205, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ⑦ 扉の向こう側
ちょっと短いですが、次の展開のために……orz
『勇者っ、召喚っ!』
召喚のためのフレーズをまた発気する。
単なる掛け声でも叫びでもない、場を整えるための気合いを発する。
もう何度目の発気かは忘れたが、術者の気合いは満タン!
召喚陣も召喚服も用意した。網も召喚石もすでにすべては整っている。
なのに、現れない。
不安が募る。
どこかが間違っているのか、それとも召喚の儀は、やはり自分には無理だっのかと悔いてみたりする。
入り乱れた心を落ち着かせようともする。
術者の格? 千々に乱れる心、魔力にも焦りが出てきて制御の難しさが心を占めようとした……その瞬間。異変が訪れた。
扉に小さなスクーリンが突然、現れました。三セチ角くらいのものでしたが。
それでも、漸く扉の向こう側の様子が知れました。
音は聞こえないが、飛びかっている食材などから推測するに食事会のような……、じゃない?
酒盛り?
あ、あれは、噂に聞くプリンではないか!
も、もしや宴会かっ!
な、なんという羨ましい行事か!
「姫さま、扉に顔を付けて何をしておられますか?」
「…………え、宴会やっているー!」
「……はぁ? ……。」
「……この扉の向こうで宴会やっている。」
「それはまた、何とも豪気ですなぁー。」
なんてことを言っているのかもしれないなどと思いながら、こちらでも、あちらの様子を確認する。
「ジー……。イマイチ、時代が不明だな。」
見えている光景から推測出来ることを頭に叩き込んでいった。
「おいセトラ~、さっきからその扉にくっついているけど何か見えているのか?」
「ん~扉の向こうかな?」
「ふ~ん、扉の向こうね、……………扉の向こう? 異世界のか?」
「まーね、うん、マジに見えているっぽい?」
「何でそこ、疑問系なんだよ。」
アクィオ君のツッコミが入りました!
「いやぁ、扉の向こうの人?って、前世のムービーに出てくるような古代戦国文明の格好してまして、いつの時代なのかと高速思考していました。」
どっちにしても、この扉を開けないと事態は進展しないし、ダンジョンとしても制覇できないのは自明の理。ただ、この扉は、今までの扉と違ってドコに繋がるか分からないというルーレットな場所。
ただ、異世界への扉には法則性が有ったはず。
戻ってきたヤツがいるから、行き来が不可能という訳ではないらしい。
アトルとランティスの島を選んだ時のような二択で無いことを祈ろう。
「さぁ、そろそろ腹ごなしに扉を開けますよ。準備はいいですか?」
「あんたたちも手を当てて!」
残っている人たちが扉に手を付けていきます。
やがて、扉は光に包まれ、開いていった。
「いらっしゃいませ~。」
という脳天気な言葉が俺たちに掛かるとは想像だにしていなかった。
一ヶ月、考え続けて、この流れとは。




