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aI was mixed  作者: 阿賀野基晴
第3章 1人の愛
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第50話:最後の仲間4

紗那と家に帰ってから、作っていたご飯を食べる。

食べながら私は紗那と一緒に原口に対してのメッセージ内容を考えていた。

優と話した内容は帰り道で大方は為していたから、簡単な原口のプロフィールもすでに話している。


「愛那と一緒にいたんだし、いきなり話しかけても返信してくれるんじゃないか?一応向こうは愛華のこと知ってるんだし。」


「そうなんだよねぇ。だけど、なんて始めればいいか…。」


いきなりメッセージを送れるほど、友人関係が卓越していないのだ。

内容を考えるだけで一苦労だ。


「『初めまして、渡辺愛那の姉の渡辺愛華です。』みたいな感じかなぁ。それとも、もっと気さくに…??」


「適当でいいってそんなの~。」


紗那の言う通りなのだが、なかなか難しい。

頭を抱えて悩む。


「…あぁ~もう!!!貸して!!」


見かねた紗那が私のスマホを取り、メッセージを打ちだす。


「あ!!ちょっと!!!変なことしないで!!」


「変な事なんかしねぇよ!!…ほら!送っといたぞ。」


「えぇ!?してるじゃん!!」


スマホを取り返して画面を見る。


『渡辺愛華です。当時助けたことのお礼を言ってもらいたいので明日の夕方会えませんか。』


そう書かれていた。

送られていた。


「えぇ!?ちょっと!!!内容ひどすぎるよ!!!!!!」


「ははははは!!いいだろ!うじうじしてるからだぞ。」


「もう!!!最低!!!!!」


送ってしまってるから、もちろん訂正はできない。

『ごめん今の友達が送っちゃって~』みたいなことはそこそこに会話ができる相手にしかできないだろう。

今日初めて話し掛けた人にそんな技はできない。

私は机に額をつけてうなだれる。


「はぁ~~~~~~~~。」


大きくため息をついた。


「まぁいいじゃん。これで話せたんだし。」


「うぅ…。よくないよ…。100歩譲ってもよくない!!!」


ピロン


なんて言っていたら、すぐに通知音がした。


「え!?」


「え!?」


まだ画面は見ていない。

紗那と顔を見合わせながらスマホの画面を見る。


『こちらこそありがとうございます!次は泊まりに行きますね!』


「英梨じゃん!!!」


英梨からだった。

さすがに早々と返信は返ってこないだろう。

いや、私達のスマホを見る頻度から考えてのものだが。


ピロン


またも通知音が鳴り、紗那と私は同時に画面を見る。


『分かりました。明日の夕方会いましょう。時間と場所は私が指定します。』


今度こそ間違いない。

原口からの返信だった。

しかもツッコミも不振がる様子もない。

当然のように、承諾の返信が来た。


「…私のおかげだな。」


「…いや!!それでもあの内容は許さないからね!!!」


****************************


次の日の朝、原口から追加のメッセージが来た。

場所と時間を伝えるものだ。


『おはようございます。今日の夕方17時、あなたの最寄りの駅の近くの公園で会えますか?』


近くの公園と言うと、昨日英梨と一緒に行った場所だ。


「『はい。分かりました。』、と。」


私は簡単に返事を送る。

すると返信がきた。


『あ、それから、英梨さんと紗那さんも呼んでいただけますか?お願いします。』


「英梨と紗那も?…『了解です。』、と。」


なぜ2人を呼ぶのかは考えればたくさん出てきそうだが、まぁいいだろう。

変に詮索するのはよそう。

私はまだ自宅療養中で、英梨も紗那ももちろん今は学校に行っている。

私は2人に夕方こっちに来てもらうようメッセージを送った。


「これで…やっと全員揃うんだ。」


夕方まで私は入院で遅れていた分の勉強をすることにした。


****************************


夕方になり、駅で紗那と英梨を待つ。


『今ひとつ前の駅だから、もう少しで着く。』


紗那からのメッセージだ。


「お、愛華。おまたせ。」


改札口で待っていると、二人が到着した。


「もう来てるのか?」


