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13 これが俺のパゥワーだ(うそやろ……)

試験を受ける事になった俺だが、後ろから待ったがかかった。


「で、僕はどうすればい「ブヒャヒャヒャヒャッ!こんなガキがいっちょ前にギルド試験かよ!こいつぁお笑いだぜ!」──いの?」

「「「ハハハハ!」」」

「……」


お約束かッ……!?

後ろを見ると、15~17歳くらいの肥満体が取り巻きをつれて笑っている。

俺が期待していたゴリマッチョの荒くれとは違ったのが、ちょっと残念だ。


肥満体のセリフに、その周りに制服を着た20代くらいの男たちが声を揃えて、完璧な合唱を披露している。

この部分だけ訓練されてるやろ、おまいら……。


「ぅ、ぅう! ……ゼ、ゼノンくんはすごいんだよっ! なんで笑うんだ!」


びびっていたフィッテが声を振り絞り叫んだ。

ありがとうフィッテ、俺のオアシスは君だけだ。


「おいガキ共ッ! 喧嘩なら他所でやれ。なんだろうとボウズは試験を受ける資格を満たした。だれが何と言おうが試験は受けさせるんだよ」


「チッ筋肉達磨が……、ん? そこのお前、なかなかいい女じゃないか。どうだ、そんなガキのおもり辞めて俺のとこにこいよ。ついでにそっちの幼女も貰っていってやる。あぁ、俺様はなんて寛大なんだッ! 自分に怒鳴るものに対しても寛容でいられるっ」

「「「さすがは男爵家のご子息ッ!」」」

「ヒッ……」


フィッテが俺の後ろに隠れてしまった。

というかこいつは何を言っているんだ、なにを前提にしたらそういう判断になるのかさっぱりだ。

あと男爵ってお前、下級貴族やんけ……。


だが、俺が名前にクロスハートと書かなかったように、俺は冒険者になるにあたって親に頼るのをやめようと思っている。

そもそも次男の俺は、ギル兄さんが跡を継いだら俺はクロスハートじゃなくなるしな。


なのでここは正攻法でいく。


「あなたが何方だか存じませんが、彼女たちの意思を尊重せずどうこうする事はできませんし、僕が試験を受ける事は確定しています。お引き取り下さい」

「ブゴッ!? オ、俺様の事を知らない上に口答えだと、ガキがッ! おい筋肉達磨! Eランクであるこの俺様がコイツの試験を担当してやる! 訓練場へ案内しろッ!」


ほう、訓練場なんてとこがあるのか。

てことは実技試験だな。


「バカが、試験の相手は俺が決めるんだよ。ボウズには俺が相手をする、お前は引っ込んでろ」

「なんだ「いいですよ」とッ……」


俺は言葉をかぶせて挑発した。

何だか知らないが、こういう手合いが舐めた相手に対する行動は無限にエスカレートする。

いまのうちにクギを刺しておいた方がいいと判断した。


「いいのか? ボウズ」

「別にいいですよ、なんならあの人との試合が終わったあと、おじさんとやり直してもいい。もちろん僕が勝っていた前提でのはなし」

「ホウ、そこまで言うなら問題はねェな、試合を許可する。審判は俺だ」


おっさんが話の分かる人でよかった。


「ブヒャ! 誰を相手に言っているのか分からせてやるよガキッ」


知らねぇし興味ねぇ。


そんなこんなで訓練場へ到着。

訓練場には模擬戦形式のスペースと、フリーのスペースで分かれていた。

おっさんは使ってない一角に行くと、俺たちを向かい合わせた。


「ゼノンくーんっ! がんばってーっ!」


フィッテは俺が前に出るとコロっと元気になり、キラキラした目で応援していた。

ちなみに遠距離魔法は基本禁止だ、周りに隠し、大教会でも隠ぺいするか迷っているのに使うのは極力避けるべきだ。

なので、今回のカードは無属性魔法と、素手、バレないレベルでの元素魔法だ。


「準備はいいか?」

「早くしろッ!」

「いいですよ」


肥満体の武器は剣らしい、鞘も刀身も豪華に見える。


「では、開始だっ」


開始の合図が出た。

俺は最大速度で身体強化を始めると同時に、相手との間合いを測った。


「ブヒョオオオオオッ!」


奇声をあげて突っ込んでくる肥満体だが、こいつ、遅い。

もしや罠か?


仕方がないので、こちらから一定距離まで詰めてやることにした。

俺は全速力で間合いを詰め、再度相手の出方を窺う。


ビュンッ!


「ヒョッ!?」


肥満体、いや、ブタが停止した。

……おまえなんなん。

意味が分からなかったが、仕方がないので隙だらけの胴体を攻撃する。

右ストレートだ。


「シッ」


ドゴッ!

俺の放った拳はブタの下腹部にめり込み、そのままブタを場外までぶっとばしていた。


「ぶおおおおおおおおおおおおおおッ!」


ドスンッ……。

…………。

……。


えっ!?

終わり!?


「うそやん」


俺は気合いの抜けた言葉と共におっさんを見た。


「勝者、ゼノン ! 試験は合格とする!」


終わってしまった。


「キャーッ! ゼノンくんキャーッ!! キャーキャー!」

「……(パチパチ)」


フィッテが大興奮した様子で飛び跳ねていた。

メイドさんからは無言の拍手。


「「「男爵様ー!!」」」


今頃気づいたのか、正気に戻ったのか、取り巻きが肥満体をギルドの外へと輸送していった。


「いやぁボウズ、やるじゃねぇか。今の動きはなかなかだったぜ。おそらく冒険者でいうところのD~C級くらいのスピードとパワーだ、文句なしの合格だな。カァーッ! たまに居るんだ、年齢と実力の釣り合わない天才ってやつがな」

「あ、いえいえ今のはまぐれですよっマグレ、はは」


そういや中年の冒険者がLv20だったっけ、筋肉増強と体格差があるとしても、加護の基礎能力成長補正と無属性魔法の身体強化でだいたい互角だったってことか。


「ちょっとまってろ、いまギルドカードを発行してやる。だが試験で出せる最高判定はEだ。お前は今日からE級冒険者として加入してもらう、そこは了承しておけ」

「わかりました」


まぁ試験だしな。


「えへへ。へのんくんはすごい、へのんくんは……」


フィッテの精神がどこかへ行ってしまったようだ、しばらくそっとしておこう。



こうして俺はE級冒険者となり(またフィッテが暴走した)、日が沈みはじめたところで宿へ帰宅したのであった。

明日は大教会だな。

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