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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
最終章 決戦!『デスティウルス』編
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絶望へ差し込む希望(ひかり)  ~首都『カームクラン』視点~

 ・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。



「報告します!『儀式上級浄化魔導』、発動準備が整いました!!」


 それと時を同じくして、神官と巫女が集結した中央広場では千人以上の魔導士が執り行う詠唱儀式(キャスト・セレモニー)によって発動する『儀式魔導』の発動準備が完了した。


 上級神官の報告を聞いた筆頭宮司は、今まで発動を待ってやきもきしながら力強く握りしめていた拳を開いて声高らかに命令を下した。


「よし、『邪神』に目に物見せてやりますよっ!儀式上級浄化魔導『ホーリー・レイン』発動!!!」


 シュイインン!!!!


 筆頭宮司が発動命令を下した直後、『儀式上級浄化魔導』が発動し始める。


 それにより、中央広場全体に渡って巨大な魔導式が輝き始め、千人以上の神官や巫女たちの身体からも、仄かに白銀色の光が輝きだした。




 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・。



(・・・あれは!?)


 ほむらが自分の死を待って力なく横たわりながら次々と地面に突き刺さる触手を眺めていると、リルヴァの遥か上空に巨大な魔導式が浮かび上がるのが目に入った。


 パァァァァァァァ!!!


 シュババババババババ!!!!


「な“に”ぃ“ぃ”ぃ“!?」


 直後、直径数百メートルにもなる上空の魔導式から、まるで雨の様に白銀色に輝く光の矢が隙間なく地上へと降り注ぎ始めた。


「あ“あ”あ“あ”あ“あ”!?」


「っく・・・!」


 ほむらはあまりにも激しい、まるで閃光のような神聖なる魔導の光にただ目を瞑って耐えることしか出来なかった。


 ドゥルルルルルルルルルル!!!!


 そして、『儀式魔導』が発動している間にリルヴァの肉体を物理的に破壊しようと考えているのか、激しく降り注ぐ光の雨を受けるリルヴァに向かって、連邦軍の魔導高射機関砲による攻撃も加わる。



 ・・・・・・。




 シャララン・・・。


 バッバッバッ!!!


「これを勝機と心得る!『エクスプロージョン』発動!!」


 ・・・・・・。


「今がチャンスだ!魔導士部隊!攻撃始め!!」


「喰らえ!『ファイヤーボール』!!」


 ゴウゥゥ!!


「『ウィンドカッター』!!」


 シュシュシュッ!


「『サンダーアロー!!』」


 ビシュウウウン!!


 更に、集中砲火を浴びるリルヴァにクウゼンを含めた魔導士達が次々と攻撃魔導を打ち込む。


 ドォォォォン!!!


 ズブシュ!


 ブジュジュジュ!!!


 それら激しい攻撃による光や爆発、煙に飲み込まれてリルヴァの姿は完全に見えなくなってしまう。


『ホーリー・レイン』は、言わばハーティがエメラダを討伐した時に発動した神技である『セイント・レイ』を小規模化したような魔導である。


 効果範囲はどちらの魔導もほぼ同じで広大だが、発動に要するマナの量から『セイント・レイ』は高密度の聖なる光の柱が生まれるのに対して、『ホーリー・レイン』は埋め尽くす光の矢が『邪悪』を浄化する。


 破邪の神技である『セイント・レイ』に比べればその威力は大きく劣るが、それでも『ホーリー・レイン』は人類が発動できる最大規模の『浄化魔導』であった。


「あ"あ"あ"あ"あ"」


 そして、激しい攻撃の中、リルヴァの断末魔のような声が響き渡る。


 パアァァァァ!


 ドゴォォォォ!!


 ウウウ・・・。


 それからしばらくして、長らく続いた浄化の光と物理、魔導攻撃による爆発は収まった。


 オォォォ・・・。


 しかし、激しい攻撃が収まった後も残った黒煙が、リルヴァがいた空間の周囲に残っていた。


(・・・やりました・・か?)


