29 急転直下
──遺跡内部
遺跡内は、所々にロウソクが灯っていてちゃんと前は見えた。
別にどこかが壊れているとかいうこともないんだな。
何も無い。本当に何も。
「おかしい」
「気づいたかユウタ」
気づくだろ……
シオンが村を襲っていたという事実がある以上、
犠牲になった村人がシオンになっていないとおかしい。
既に村2つ分。その村人が遺跡に入った。
数にして100は下らないはずだ。
遺跡内に散らばっていないのはなんでだ?
「術者がシオンを統制してるんじゃねえか?」
「いや、シオンと術者とのリンクは切れていた。
それに、自律魔法でない限りあそこまで複雑な命令は下せない」
めんどくせえなあ魔法。
俺が何言っても否定されそうだな。
黙ってよ。
「あ、あれ……?」
「どうしたリリィ」
「え、あの、討伐隊のおじさんたちが……」
あ? ……な…………
何で3人とも……いない……?
「な、なんだと!?
俺が一切気配を感じられなかった……
くそっ! なんでこんな早く!」
「落ち着けガルーダ!
まだ死んだと決まったわけじゃねえ!」
急展開すぎんだろ……
ここまでに横道や分岐は1つも無かった。
だとしたら生きてる可能性が高い。
まだ後ろにいるってことだからな。
「1回戻るぞ。
おっさんたちはたぶん後ろ……」
「おおーい! 悪い悪い!
ちょっと落とし物しちまってよ!
それより、こっちに隠し通路があったんだ!」
なんだよ……
一声かけろって……
…………いや、違う。
「貴様ら! 陣形を乱すなとあれほど……」
「違うガルーダ。
あれはもう"ダメ"だ」
ガルーダが訝しげに俺を見る。
俺には魔力のことはわかんねえが、気配を感じ取ることに関しちゃ誰にも負けねえ。
もう、3人とも……
「ガルーダさんたちも早く行きましょう!
あの通路、きっと近道ですよ!」
「うるせえぞゾンビ野郎。
よくもまあ、あんな短時間でおっさんたちを……」
ガルーダとリリィの表情は晴れない。
おっさんたちは貼り付いたような笑顔をやめない。
やめろ気持ち悪い。人間のふりするんじゃねえ。
笑顔と裏腹に、言葉と声はどんどん歪んでいく。
「暗……殺者、ア、ん殺、しゃ
あ、ちょうだイ、ちょうだいちょウダい」
人間ごっこはやめたみてえだな。
リリィはすぐに警戒の構えをとるが、ガルーダは動かない。動けないんだろう。
「とっとと楽にしてやる……よ…………」
おっさんたちの後ろ。
人影。1つや2つじゃない。
終わりが見えない人だったモノの波。
そりゃそうだよな。
おっさんたちがシオンになったなら。
「ゥオアアア…………
アアァ、アアアアアアアアア!!!」
シオンにした奴らがいる。
こんにちは
小夜寝草多と申します。
今回もペース早めにお話が進んでいます。
人が登場する物語である以上、多少「自分がこの立場だったら」と考えることがありますが、このお話で言うと、怖いという感想一択です。絶対にこんな境遇には遭いたくないです……
ここまで読んでくださりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