「いや、分からない。とりあえずそのまま公園に行くよ。英梨、ごめんねこっちまで来てもらって。お金大丈夫…?」


私達は定期だが、英梨は普通にお金を払ってきている。


「大丈夫…でhないですけど、大丈夫です…。」


財布を握りしめながら言う。

本当に申し訳ない。

今度何か奢ってあげよう。


私達は公園へと向かった。

公園に到着すると、ベンチに腰掛ける人がいる。

多分、原口だ。

ん?それともう一人、別の人もいる。


「あ、原口さんと北条さん。」


そこにいたのは北条だった。


「え!?北条さん??」


まだ約束は果たしてはいないのに。


「やぁ。頑張ってたようだね。愛華さん。最後は智代に声をかけるだろうと思ってたからね。先に声をかけといたんだ。」


北条が原口の頭をポンと叩く。

原口がこちらを向いた。


「…やっと会えましたね。渡辺愛華さん。」


その顔は私が知っていた原口からはまったく想像できたものじゃなかった。

当時私が出会った原口は、髪で顔を隠し、とても臆病な態度だった。

私の様に。

だから今も、そんな想像しかできなかったのだ。

原口はショートヘアだが、クリっとした目がはっきり見えるくらい前髪が整っていて服は制服だが、半袖の夏服がとても似合って見える。

それほど明るく見えるということだ。


原口が立ち上がりこちらに来る。


「愛那さんのおかげで私はかなり成長できましたが、きっかけは愛華さんです。あの日、私を助けてくれたのにお礼を言えなかったのはすみません…。愛那さんの件も…本当に残念です…。」


手をぎゅっとしながら愛那のことを悔やむ。


「えっと…。ありがとう原口さん。」


急な原口の行動に、私は対応しきれなかった。

ただ、原口は、本当に普通の女の子だった。

普通の、何も悪いところがないような、そんな子だった。


「はい!!あんまりしんみりしてもしょうがないだろう?せっかく、噂の紗那さんも来てるんだしさ。」


北条が口を開く。


「悪いけど智代にはもう話を通していたよ。というよりこの子はほとんど()()()()だったしね。」


話していたから、私のあんなメッセージに対しても即答してくれたのだろう。

それから、こっち側とは、北条がいたグループの事だろうか。

いや、今もいるのか、一応名目上は。

潰したいのに。

原口はまだ北条と一緒に関わっているということなのだろうか。


「とりあえず愛華さん、頑張りは認めるよ。こうして英梨にもちゃんと話を通しているしね。約束通り、認めざるを得ない。」


「私は…愛那の代わりにはなれませんけど…渡辺愛華として、あなたとがんばりたい。」


スタートラインには立つことができた。


「…まだそういった点では愛華さんを認めてはないんだけどね。どれだけのことができるか分からないし。とりあえずこれで話が進められる。」


「おいおい。あんたが仕切るんすか?私はまだあんたのこと聞いてませんよ。」


紗那が北条に突っかかる。


「いやぁ。聞いてた通り、噛みついてくるなぁ。」


紗那が小さく舌打ちする。


「私の名前は北条叶江。橘紗那さんだね。大体は聞いてるから紗那さんからの説明はいいよ。」


うぐっと口をつぐむ。

そういえば初めて会った時も私にこんな感じだったなこの人は。


「じゃあ、本題に戻るけど…。」


「あ、英梨さんも久しぶりですね。新しい学校はどうですか?」


「楽しいですよ!愛華さんと紗那さんが良くしてくれます!原口さんはどうですか?」


「私も楽しいですよ!ちょっとやそっとの陰口とかじゃあもう動じません。本当に愛華さんのおかげですよ。」


「えぇ!?私は何もしてないよ…。愛那が良くしてくれたんだと思う。」


「ちょっと!!本題に入るって言っただろ!」


少し怒る北条。

やはり怒るといつもの余裕な感じはないな。


「コホンっ。さて、ここに来てもらった全員に、聞くよ。いや…これは愛華さん。あなたが言うべきかな。何を、かは分かるかい?」


「…うん。大丈夫。」


話が始まる。


「これから、本郷のグループを完全消滅させる。皆に、参加してほしい。」


「はい!」


「もちろんです!」


「まかせろ。」


原口、英梨、紗那。


「やっと、愛との約束が叶う。やるよ、愛華さん。」


北条の参加も決まった。


「よし、作戦を考えるよ!」


愛那。

私はがんばるからね。

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