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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
第三章 商業国家アーティナイ連邦編
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いつまでも共に

 カチャカチャ・・・。


 ユナは鎧の金属部品同士が擦れ合う音を響かせながら中庭の駐機場まで歩みを進めた。


「鎧を付けているとは思えないくらい軽くて動きやすいですね」


「全てを神白銀(プラティウム)で誂えているからね。さすがは神界の素材というか、マナ抵抗がないのもあるけど素材の軽さや強度についても優れているわね。実際は防御魔導に守られるけど、それが無くても防具として十分な性能を発揮するわ」


「『プラタナ』も神白銀(プラティウム)化した事で二十トンばかり軽量化したしね。まあ難点はハーティがいないと一切加工ができない点かしら」


「じゃあ、早速性能テストをしましょうか。さっきも言ったけど、ある程度ユナの意思に沿った動作をする様に調整してあるわ。まずは『防御魔導』と『ブースト』を発動しましょうか」


「わざわざ詠唱はしなくていいから、なんとなく発動したいってイメージを頭で描いてみてくれる?」


「・・・こう、ですか??」


 クラリスからレクチャーを受けたユナは、瞳を閉じて意識を集中させる。


 シュウウウン・・・!


 すると、ユナの鎧に刻まれた魔導式が淡い白銀色の光を発して輝き出した。


「おお!格好いい!」


 それを見たハーティは目を輝かせて興奮していた。


「これで今ユナは『上級防御魔導』と『ブースト』がかかった状態になっているわ。しかも鎧全体で発動しているから、『女神(イルティア)の(・レ・)絆(ファティマ)』の効果よりも強力になっているわ」


「じゃあ、いよいよ次は『飛翔(フライ)』よ!この『神聖魔導甲冑一型』のマントの裏地には神白銀(プラティウム)の糸で『飛翔(フライ)』の魔導式が縫い付けてあるわ。だから、同じように『飛びたい』って意思を持つことで術式が発動するようになっているのよ」


「まず最初は浮くくらいからやってみましょうか。あんまり力んだらダメよ。あくまで浮くイメージね」


「・・わかりました」


 そして、ユナが再び意識を集中する。


 すると、マントから白銀色の光の粒子が放出され始め、ユナの体がゆっくりと浮かび上がり始めた。


「す、すごい!私、飛んでいます!飛んでいますよ!」


「どうやら制御もうまく行ってるみたいね。興奮してる所悪いけど、次は飛行能力をテストするから思いっきり飛んでくれる?」


「ハーティは観測の為に一緒に飛んでくれる?詳しくはピアスの通信でお願いね」


「わかった!」


 そして、ユナとハーティは向かい合って頷いた。


「行きます!」


 シュイーン!!


 改めてユナが『飛翔(フライ)』の術式を発動すると、マントから先ほどよりも沢山のマナによる光が放出される。


 ドゥン!


 そして、ユナは駐機場のブラットホームを激しく揺さぶりながら凄まじい初速で離陸した。


「じゃあ私も!」


 ドォォン!


 ユナが離陸したのを確認したハーティもそれに続いて飛び立った。


 バァァン!


