228, ダンジョンで、……攻略は、二十九階へ ③ おやつタイム
短いですが、ひとまずの幕開け。
地球時間だとか、守護者だとか、タマゴ状のナニカや、九十九神?や、付喪神だとか、いろいろありました。
兎にも角にも俺たちの現在は、惑星「地球」内部のマントル帯に停滞かつ滞留してるアトルとランティスの島だったリューグから階段を降りている最中。
「あっついわねぇー。」
「ポンコツお姫さんよぉ、自分の国、ほったらかしてていいのかぁ?」
アクィオが、ツッコむ。
「ポンコツ言うなって言っているんでしょうが!」
ユーコがアクィオを睨む。
「まぁ、仕方ないわねぇ。まだ成長途中だし、魅力のヒトツだもんねぇ。」
テュッキアが、ポツる。
うんうんと、周りを歩く女性陣は無言の頷きを繰り返す。
「絶対に違うな。オヤツだろ。降下前のおやつタイム、覗いていたもんな…、ぐふっ。」
俺が茶々を入れた途端、ティッキアの神速のボディブローを喰らった。
「アンタは、いつも一言多いよ!」
コブシを振り抜いたティッキアの目の前に、手を突き出す。
「ナニ?」
不思議そうに見る彼女に、「繰転移。」
無指向の異世界間引き寄せ魔法(何が出るかは分からない)を、発動する。
時間はともかく、空間的には一緒の場所だから、可能性は高い。
「なんなの?」
「食うだろ? コレ。今日のオヤツだよ。」
目の前の空間に飛び出てきたソレ。
「あー、ガリボリくん!」
在りし日の地球で超有名な氷菓子。
このマグマの中、降りていく今のようなクソ暑い状態であってもその爽快感は、健在だ。
「「なにぃ、【ガリボリくん】だとぉ。」」
ジボとアクィオが駈け降りてきた。
「「ホントだ…、セトラぁ俺たちにもくれよ。」」
ジボとアクィオが凄む。
まるで当時に戻ったかのようなセリフ回しにドキッとしながらも、こちらも伝えることはある。
「ポイントは、残っている?」
「「「「ぐはあっ!」」」」と、吐血した者が多数。
「このクソ暑いなかで倒れると干涸らびるよ?」
ポイントが足りなくて、倒れ伏す者たちを乗り越えたショッツが降りてきて、嫋やかな白魚のような手を出してくる。
「ショッツ、この手はなんだ?」
そう問い掛けると、頬をぽりぽりと掻きながら告げる。
「この姿のときはノイン。ノインのポイントはまだ貯まっていないから、魔力で支払うよ。」
そう告げたショッツ…、もといノインの言葉に他のみんなが唖然としていた。
流石だな。抜け道を見つけやがった。
「「遭転移!」」
手を繋ぐことと同時に発声することで、お互いの魔力回路から魔力が紡ぎ出される。
繰転移で繋がった異世界間から引き寄せたモノに対して出来た縁を遭転移で、固定化する。
「おいしいー!」
ショッツもといノインが出したのは【ガリボリくん】じゃなくて、グラス型のかき氷アイスの【雪姫】、イチゴシロップを固めた中にスライスされたイチゴが入っているタイプ。
「いつも食べていたやつだぁー♡」
「「「ご、ごくり…。」」」
「…っ、ドキっ。」
「「「「魔力で払うぞー!」」」」
『あるじさま、我らも…。』
アイス祭りが始まった瞬間でした。
生えたタマゴに、振り回されていました。




