225, ダンジョンで、……攻略は、二十九階へ ⓪ 闘技場 EXバウト
こ、この展開は…。
勢いよく引かれたスターターの銃爪によって、規定の長さの巻き糸が巻き上げられることによって、バトルロボの内部に意志が込められる。
「行け! ゼロ!」
「ビンガ…、頼むよ。」
双方の主人の声にバトルロボが、目を光らせ対峙する。
「芸が細かいなぁ。」
「あのサイズで、この仕様か?」
と、チーム対抗戦の時にさえ、そんなアニメ効果なんて起らなかったはずなのに。
『オォゥゥァァ!』と、紅い毛玉鳥が雄叫びをあげると、蹲った鳥が立ち上がるが如く、スリムに変化すると尾羽根に飾り羽根が顕現れる。
「え? こんな姿していたっけ?」
前世で何度も皇帝ジボのバトルロボと戦ったことのある俺は、とんでもない事態に呆然としていた。
なぜなら…。
ノインのゼロが装備しなおした孔雀の羽根を、足元の装備から一部を跳ね上げる形で保持、『フォゥアァァ!』と叫び返した。
「似てる…。」
そう、呆然と呟いたノインのひと言がその闘いの場を表現していた。
「セトラ、似てる!」と、驚きに言葉が幼くなるノイン。
『オォゥゥァァ!』と、ピョンと跳ねるビンガ。
『フォゥアァァ!』と、ピョンと跳ねるゼロ。
「そうだな…。」としか、返せない俺。
「セトラ、目が光った!」と、ノイン。
『オォゥゥァァ!』と、羽を広げるビンガ。
『フォゥオァァ!』と、羽を羽ばたくゼロ。
「そうだな…。」としか、返せない俺。
「セトラ、ゼロが叫んだ!」と、ノイン。
『オォゥゥァァ!』と、ピョンと跳ねるビンガ。
『フォゥアァァ!』と、ピョンと跳ねるゼロ。
「そうだな…。」としか、返せない俺。
「なあ、ノイン。俺いま気付いたけど、あのバトルロボってどこに仕舞っていたっけ?」
俺はちょっとヤバいことに気付いた。
「ゲンブの外装の中。当時の最新式のシェルターを改造したんだよ。」
俺の問い掛けににこやかな笑顔でノインが、答えてくれた。
「そうか…。」
『オォゥゥァァ!』と、ピョンピョンと跳ね回るビンガ。
『フォゥアァァ!』と、ピョンと跳ね上がるゼロ。
『…オォゥ? キュゥ?』
『…フォゥ? キュィ?』
お互いを認識したか、首を傾げる二羽? と言っていいのかな。
「カイザー、あれはああ言う仕様か?」
俺はどうしてもジボに聞かなければならなかった。
「…いや、シークレットモードではあるが、あんな仕様になっているとは気付かなかったよ。」
「だろうね。なんか、闘いっていうよりも、アレ出逢っちゃったみたいだぞ…orz」
くるくると、それぞれに、舞っている感じがすごくする。
前世で鳥たちがしていたような求愛ダンスにそっくりだった。
「「出逢う?」」
ジボとノインが、意味が分からんと、首を捻っている。
「だって、鳳と凰だもの、惹かれあうでしょ、ふつうは。」
「「鳳と凰? なにソレ。」」
「鳳凰って聞いたことない? 神話の鳥のオスメスだよ。ゲンブの外装の中で一万年は経過しているから、ふつうに付喪神になって神格化したんじゃないの? これって。で、ああなったワケ。」
「「マジですかっ!」」
驚いてしまった二人は、思考停止状態のようで笑える。
『…オォゥ? キュゥオォゥ?』
『…フォゥ? キュゥフォゥ?』
あ、鳴き方、問い掛け?が変わってきたな。
『キュゥ? オォゥ?』
『キォゥ? フォゥ?』
そろそろ佳境の様ですか…。
『『キュオオゥ!』』
あ、合意したみたい。
命を繋ぐ戦いは終了した模様。
『階段、到着したでする。』




