01 失ったもの
冷めたポテトは、塩気が足りない気がする。
自宅のアパート近くにあるファミレス。
時間は23時を回ってから確認していない。
頼んだのはフライドポテトだけ。
4人がけの席に1人。
2日前まで2人で来ていたのに。
沙由里と一緒に。
昨日、いつも通りに大学に行くのを見送った。
ようやく売れ始めた小説の執筆最中。
ふいに鳴った電話に出た。
不幸な事故、だそうだ。
トラックの運転手が心臓発作を起こし、彼女を轢いた。
運転手も死んだらしい。
誰も悪くない、運が悪かった。
でも、
行ってらっしゃいなんて言うんじゃなかった。
今日は休んで映画でも見よう、と
そう言っていればよかった。
後悔せずにいられない。
小説なんて書きたくない。
もう帰ろう。
もう眠ろう。
─広いとは言えない畳の部屋。
今はすごく、ものすごく広く感じる。
毛布も敷かずに寝転がる。
目は冴える一方なのに、頭は空っぽのまま。
「桜田勇太さん、ですね」
俺1人の部屋に響く、俺以外の誰かの声。
低い、男の落ち着いた声。
「神原沙由里さんを、
生き返らせたくありませんか?」
俺はようやく、体を起こした。
初めまして
小夜寝草多と申します。
まだまだ駆け出しですが、
どうか温かい目で見守ってください。
テンプレートなファンタジーに則りつつ
少しダークな雰囲気を味わっていただければ
と思います。
これから、よろしくお願いします。




