25話:遊び
【サキ Lv.224(224)】
私は、まず相手をじっくりと観察してみる。人間の基準で見るとどう見ても成長途上の躯体だが、それでいて『Lv.224』が物語る圧倒的に高い戦闘能力。その他諸々、様々な要素が高水準だ。更に成長の余地があると考えると、絶対にここで関係を築いておきたい素晴らしい人材だ。だが、その為にはまずはこの『遊び』で勝たなければ。
Lv的にも相手はかなり格上。ならば、相手の行動を読み切って、隙が出来た所に一撃ぶつけてそこから有利展開に持っていく。それが一番勝機のある戦い方であろう。
「あれ?折角先手を譲ってあげようと思ったのに、何もしないの?じゃあ、私から行くよ!」
そう言うと、彼女は身長の4倍程度まで急上昇し、そこから空中で半回転し、急降下して飛び掛かって来る。
【疾風撃】で正面から対抗する。衝突の衝撃よりも自傷ダメージの方が痛い。
「おっと…大抵の相手はこれで倒れちゃうんだけど、君は見どころがあるね~?」
「余裕でいられるのも今だけですよ?」
「そうこなくっちゃ。ふふっ、楽しいね、久しぶりに!」
彼女はもう一度高く舞い上がる。もう一度急降下が来る…かと思いきや、羽根を飛ばして攻撃してきた。そんな芸当も出来るのか、戦い方が多彩だ。
「【バードストライク】!喰らえ!」
流石に範囲が広すぎて、躱すのは無理だ。私は人型形態を解除した。
そして【黒雲】形態となる。この形態は土の魔王軍残党の殲滅にも使ったが、【雷撃】【豪雨】【暴風】の威力が格段に跳ね上がる。
「うわっ、それが本来の姿?一体何の魔物なの…?」
「フウカは人工生物だよ、だから完全に新種の誰も見たことのない魔物だよ。」
この形態では喋る事の出来ない私に代わって、道端に投げ捨てておいたスーが説明を入れてくれる。
「へぇ、面白い…興味深いよ!」
目を輝かせるサキ。だがその目はずっとこちらを追ってきている。隙は無い。
「…む?何か仕込んだ?ムズムズする…ぺっ!」
ダメ元で仕込んだ【寄生】にもやはり気付いてきた。だが、一瞬だけ隙が生じた。
【一閃】で瞬時に距離を縮める。即座に至近距離から【暴風】を打ち込む。
「うわっと!?」
多少のダメージは与えられたと思うが、【暴風】で生じた風に乗って上に逃げられた。
「あっぶない、落とされる所だった!」
「そのまま落ちてしまえばいいものを…」
「うるっさいな!」
スーと会話しながらも、サキは警戒を崩さない。
「風なら私だって使えるんだから!喰らえ!」
彼女は大きく羽ばたく。反動の風に合わせて更に風魔法を重ねてくる。不味い…
直撃したら致命傷になりそうな強風を放たれた。私は間一髪のところで【疾風撃】を使い、上後方に緊急回避。
その勢いを活かして、【飛行】で相手のさらに上を取る。【豪雨】を拡散させて広範囲に撃ち込む。
「ちょ…雨!?聞いてないよ!」
相手が鳥人なら水でかなり動きを鈍らせられる、羽毛が湿ったぶん重量が増して動きづらくなるから。しっかり学習しておいたのが効いている。
立ち位置的にも上を取れているので、完全に有利不利が逆転した。私は敢えて【黒雲】形態を解除して人間形態に戻り、【飛行】を使い滑空する。そして急接近。
「これで終わりです!」
「嫌だ!まだ終わりたくない!」
相手も必死に風魔法で対抗してくる。だが、先程のような強力な風は最早起こせない。ダメージ覚悟でそのまま突っ込む。
「いいや、終わりです!」
【雷撃】!!
「あっ…っ!!」
水を含んだ状態での電撃はよく効くだろう。むしろ、あまりやり過ぎるといけないので、わざと【黒雲】を解除してから撃ったのだ。
しっかりと、アフターケアも欠かさない。落下する彼女を地面に着く前に先回りして受け止める。ついでに【ダークヒール】で回復もしておく。
「うぅ、痛かった…完敗だよぉ。3属性の魔法に、回復魔法まで使えるなんて…」
「私の勝ちですね。じゃあ、約束通り、私の仲間になってくれますね?」
「約束は破らないよ。元より私は一人ぽっちだし…そろそろもっと活動範囲を広げたいと思っていた所だし。」
本格的に、新しい道を歩みたいというわけか。
「負けておいてむしろ良かったな。フウカの周りに居たら退屈する事も無いだろうよ。」
道から少し外れた所からスーの声が聞こえた。私は先程投げ捨てたスーの分身体を回収した。
「そうですね。退屈はさせませんよ。これからよろしくお願いします。」
「うん、よろしく!」
旅の仲間が、1人増えた。
25話です!!!
この話が投稿したかったのです!!!
ああもう力尽きてもいい
ちなみにここでストックが残り約半分です。続き書かなきゃいけないんだけど、七色の光も書き終わってないし、また短編を書きたいとも思っているし、色々とやりたいことが山積みです。ゲームもしたいし。
今後はまた超スローペース更新になると思います。




