226, ダンジョンで、……攻略は、二十九階へ ① 闘技場のウラ?
戦いではなくて、すみません。バトルロボなのに…。
『う~ん、なんでボク、主が認識できるんだろう? ゲンブの中で寝過ぎたかなぁ。軽く計算しても、ほぼ一万年は過ぎているものなぁ。』
ゼロが独り言ちる。
『でも、かいざーとの対戦かぁ。燃えるよね、コレは。』
ゼロは自慢のクジャクの尾羽根模様を広げる。
損傷は治して貰ったから、自機の戦闘行為に不安は無い。
『ボクの主と、ゲンブの主が調整してくれたんだもの。これは、一発仕掛けてみようっかなぁ。』
久し振りの戦闘を強敵のドリルゲンガーと繰り広げたゼロに勝敗ポイントが振り分けられ、どうやら自我が芽生えたようだった。
「行け! ゼロ!」
「ビンガ…、頼むよ。」
という、双方の主によって、勢いよく引かれたスターターの銃爪によって、規定の長さの巻き糸が巻き上げられることによって、バトルロボの内部に闘争の意志が込められる。
……ハズだった。
目を光らせ対峙するボクと、かいざー。
かいざーがビンガという名だったのは、いま初めて知った。
『オォゥゥァァ!』と、紅い毛玉鳥が雄叫びをあげると、蹲った鳥が立ち上がるが如く、スリムに変化すると尾羽根に飾り羽根が顕現れる。
『似てる。』
その姿は、ボクに似ていた。……とても。
ゼロは主たちが装備しなおした孔雀の羽根を、足元の装備から一部を跳ね上げる形で保持、『フォゥアァァ!』と叫び返した。
「セトラ、似てる!」と、驚いて言葉が幼くなるノイン。
『オォゥゥァァ!』と、ピョンと跳ねるビンガ。
『フォゥアァァ!』と、ピョンと跳ねるゼロ。
「そうだな…。」としか、返せないゲンブの主のセトラ。
彼の周囲に精霊化した眷属たちが潜在しているようなのを、ボクは検知しているよ。
「セトラ、目が光った!」と、ノイン。
『オォゥゥァァ!』と、羽を広げるビンガ。
『フォゥオァァ!』と、羽を羽ばたくゼロ。
「そうだな…。」としか、返せないゲンブの主。
「セトラ、ゼロが叫んだ!」と、ノイン。
『オォゥゥァァ!』と、ピョンと跳ねるビンガ。
『|フォゥアァァ《ボクだって、負けないよ》!』と、ピョンと跳ねるゼロ。
「そうだな…。」としか、返せないセトラ。
「なあ、ノイン。俺いま気付いたけど、あのバトルロボってどこに仕舞っていたっけ?」
「ゲンブの外装の中。当時の最新式のシェルターを改造したんだよ。」
「そうか…。」
『オォゥゥァァ!』と、ピョンピョンと跳ね回るビンガ。
『フォゥアァァ!』と、ピョンと跳ね上がるゼロ。
『…オォゥ? キュゥ?』
『…フォゥ? キュィ?』
お互いを認識したのか、首を傾げる二羽?
「カイザー、あれはああ言う仕様か?」
「…いや、シークレットモードではあるが、あんな仕様になっているとは気付かなかったよ。」
「だろうね。なんか、闘いっていうよりも、アレ出逢っちゃったみたいだぞ…orz」
「「出逢う?」」
主たちが、意味が分からんと、首を捻っている。
「だって、鳳と凰だもの、惹かれあうでしょ、ふつうは。」
『ボクらって、鳳と凰だったんだ。』
なんとなく、納得できた。どこかで惹かれあっている気がしていたから。
『我も、か。……うむ、我も、だ。』
「「鳳と凰? なにソレ。」」
「鳳凰って聞いたことない? 神話の鳥のオスメスだよ。ゲンブの外装の中で一万年は経過しているから、ふつうに付喪神になって神格化したんじゃないの? これって。で、ああなったワケ。」
「「マジですかっ!」」
驚いてしまった主たちは、思考停止状態のようでボクたちでさえ笑えてしまう。
『…オォゥ? キュゥオォゥ?』
『…フォゥ? キュゥフォゥ?』
あ、鳴き方、問い掛け?が変わってきたな。
『キュゥ? オォゥ?』
『キォゥ? フォゥ?』
そろそろ佳境の様ですか…。
『『キュオオゥ!』』
羽根を広げあって、お互いを抱える。
あ、合意したみたい。
命を繋ぐ戦いは終了した模様。
『『ナニ言っているの、大事な戦いはこれからなんだよ。』』
そう、まだこの空間でしなければいけないことが残っている。
それを成したあと、ボクたちは進む方向が違えてしまうかもしれないのだから。データは交換したから、このあとのすべては主たち次第。
『階段、到着したでする。』
という無粋な声を聞きながら、ボクらはそれぞれの愛すべき相手の主の頭上に、飛び乗った。
することは、ひとつ。
『ポン』『ポン』
お互いの主の頭上に鎮座したのは、うずらのようなボクたちのタマゴです。




