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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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217, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ⑩ 闘技場 ①

ショッツの事で書き直し五回。悩みました。

「黒のポーン、ホライゾン参る!」

 一際(ひときわ)高き涼やかな声音(こわね)が、バトルロボの対戦場である地底世界の闘技場場内に響き渡る。

 その者の手にあるバトルロボがコンバットエリアに射出されていた。


「「「なあ…、セトラ…、あいつってさあ…」」」

 あちこちから、そんな言葉が聞こえてくるが、


「言うな! 何も言うな! あいつだってツライんだよ。性同一性障害ってわけじゃないんだ。普通のヤツなんだよ…。前世()から、な。それとも、おまえらも変わるか?」

「「「……」」」



 ショッツの見た目としては背丈が少し縮んだものの、出るところが出て、引っ込むところが引っ込んでいる姿に戸惑う者は、数知れない。


「は、恥ず…い。」

 その声のぬしは、『最強の矛盾(プラチナム)』の一角。

 セトラの親友、ショッツ。


 一昨日(おととい)までは、確実に男性だった(・・・)者だ。

『なんの因果で、こんな…ことに。』

 周囲の視線が、ショッツに集中してしまうために彼自身は、意外にも試合に集中出来ていなかった。



 体調が優れないというよりかは、女性の服は着慣れないし、第一すぐに体に合うのが見つからない。かといって、女性陣から服を借りるのも絶対に無理だった。


 いまは一時的…一時的であってほしいと切実に願っているが、もし貸してくれる女性(ヒト)が居ても、男に戻ったその時に、返せなくなるから。


 だから、ゴーレムの素材でNスーツに似たモノを着用することとなった。

 ネコミミ≠イヌミミのカチューシャの機能を取り入れたセトラ謹製の特注モノとはいえ、完全に女性と化したこの身を守るのは、キツネ耳とキツネの尻尾を完備したν(ニュー)ゴーレムスーツ。その機能性と環境性能を重視した【地球】の地表に居るチヅルとの情報交換により得られたデータを活用していた。


『何よりBWH(スリーサイズ)は、今まで無かったモノだし、85Bって何なんだよ。』

 ショッツの心の声が俺に響いてくるとか、ダレ得だよ?



 チヅルとのデータ交換をしたものの、あちらでは素材にそこまでの自由度が無いためか、ハードスーツの一部として流用を研究し始めていた。突き詰めれば前世の俺たちにも恩恵はあるってことだな。


 そして、そのショッツの対戦相手はクジ引きで決められていたため、とても因縁のある相手だった。

 黒のクィーンたるワルキューレの名を持つユーコ。

 彼女の操作するバトルロボは、自意識があるかのような動作で風の魔法陣を描いていく。

 ショッツの操作するバトルロボは、風の魔法で回転力を増していた。


「ずるい…。」

 それはどちらの言葉であったのか、もしくはどちらもか。


「魔法なんてモノがある世界だ、四の五の言わないが、もうちょっとマジメに試合しろよ。この試合結果は今回召喚の出来なかった関係各所の旧城(カスル)のスクーリンに映像が送られて鑑賞される。各機体のレプリカを欲する者たちによってオークションに掛けられる可能性も出てくる。バージョンアップはそれ次第だな。今回の持ち出し分を補填できるかどうかも、な。」


 俺の言葉に、ハッとした顔があった。

 ショッツとユーコだ。ショービジネスは最初が肝心であると、思い出したようだ。

 今でこそ、こんなんだけど、前世の地球においてアニマルセラピーの第一人者として、世界各地を回っていた二人だ。だからこそ、バトルロボ十傑に名を連ねることになったんだから。


「そうか…、そうだな。黒のポーン、ショッツ参る!」

「そうね、掴みは大事。黒きクィーン、ユーコ参る!」


 そこに甘えは、無かった。

 瞬時に風の魔法陣が、多重展開した。

 そして、炸裂。


 観衆はバトルロボというゴーレムを凌駕した“なにか”を、強烈に目に焼き付けることになった。

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