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鑑定しか取り柄のない俺、倒した敵のスキルを奪えると判明する  作者: 水瀬 洸
第一章 覚醒、そして始まりの一歩
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第十話 それぞれの道へ

ロックゴーレムを倒した帰り道。

街に戻った頃には、空はすっかり夕焼けに染まっていた。


ギルドの扉を開くと、いつもの喧騒が耳に飛び込んでくる。

だが——。


「おい……あいつ」


「また来たぞ」


ちらちらと視線が集まる。

ロックゴーレム討伐の報告は、すぐに広まったらしい。


俺は気にせず受付へ向かった。

二日目で集めた魔石を差し出す。


受付の女性は一瞬固まり、すぐに目を丸くした。


「ロックゴーレムの魔石……本当に討伐されたんですね」


「パーティで、ですけどね」


そう言うと、受付は奥へと魔石を持っていく。

その間、後ろから声が聞こえた。


「この前はLv1ダンジョン単独踏破だったよな」


「今度はロックゴーレムか……」


「パーティにLv3冒険者がいたらしいぞ」


「でもそれ魔法士って聞いたけど?ゴーレム相手じゃキャリーは無理だろ」


「……じゃあ実力なのか?」


ざわめき。

だが、以前の俺なら気になっていたそれも、今は不思議と気にならなかった。


やがて受付が戻ってくる。


「こちら、魔石の買取額になります」


金額を見て思わず目を見開いた。

特異個体の魔石があったとはいえ、想像以上の額だ。


「すごいですね。ロックゴーレムの魔石は割れてますが......」


受付が微笑む。


「Lv2ダンジョンを踏破する冒険者は、この街でもそう多くありませんから。ゴーレム系の魔石は研究に使われることがほとんどで割れてても高く売れるんですよ」


金貨を受け取り、席へ戻る。

そこには既に、ドグたちが座っていた。


「お疲れさん」


ドグがジョッキを掲げる。


「ロックゴーレム討伐祝いだ」


カイラが豪快に笑う。


「よくやったじゃない。あんたがコアを見つけなきゃ、あそこで撤退だった」


ミアが小さく微笑んだあと、ヴェルは落ち着いた声で言った。


「良い連携でした」


しばらく談笑したあと、ドグが口を開く。


「俺と姉貴は、東の街レグナスに行く」


「前に組んでた連中がいるんだけど、ドグがLv3になったら戻る約束をしててね。待たせてるんだ」


カイラが肩をすくめる。


「私はここですね。妻と子供がいますから、無茶はできません」


ヴェルは苦笑した。


ミアも静かに言う。


「私も……もう少しこの街で経験を積もうと思います。回復魔法って、Lv4になると国の管理対象になることがあるらしいんです。今は、まだ......」


少し寂しさが混じる空気。


「では、これも何かの縁ですので、斥候が必要だったり困ったときは遠慮なくご連絡ください」


「はい、この町そこまで大きくないですし。またそのうち機会もあると思うので、そのときはよろしくお願いします」


「コウはどうするんだ?」


「おれは……まだどこへ行くかは決めてないけど、Lv3ダンジョンを目指すつもりだ」


「フェルンからですと、東の冒険者都市レグナスか、西の商業都市アルディアになりますね」


ヴェルが落ち着いた声で補足する。


「レグナスは冒険者で栄えてるだけあって、Lv4ダンジョンまであるんだよ。もし行くなら教えてくれ。タイミングが合えば一緒に行こう」


「そうだな。そのときは伝えるよ」


ミアがこちらを見て言った。


「また、どこかで会えるといいですね」


「ああ」


俺は頷く。


「その時は、もっと強くなってる」


しばらくして、みんな席を立った。


それぞれの道へ。


ギルドに残った俺は、掲示板を眺める。

そこには様々な依頼が並んでいた。


パーティ募集。

魔物討伐。

辺境調査。


その中で、ひとつ目に止まる。


――西の街アルディア行きの商人護衛依頼。


大商会のキャラバン。

出発は一週間後。


アルディアといえば、この国でも有数の栄えた街である。

そして——


Lv3ダンジョンがある街だ。


俺はその依頼書をしばらく見つめる。

そして、とある一文に目を止めた。


(...これだな)


俺はその依頼書を掲示板から剥がした。



暗い空間。


光の届かない場所で、複数の影が静かに会話していた。


「特異個体の発生率、上昇を確認」


「よし、予定どおりだな。例の観測対象はどうだ」


「想定以上に成長が早い」


短い沈黙。


また、別の声が言う。


「念のため、様子を見に行かせてみては?」


「うん、そうだな...」


影は静かに呟いた。


「さて...どこまで登って来れるかな?」

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