201, ダンジョンで、……攻略は、二十八階へ ②
ようやく出来ました。
『あるじ様たちの不安、某には良く分かりますでするが、既に行き先の設定がされていて、変更は不可能でする。ですが、不安解消のためのブツをご用意したでする。安全召喚服でする。どっかの空間に引っかかったとしても、ここに戻ってこられる服でする。』
マショウ・ジカイがパタパタさせながら告げてくる言葉に、不安が倍増しになっていく。
彼(?)の語る、安全な召喚服とはどういうものだというのかな?
「これもおまえの仕掛けか……。」
そう言って二十八回目のジト目を披露すると、シャイナーが苦笑いをしていた。
「全くだ。覚醒前のわたしは何を思って、こんなことをしていたんだろうか……、我がことながら殴ってしまいたくなるよハハハ……はぁorz」
普通のダンジョンがどういうものかは、前世のラノベなどを読みふけっていたからこその理不尽さは分かってはいたものの、ここまで有り得ない理不尽だとついつい愚痴っぽくなってしまうのも仕方ないことだろう……。
「まさかと思うけど、今度は平面とか言わないでくれよな。」
そう言いつつも、安全召喚用の服に着替えていく。今まで着ていた服は個人識別用のタグが付けられ、それぞれを追跡できるようになっていた。
『すべて、某が保管するでする。』
そう言って、マショウ・ジカイの体でもあるガラスに収納されていった。小さな格子の中に嵌め込まれたガラスに収納されたそれはタグを付けて分類されているためか、標本のようにみえた。
「しかし、この年で学生服を着ることになろうとは……。」
マショウ・ジカイの用意した安全召喚服は学生服とセーラー服だった。サイズは自動的に変更される優れもので、間違っても胸が弾けたり、ズボンなどの着丈が足らなかったりとかはしなかった。
マショウ・ジカイが申し訳なさそうに、話してきた事は、意外なことに関しての実情だった。なぜなら、俺たちの後ろを見ていたからである。
『あるじ様…、後ろのゴーレムホテルの大きさではこの扉をくぐれませんし、中のヒトにも召喚服をあげませんと、最悪の場合では階段空間内で漂流しかねませんよ?』
そう言われて、ゴーレムホテルの中にいるヒト族に気がついた。
「あいつはまだ起きられないから、最低限の大きさにして、安全召喚服はあいつのカプセルに被せておくか。ゴーレムホテル、自立モード起動。安全最優先で頼む。」
ゴーレムホテルに手を触れながら、モードの変更と最優先命令を伝えておく。
宿泊用では無く、移動用の大きさになっていたゴーレムホテルの大きさは五メルほど。
『コア・モジュール分離。超々硬装甲に推移。ランドセル“鉄人”を選択。パワードスーツ【轟雷】、オールグリーン。』
そう告げると、ゴーレムハウスから一部が分離。
軽やかな足取りでこちらに向かってきた。
その姿は………、鶏冠が有って、鼻が尖っていてアゴが強調されたシルエットになっており、俺は思わずガックリと肩を落とした。
「誰だよ、テツジン選んだの?」
ツッ込みました。
周りが静まりかえった中、件のゴーレムパワードスーツ君が、俺を指さしていました。
『アルジ殿ノ命令ニヨリ、ランドセルを選択。装甲ノ外装ガ、ソノ時点デ決定シマシタ。』
ぐうの音も出ませんでした。
全く、無駄に理解度の高いヤツめ……orz




