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気象魔法士、ただいま参上 !  作者: 十二支背虎
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202, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ④

なぜ、セトラが召喚されるのかを考えて、日にちがたちました。

遅れて済みません

 傍目(はため)から見れば細い糸のような行き先だが、その中を実際に歩いている俺たちにとって細いとか、狭いといった違和感がまったく無い。

 どころか、妙に広く感じる。


 ただ、先頭を行く俺にとってはヒシヒシと迫る何かの感じがこの階段に入った時から、何かの警鐘が鳴り続けていた。

他の者たちが気がついたかは知らないが、あの(・・)マショウ・ジカイの物言い。

この先に待つ不安が確実に増大していく。


「だけどさ~、セトラと離れたとしても召喚(・・)したらいいんじゃないのか?」

 ヤースォ・トウタが問うた(・・・)

 それはみんな感じていたらしく、うんうんと頷く者多数。

 でもそれは、大きな問題が横たわっているんだよな……。


「う~ん、確かにね。でも、ヒリュキやシャイナー、ユージュたちとかの余程近しい間柄とか、嫁たちみたいな眷属じゃないと、なかなか難しいと思うよ。確かに君たちにも腕輪を渡しているけど…。んー、なんて言ったらいいんだろ……、その人の全体像が認識できないとダメみたいな感じ…かな?」

 そう言って渋る俺に、異を唱えるヒトが……。

「そんなこと言っているけど、俺とかレイとかは召喚していなかったっけ?」

 そうブッ込んできたのはアクィオ君。

 そりゃあ、キミは、ね。色々あったし……。


「そりゃあ、なんというか他の人たちに比べれば、()い関係なのは確か「「っきゃぁぁぁぁ、(こい)関係ですって?」恋よ、コイよ?」だけども……って、オイそこ、腐った発言ヤメロ。」

 そこまで言った時に、女子連中の一部が茶化し始めた。

 服装が学生服とセーラー服になったせいか、前世の学生に戻ったような状態かよ?


「腐ってませ~ん! 婦女子のロマンです!」

「いっつも、男のロマンとか言っているじゃない? 私たちが言って何が悪いの?」

「「「「「「そーよ、そーよ!」」」」」」

 意外にも同調する女性陣の多かったこと……。

 男のロマンな男性陣は押し黙るしか有りませんでした。

「うぐぐぐ…。」


『☆★*しょ…カンッ』

 意味不明の響きらしきものが聞こえ、その音に気を引かれた俺の目の前の景色が突然、二重にブレた。

 その何かの響きが何かの異変を起こしたのだ。おそらくは……。


 そして、バカな言動をしながら移動していた俺たちの目の前に、突然前方へ直進する道の他に左へと曲がる分岐点が突如として現れた。

 しかもバカ話をしている者たちの進路がそちらへと進み出していた。


「お、おまえら…なんでそっちに曲がって(・・・・)行くんだ?」

 俺の言葉に、彼らの方が不思議そうに応えた。

「…いや、セトラの方こそ曲がって行っているんだけど、そっちは壁だぞ?」

 アラクネのテュッキア・ラダ、水竜のホシィク・ミズヌゥム、空間系の魔法を持つレイ・コイトーでさえ、同様に頷いている。


「壁?」

 彼らの言葉に不審を感じるものの、ここで俺だけが別の道に行く訳にもいかない。

 もし、これが遠距離召喚系だとしたら目も当てられないことになるのは目に見えている。

 従魔たちや嫁たちも一緒にそちらに曲がって行っているのだ。


「セトラ様、そちらは壁ですわ。少なくとも私たちには、そう見えているのですわ。」

 リウスの言に、俺は覚悟を決めた。

 たとえ、誰かの、何かの思惑があろうとも、それを打破してやると。


曲がった道に足を踏み出したとたんに、俺の思考がブレた。

いや、ブレたというよりも目の前に映像が浮かび上がったという感じだった。それは………。


そこは暗い夜空に輝く核太陽系の光。

揺れる足元、割れる大地。

足元から噴き出す大量の水に流されゆく人々。


そして起こる、大どんでん返し。


 足元は頭上に、緩やかな薄暮(はくぼ)の世界から阿鼻叫喚の中、彼らは光の溢れる大地へとたどり着いた。

だが、そこに居たのは、あまりにも違っている世界に、似たような価値観を持った敵対者の存在が我らの祖先に、異界の力を借りるという間違った思考へと辿(たど)り着かせた。


苦しい戦局を乗り越えるためには仕方の無かったと(うそぶ)く時の権力者は、永き歴史に埋もれた水晶の力を(もっ)て打開することを考えた。


 その(いにしえ)の「勇者召喚の儀」は、彼らの祖先が地球上に覇を唱えていた頃でも禁断の術式だった。

 だが、伝説として残っている書物には、かつて召喚を成功した際に呼び出した者は比類ない力を発揮したことだけが記され、それを興すことの危険性が記されてはいなかった。

 伝説の残る証明としては、多大な功績とともに多くの領土の奪還に寄与したものの、召喚した者を帰還させることは誰一人として叶わなかった。

 無論、シャレー・ド・レシャードもその中の一人だっただろう。


 いくら、アトル(セトラ)ランティス(アトリ)の島の子孫たちとはいえ、十全たる力の制御は成らなかったのである。


「ああ、だから、()召喚さ(呼ば)れていたのか。だとしたら、あいつらもなんだろうなぁ。」

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