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陰り逝く日々  作者: 和之
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個展の終了と打ち上げ3

「それで佐恵子さんの様子を訊きに来たんだなあ」

「そこまでは喉まで出かかっているんだろうがとうとう言い出せなかったようだ。顔を見ればそんな感じだった」

 佐恵子の変調は正幸の云う何かの間違いだろう。そう有って欲しいと切なる望みを抱いていた事は確かだ。と言いながら北村はまだサンマの塩焼きに取りかかっていた。

「なぜ言い出せなかったんだ、向こうに後ろめたさが有るからじゃないのか」

 狭山はズバリ篠原の泣きどころを突いて来た。二人は目と目で了解したが堀川に問い詰められて、北村は穂高の一件は真実だと告げた。どんなに歪めても真実は隠し通せるものじやない。言った同じ口元へサンマとビールを交互に飲み食いしていた。

「要するに稜線から俺を突き落とした一件だ、あいつは真実を歪めた」

胸のつかえを押し流すように朔郎はビールを一気飲みした。

「どう思ったか分からないものを推測で判断したら良くない」

 と自棄になる北山を制して、狭山は箸を置いてビールに掛かった。

「北村、お前、人が良すぎる。今度会ったら俺が問い詰めてやる」

 狭山は更に言った。サンマを片付けた北村は、今度はビールに集中して聞いていた。二人の話に堀川は串カツを頬張り出した。

「そこまでしなくても目だけであいつは参ってしまうよ」

「北村さんってそんな鋭い目付きするの?」

「堀川、お前は知らんが北村のシャッター押すあの瞬間の鋭い目付きには俺も参ってしまうよ、ただ一瞬で持続性がないから佐恵子さんのように、特異な素質に関心を持つ人しか惹き付けられないんだ」

 ほうーと 堀川は串カツとビールを持ったまま感心して聴いていた、

「狭山、買いかぶりすぎだ。俺にどんな素質があるんだ」

「それが解らんからみんな苦労してるんだ。最初から解ってたら誰も必死になるか」

 これからも気を抜くなと云う狭山の忠告は、初めて拓いた個展の打ち上げに相応しい贈る言葉だった。それには篠原家の騒動には首を突っ込まぬことが寛容だと付け加えた。

それには堀川も賛同した。絆も目的もない正幸の一家は長年の惰性の延長に有るだけだで、少し隅を突かれただけで崩壊しかけない。いやもっと不安定な干満上にある砂の楼閣だった。


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