02 条件
「…………今……なんて……」
「神原沙由里さんを、
生き返らせたくありませんか?」
さっきと全く変わらない調子の声。
声の主は俺のすぐ近くに立っている。
長身で白い長髪、マントのようなものをまとっている男。
色白で、表情の無い、とても整った、
死んでるみたいな顔。
何を言ってるんだ。
沙由里は死んだ。
もう帰って来ない。
行き場の無い怒りが、今になってこみ上げてくる。
気づいたら男の胸ぐらを掴んでいた。
「黙れ!!
沙由里は……! 沙由里はもういないんだ!!
死んだんだぞ! トラックに轢かれて……
だから……もう……」
「神原沙由里さんを、
生き返らせたくありませんか?」
平然としやがって。
ふざけるな。
黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ。
そんなの決まってるだろ。
「…………また……逢えるのか……?」
「肯定と受け取ります」
相変わらず表情が変わらない男。
整った顔が、不気味さを強める。
「神原沙由里さん蘇生の条件は
<魔王>の討伐です。
手段は問いません。
ささやかながら、手助けをさせていただきます。
では、健闘を祈ります。」
俺の意識は、そこで途絶えた。
こんにちは
小夜寝草多と申します。
初の連載ものの第2話です。
第2話まではちょっと辛い話となっていますが、
ここまで読んでくださった皆様、
本当にありがとうございます。
次回からようやく話が動き出します。
少し肩の力を抜いてご覧いただければと思います。




