03 夢だとしても
………………あれ……
……夢……?
「なんなんだよここ……」
すごく久しぶりに目を開けた気がする。
崩れかけの教会。
少なくとも、前半分は天井が落ちている。
どうして教会なんかに……
「ねえねえ、あなた外から来たの?」
すぐ後ろから聞こえる、快活な女の声。
後ろは崩れてないみたいだな。
「……誰?」
「おっとっと、こりゃ失敬。
あたしは一応ここのシスターやってるんだ。
あなたみたいに、
祈りもせずにボーッと座ってる人は、大抵
ここじゃないどこかから来た人だからさ。」
シスター?
振り返ると、確かに修道服の女性が1人。
神に祈りに来た覚えは無い。
だとするとこれは
『神原沙由里さん蘇生の条件は
<魔王>の討伐です。』
蘇生。魔王。
ゲームじゃあるまいし。
「なあシスターさん、魔王ってどこにいるんだ?」
「!」
さっきまでの笑顔が嘘みたいに、シスターさんは険しい顔になる。
「……それを知ってどうすんのさ」
「決まってるだろ。倒すんだよ。
<そういう世界>なんじゃないのか?」
「無理だよ! 何言ってるの!?
あいつに勝てるわけない!
あたしだって、できるんならとっくにやってる!
でも……あいつは……」
「いいから教えてくんないかな。
こんなところでだべってる場合じゃないんだ」
そう、可能性が少しでもあるなら。
ゲームでも夢でも妄想でも良い。
沙由里に、もう一度。
そう願う俺の心には、
少し余裕が生まれた気がした。
こんにちは
小夜寝草多と申します。
やっとこさ異世界にやってきた勇太ですが
沙由里とまた逢えるかも……
という思いからか、
少し冷静になったみたいです。
それが彼の道にどう影響するのか……
これからも、どうぞよろしくお願いします。




