの父様では考えられないなぁ。


「まぁ、僕よりもお嬢様の方を大切に思っていますからね、仕方のないことですけど。」


仕方がないで済ませられるあたり、達観している。

普通の子供ならグレると思うけど。

まぁ、グレたりでもしようものなら、命は無いだろうけど。怖い怖い。


「しかし、鮮やかな手つきですね。」


すでにお約束になりつつある、会議をしながらのポーション作り。

売るためには中級をメインで作る必要があったのだが、どうにも私が作るとすぐに上級になってしまいあまり売り物にならない。

魔力が多すぎるし、回復魔法への適性も高すぎるので、上手くいかないのだ。

魔力の量だけなら、ヒメを含めて全員が常識を逸脱した量なのだが、特に私は魔王の娘補正と、聖女補正がかかっているから、タチが悪い。

なのにヒメは、ほぼ完璧に中級回復薬のみを作り続けていた。


「あんまり使うことは少ないでしゅけど、魔力操作の練習としてはやったことがあるでしゅ。魔力を細く小さくして、ゆっくり流すでしゅ。」


流し込む魔力の量を調節することで、変化にかかる時間を調節できるらしい。


「私もやってるけど、うまくいかないんだけど!?」

「100ある魔力を10にちて流したところで、普通の人の10倍あれば、100流ちてるのと一緒でしゅ。要は、回復薬造りに適した量を見極めてやらないと意味がないでちゅ。」

「うぐぅ。」

「お嬢様は、回復魔法に関してだけ、魔力操作が苦手ですからね。常に全力がモットーだとか、言い訳していましたけど。」

「なんでも力任せで解決しようとするのは、愚の骨頂なの。強ければ良いってものではないの。」

「おのれ、言いたい放題言いよってからに。普通の魔法は、繊細に操作できるもん。」


今までは、そもそも隠す必要もなかったので、常に特級回復薬(エリクサー)を作っていた。材料もほぼ変わらないので、それ以外を作る必要はなかったのだ。


「よく考えたら、贅沢な話ですよね。回復魔法が使えない魔族たちは、トゲが刺さった程度や、転んだ時の傷なんかにも、特級回復薬(エリクサー)を使うんですから。」

「最近は、かなりみんな回復魔法が使えるようになってきたから、それもあんまり必要ないしね。」

「利用価値の低い聖女なの。」

「……やめて……。」


そんなこんなで、ハンナも最近は中級回復薬を作れるようになったため、私は主に瓶詰めの仕事をしていたりする。

ゼルがたまに失敗して上級回復薬を作ってしまうので、売る分はそれで事足りるのだ。

ヒメが加わったので、中級も下級も、どんどんと出来ていく。


「しかし、こんなことしてて良いんですかね?」

「お金をある程度持ってたいのと、お金を持っててもおかしくない理由みたいなのは必要でしょ?あと、ボルマン商会に貸しも作っておきたいしね。」

「いえ、そうじゃなくて。戦争だなんだと騒いでる中、ボーッと回復薬を作ってるのも如何なものかと。」

「王様から、常識のある冒険者をよこしてもらうまでは仕方ないでしょ。」


そういう話をしていると、ドタドタと階段を上る足音が聞こえた。

そして、部屋をノックする音。


「すみません、ティーナ様、ゼル様、ハンナ様。」

「はーい。」


私は、慌てて並べた回復薬をアイテムボックスに回収すると、ドアを細く開けた。


「失礼します。王からの使いの者です。時間が空き次第王宮の方へいらしてください。との事です。」

「噂をすれば、ね。ありがとう、後ほど行かせていただきます。」

「はい、ではそのように伝えておきます。」


そんな訳で、私たちは回復薬づくりを終え、王宮に向かうことにしたのだった。

やっと新メンバーが増えそうです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。