 瞬く間に音速を突破したユナとハーティは、衝撃波(ソニック・ブーム)を放ちながら高度数千メートルの上空まで一気に上昇する。


 そして、二人が並んで飛行する事により発生した二筋の飛行機雲が、『カームクラン』の大空に巨大な円を描いていた。


「わたし・・飛んでいます!今、ハーティさんと二人で飛んでいますよ!」


 ユナは『カームクラン』の街並みを眼下に眺めながら感極まって瞳を潤ませていた。


「私が八歳の時、初めてユナに『女神の力』を見せてからもう八年が経つけど、まさかこうして一緒に並んで空を飛ぶ日が来るとは思わなかったわ」


「はい・・そして、こうして『お嬢様』と世界を救う為に旅をしているなんて、今思えば不思議な気分ですね」


 感傷に浸っているユナは敢えてハーティの事を『お嬢様』と呼んでいた。


 そして、ハーティはユナと飛行したまま徐に語り出した。


「・・私が王国から去った時、ユナを連れて行かなかった事は本当に申し訳ないと思っているわ」


「・・あの事については例えお嬢様でも許しませんよ!」


「ふえ!?」


 ユナからの思いがけない返事にハーティは素っ頓狂な声を上げた。


 そして、思わず急停止したハーティに合わせて、ユナは『カームクラン』の遥か上空で二人が向かい合うように滞空した。


「私は『女神ハーティルティア』として初めて顕現されて私を救ってくれたあの日から、貴方様に自分の全てを賭けて尽くすと誓ったのです」


「貴方様はかつて邪神を滅ぼした時にこの世界を創造された。そして、そのおかげで私たちは今『ここ』に存在しています」


 すると、ユナは突如体を反転させて両手を広げた。


 そのユナの向こうには果てしなく続く大空、『アーティナイ列島』の美しい山々や緑、そして『カームクラン』の街並みが広がっていた。


「そして、貴方様が生み出したこの世界はこんなにも美しい姿になりました」


 そして、ユナは再びハーティへ振り返ると、真剣な眼差しを向けた。


「貴方様が思うように、この世界を守りたいという気持ちは全ての人々の願いでもあります」


「たしかに、貴方様は『女神』として絶大な力を持っているかもしれません」


「ですが、私にとってはいつまでも貴方様は『お嬢様』なのです」


「ですから、もっと『私達』を頼ってください。一人で抱え込もうとしないでください」


「この世界の人々は皆、貴方様を愛してやまないのですから」


「かつては神族が力を合わせて戦いました。今度は貴方様が生み出した世界を守る為に、私達皆が力を合わせて邪神を倒しましょう!」


「ユナ・・・」


 ユナの言葉を聞いたハーティは瞳を潤ませていた。


「そうね、私は『女神の生まれ変わり』なんて大層な設定を持っているけど、その前に『ハーティ』という一人の冒険者だわ」


「だから、これからも沢山ユナ達に迷惑をかけるかもしれないけれど・・・」


「これからもよろしくね」


「はい!『ハーティさん』」


 そして、二人は硬く握手を交わした後にクラリスが待つ拠点の中庭へと戻ったのであった。





 ・・・・。


 ・・・・・・。




 キィィィン!シュタッ!シュタ!


「クラリスただいま!」


「戻りました!」


「おかえり、結構長いこと飛んでたのね」


「まあ、ちょっと二人で一緒に空を飛んだ事に浮かれて話し込んじゃって、ね?ユナ?」


「はい!」


「ふぅん、まあ無事動作が確認できたからよかったけど・・」


 その時、ふと思い出したかのようにハーティが質問を投げかけた。


「そう言えば、ユナの鎧って『神聖魔導甲冑一型』て言うのよね」


「そうよ?」


「ということは『二型』もあるの?」


「もちろんあるわよ」


「え!?じゃあその『二型』はどこに?」


「ああ、それなら試用の為に『帝都リスラム』のシエラちゃんに送ったわよ」


「「ええ!?」」


 クラリスから放たれた衝撃の事実に二人は驚いた。


「この鎧はどう考えても一国どころか世界を揺るがすほどの『神器(アーティファクト)』ですよ!?そんなものホイホイ送っていいのですか!?」


「どうせ普通の人間のマナ出力じゃ動かせないわよ」


「いや、そんな問題じゃないでしょ・・」


「まあ、ミウさんに頼んで『神社庁』経由で『女神ハーティルティア様が直々に誂えた『聖騎士用の鎧』だからくれぐれも間違いなく届けてください』てお願いしたから大丈夫でしょ」


「・・『神社庁』が気の毒だわ」


 恐らくクラリスの作った鎧は『女神教会』を総動員して厳重な警備の中輸送されるのだなとハーティは嘆息した。


「というか、そんなことしたらシエラちゃんの立場はどうなるのよ・・宿屋の娘を一体何者にするつもりよ・・」


 ハーティはそう言いながら、シエラの行く先を本気で心配した。


 因みに、二人が飛行した時の衝撃波(ソニック・ブーム)の爆音と飛行機曇によって『カームクラン』の街は大騒ぎとなり、慌てて拠点へとやってきたミウに呆れられたのであった。


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