24 名声
クリスタルを集めようと思ったらどこの誰とも知らない奴が2つも回収しちゃったから強奪してやるぜ。
妙な喧嘩腰の口調せいで内容があまり入ってこなかったが、要約するとこういうことらしい。
ギルドマスターの粋な計らいでリングを使った身分証明はできねえし。
くそっ。中途半端に有名なせいだな。
顔がもっと知られていれば偽物なんて現れない。
肩書きばっかりひとり歩きしてやがる。
「ふん!
大人しく渡してりゃあ死なずに済んだのになあ」
俺の気も知らないであんなことを言っている。
これを機会にちょっと有名になっとくか。
アホ発生防止のために。
「<透過>!」
暗殺者(笑)の姿が見えなくなる。
暗殺者を語るだけあって、それっぽい魔法は覚えてるみたいだな。
……あ、あいつ、俺の偽物を語るくせに魔法が使えるのか…………なんかショック。
……殺気を隠すのが下手くそだな。
俺じゃなくても場所が丸わかりだろ。
俺の後頭部目掛け蹴りを出してくる。
その脚を片手で受け止め、少し交渉。
「諦めてくんねえかな。
俺たち急いでんだ」
「なっ、お前……っ!」
ご立腹のようで、その声には明らかな怒りが込められていた。
だめか。
「……ちったあやるみてえだなあ。
こいつはどうだ!?
<疾風迅雷>!」
高速で移動を繰り返す暗殺者(笑)。
魔法で身体能力を底上げしたのか。
リリィも似たようなことをやってたな。
だが、
「疾風迅雷って速度じゃねえなあ」
「くらえええ!!」
特攻してくる。わざわざ紙一重で回避。
突き出た腕を掴み地面に押し付けガリガリと擦り付ける。
「痛い痛い痛い!!!」
情けなさすぎ……
暗殺者の印象まで情けないことになるだろうが……
「本当にもうやめようぜ?
これ以上生傷増やしてもしょうがないだろ」
「うっせえ!!」
俺の手を振り払って距離をとる偽物。
「俺様の十八番を見せてやるよ!」
「涙目で言うなよ……」
ていうか十八番って久しぶりに聞いた。
何が飛び出すやら。
「<大炎剣>!!」
あ、あの魔法は……!
俺が必死に練習しても出なかった魔法の上位互換!
難なくかわすが、心の傷は大きい。
……こんな卑怯者にも使えるのに……魔法…………
「か、かわした……だと……」
「効いたぜ……
代わりに俺の十八番も見せてやるよ」
「い、いや当たってな」
「回し蹴りいいい!!!」
ドッ!! と小気味よい音がして吹き飛ぶ偽物。
意識は完全に飛んだようだ。
皆に伝えておきたい。
魔法を使えないことは恥ずかしいことではないんだ。
「悪かったなあ!!
暗殺者なのに魔法使えなくて!!」
この事件以降、俺の名はギルド中に知れ渡った。
驚異的な身体能力、その速度から<最速>。
暗殺者であるにも関わらず魔法を使えない<変り種>。
強いのに親しみやすい。笑える。
いつしか俺は、皮肉を込めて
<世界最高の暗殺者>
と呼ばれるようになった。
こんにちは
小夜寝草多と申します。
ギャグパート突入。そして終結。
読み手も書き手も、ちょこっと肩の力を抜けたんじゃないかなと思います。
ギャグパートは多い方が良いんでしょうか?
要望等ございましたら、気軽にコメントをお願いします。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




