友の考察
「単純な話から行こう。
「『3』という数字が何を意味していたのか。
「それは残念ながら僕にもわからなかった。
「でも──。
「でも、『0』という数字の意味ならば、なんとなく察することができたよ。
「もともと、変わらない数字があること自体疑問に思っていたんだ。
「たしか、一年くらい前だったはずだよ。
「君は僕に教えてくれた。
「『0』がいると、君も多分考えれいるだろうけれど、『2』でも『1』でもなく、『0』がいると教えてくれた。
「しかも、それ以来、『0』以外の報告もなかった。
「いなっかったんだろう?
「『1』と『2』の数字を示している人間が。
「そこから、一つの予想を立てた。
「もっとも、この予想はあくまで予想でしかなく、まったく物証がない。証明する手立てがない。
「まあ、君の『眼』ならば、ささっと解決してしまう程度のものだろうけどね。
「少し、文句を言わせてもらえるならば、どうしてこんなことにも気づかないんだい?
「話を聞いただけの僕でもわかることを、その『眼』を持っていながらにして、なぜ、気づかなかったんだと、僕は少し呆れてしまうよ。君のそんなところを好きで、友達になったんだからしょうがないけれど。
「僕は──。
「僕は、僕が気に入らない。
「先ほど、君に文句を言ったけれど、それはいわゆる八つ当たりというやつなんだよ。
「君は自分が好きかい?
「そうかい。
「僕?
「残念ながら、僕は違う。
「僕は自分が嫌いだよ。
「僕は人とは違うんだ。
「自分で言っちゃあなんだけどね。
「さてさて、そろそろ、本題に入らないと、いくら時間があっても足りないよ。
「この予想──仮説を導くことができるのは、僕と主治医さんくらいじゃないかな。
「もちろん、他にいるかもしれないけど、君の周りの人間だけに限って言えば、それだけってことだよ。
「それにしても、君の友好範囲は狭すぎる。
「二桁にすら至っていないのではないか?
「まあ、そんなこと──。
「そんなことではないから、睨まないでくれ。
「まあ、そのことは横に置いておくとして、僕の仮説をできれば聞いてほしいものだよ。
「僕の仮説とは、こうだ。
「数字が『0』になるということは、何かしらの条件を満たしたということなんだ。
「寿命が一年未満になっている。
「つまり、詳しく見ない限りにおいては、その数字は『0』と表情されるはずなんだよね。
「それと同時に『0』に変化するというのはいささか都合が良すぎる気がする。ご都合主義がすぎている気がする。
「意図を感じてしまったんだよ。
「もともと、君の『眼』がなければ気にもならないことなのだから、気にする必要はないのかもしれない。でも、そこにこそ意図が、何者かの「意思が入っている気がする。
「そこで更に気づきを得た。
「君の『眼』がなければわからなかった。
「それはつまり、君の『眼』と同種のものを持つ者が、いや、君の『眼』と同種のものが当たり前に備わっている種があるということではないだろうか?
「しかも、世界のシステム的何かに干渉できるような絶対的な権限を持つ者──僕の浅い知識では、そんなものを持つものなんて、そうたくさんいるはずもない。
「君も同じ対象を想定したようだね。
「君と出会う前までの僕だったら、一切この考えは浮かんでこなかっただろうね。
「君の『眼』を知ったからこそ、今こんな想定ができるようになったんだよ。
「異常の力。
「異端なる力。
「その点では、僕は君に感謝しなければならないようだ。
「君のお陰で僕は新しいステージに至れたのだから。
「君としては、僕のことなんてどうでもいいとは思うからこれ以上僕の話はやめておくとしよう。
「さてさて、とうとう、核心に迫るとしようか。そうしないと始まらないしね。始まるはずがないしね。
「では、直接的に。
「君の妹の数字を変えたのは──、
「神だよ」
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