 ほむらはリルヴァがどうなったのかを確認するまで死にきれないと、消えゆく意識を必死に繋ぎ止めようとする。


 そして、リルヴァを包み込んでいた黒煙はすぐに風で押し流された。


 そして、ほむらは黒煙が晴れた後の空を見上げて静かに涙を流した。






(そん・・・な)


 ほむらの視線の先、人類が行使できる最大規模の『浄化魔導』と『カームクラン』の持ちうる全ての火力を集めた集中攻撃を受けたリルヴァだったが、黒煙の中で急速に肉体の再生を行い、間もなく再生を完了する状態であった。




 ・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。





 ドサッ・・。


「そんな・・・」


 激しい攻撃を受けながらも難なく再生したリルヴァを見て、絶望したシゲマツが両膝を地につけた。


「『儀式上級浄化魔導』では、『邪神』を倒せないと言うのかえ・・?」


「ああっ!?『防御魔導』が・・!」


 ミウが青ざめた顔でつぶやく中、さらに絶望的な知らせが耳に入った。


 それは、中央広場で『防御魔導』を展開する為に酷使していた発導機が、とうとうマナ劣化に耐えきれずに機能停止したと言うものであった。


「『防御魔導』が無くなり、先の『儀式魔導』の発動で『カームクラン』にいるほぼ全ての神官達もマナ切れを起こしている・・やはり、某達に成す術はないのか・・」


 シゲノブはやるせなさから無意識に、自身の胸元にある『女神ハーティルティア』のペンダントを握りしめた。


「万策尽きるとはまさにこのことじゃの・・・」


 そして、ミウもまた、目の前の現実に項垂れることしか出来なかった。




 ・・・・・・。


 ・・・・・・・・・。





「お"お"お"お"お"・・・!」


(命をかけて戦ったのに!ほむらが死んでも、『カームクラン』が救われるなら、それでいいって思ったのに!!!)


 ほむらは平然と存在するリルヴァを見上げて、どうしようも無い悔しさを感じていた。


(人生で最後に見る景色が・・・全ての希望を失って、滅びゆくことが確定した『カームクラン』だなんで・・惨すぎます・・・!)


「しね"え"え"え"え"」


 キイィィィィィ!!


 結果再生したものの、大きくダメージを与えられたリルヴァは腹いせと言わんばかりに膨大なマナを収束しはじめる。


 先程放たれたものよりも格段に高密度で収束された魔弾の狙う先は、中央広場を含めた連邦軍の集結地点であった。


 ズギュウウウン!!


 そして、収束を完了した直径十メートルを優に超える魔弾が発射された。


 前衛で僧侶達が発動していた『防御魔導』がなくなった今、『カームクラン』の人々達には迫り来る魔弾を防ぐことができる術は、何もなかった。


 そして、魔弾が地上に到達したときに『カームクラン』がどうなるのかは、想像するまでもない。


 誰もが絶望に染まった表情で、迫り来る『死』と言う名の絶対的暴力を呆然と迎えることしか出来なかった。


 ドォーーーン!!


「はあああああああああああああああ!」


 しかしその時、猛進するリルヴァの魔弾に向かって衝撃波(ソニック・ブーム)を生みながら凄まじい速度で飛行する何(・)か(・)が現れた。


 ドガアァァァァァン!!


 あまりの速度で姿形が判別出来ない白銀の光の尾を引くそ(・)れ(・)は、そのままリルヴァの魔弾に向かって正(・)面(・)衝(・)突(・)したように見えた。




 ドゴォォォォ!!




 すると、絶望の象徴であったはずのリルヴァの魔弾は、まるでその白(・)銀(・)色(・)に(・)輝(・)く(・)塊(・)に弾かれるように目標とは正反対の方へ吹き飛んだ。


 そう、リ(・)ル(・)ヴ(・)ァ(・)の(・)い(・)る(・)方(・)にである。


 チュドオォォォォン!!


「ごばあ"あ"あ"あ"あ"あ"!?」


 リルヴァは先程自らが放った魔弾が突如反射された事によって、真面にそれを喰らう。


 そして、自信が収束した魔弾による超高エネルギーを食らったリルヴァは、バラバラの肉片になりながら吹き飛んでいった。




(っ!?・・・あれはっ・・!?)


 リルヴァの魔弾が弾かれた上空を見て、ほむらは再び涙を流す。


 しかし、今度の涙は絶望によってもたらされたものではなかった。




 ゴオォォォォ・・・。


 ほむらの、そして『カームクラン』の人々が向ける視線の先・・・。


「・・・ふう、なんとか間に合った」


 マナの光を纏う、美しい白銀の長髪。


「私は、何か大きい魔導を放ったりすることは出来ない」


 ぴこぴこと動く、愛らしい獣耳。


「ハーティさんみたいに、強力な『防御魔導』なんて発動できない」


 ふりふりとしなやかに動く、尻尾。


「だけど・・・」


 そして、白銀色の透き通った双眸が収まる、愛らしい顔。


「飛(・)ん(・)で(・)来(・)た(・)も(・)の(・)を(・)打(・)ち(・)返(・)す(・)だけなら、わたしにもできるよね!」


 そこには、『聖斧レガリア』を振り抜いたポーズで自らが打(・)ち(・)返(・)し(・)た(・)魔弾の行く末を眺める、一人の獣人の美少女がいた。




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