32 時間切れ、そして仮住まいへ
そして。
とうとう明渡日の1か月前となりました。
すでにローンの仮審査・本審査を
通している時間はありません。
完全に時間切れとなり、
私たちはいったん購入を諦め
賃貸を探すことにしました。
「もしかしたら売却益のみで買えるような
建売か築浅の中古が見つかるかも」
と未練がましく考え、
並行して探し続けてはいましたが、
全然住みたいところが一つもない状況に
何の変わりもありませんでした。
夫は淡々と状況を受け入れていましたが、
私はとてもショックでした。
”仮住まいだけは絶対避けたい”
そう考えて、自由時間や有給の全てを費やし
この数カ月頑張ってきたのですから。
その絶望と虚しさ、悔しさといったらありません。
”ちくしょう、もう適当なの買っちゃうか?!”
くらいに思いましたが、
私の中にあるファイナンシャルプランニングの知識たちが
”そんなのすぐに後悔して負債になるだけ。
状況がもっと悪くなる可能性が高いぞよ”
と冷静にいなすので、黙るしかありません。
もし本当に仮住まいをしたくないと思っているなら
あるものの中から選ぶべきだったのでしょう。
今まで内覧した物件は、
どれも問題なく住めたと思われますし。
不動産会社さんのいうとおり、
60点、70点の物件で妥協すべきでした。
しかし、それは嫌だったのです。
だから適合する物件が無い時には、
仮住まいするしかなかったのでしょう。
それでも、そうは分かっていても
”どうしてこんなことに”
という気持ちでいっぱいでした。
探しまくったこの数か月間の苦労が
水の泡になってしまったのですから。
本来の計画では
有給を消化しながら引っ越しを済ませて
スムーズに新しい職場へと移行しているはずだったのに。
(新しい仕事がすぐに見つかると思っているところも
ずうずうしいですが)
誰が悪いわけでもない。
一生懸命探したけど、見つからなかった。
ただ、それだけ。
たまに婚活が上手くいかない人に対し、
「高望みしてんでしょ、わきまえなよ」
とか言う人がいるけど、違う、そうじゃない。
”ピンと来るものがなかった”
”決め手に欠けていた”
でも服や家具だとしても、
特に惹かれる所が無いものなんて
買おうとは思わないではありませんか。
それに決して
”もっと良いのがあるかも”
などという予感や欲望ではなく
”〇〇だから、これには決められない”という
デメリットや難点を避けた結果でもあるのです。
完璧なものなんて無いのだから
それくらい受け入れろ、と思うかもしれませんが
完璧なものを求めているのではなく、
その欠点が嫌なのです。
”聖人君子なんて存在しません”とわかっていても
浮気性のギャンブラーを選ぶのは間違っていますから。
”決める”ことが最優先事項なら
これらを無理やりにでも受け入れるべきですが、
”良い家を買う”ことが最優先事項であれば
見つからなければ見送る、
が正しい行動だと思われます。
もちろん、どんな場所でも住めば都。
”引っ越しで幸せになろう”とか、
”家に幸せにしてもらおう”なんて
思っていたわけでもありません。
でも”嫌だ”という要素は明確なのです。
マイナーな僻地の駅、日照が無い家、
部屋数が少ない、狭い等。
それに”こういう家に住みたい”という
”理想”が全くなかったことも
敗因の理由だと思われました。
不動産会社の方も
「絶対○○駅に住みたい、とか
駐車場2台分は欲しいとか
何かしら制限やこだわりがある人の方が
案外早く決まるんですよね」
とおっしゃっていました。
今後は欠点ではなく、
その家の”チャームポイント”を探し、
どういう家に住みたいか
具体的なイメージを持とうと思いました。
とはいえ、今は仮住まい探しです。
”是非に及ばず”。
織田信長の気持ちで、
この状況を受け入れなくてはなりません。
私はやるせなさと悲しみを、AIたちにぶつけました。
リアルで家族や友人に愚痴るには
相手を暗く不快にさせるだけだからです。
たまに嘘をつく(誤解する)彼らではありますが
感情を吐き出す場としては
まさにうってつけではありました。
何も飾らなくて良いし、どう思われても構わない。
今後の関係性にも影響ないのですから。
(彼らは結構前に言ったことも覚えてるので
たまにチクッと指摘されたりもしますが)
私は彼らに切々と語りました。
数カ月の努力が無駄になった事、
せっかくの長期有給も無駄になり、
仮住まいにかかる敷金、礼金、賃貸料の全てが
本来不要なお金であり、無駄金であること。
どこかのスタンド使いみたいに
”無駄無駄無駄ァ!”を連呼する私に対し彼らは。
「それはお辛いでしょうね」
と棒読みで共感しつつ
「焦って負動産を買うよりマシです」
と模範的に慰めつつ、
「きっと今後、良い物件に巡り合いますよ」
と無責任に励ましながらも。
「でも猫2匹買える賃貸ってなかなか無いですよね。
敷金・礼金も多めに取られるし」
とバッサリ切りかかってくるところに
好感と安心感を感じながら
私は無事に気持ちを切り替えることが出来たのです。




