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襲撃

「貴様を私刑にする!」


 次の日、昼下がりに森の中を歩いていたら、王子が30人ほどの私兵を連れて私に襲撃をかけてきた。後ろの私兵の人相は悪く、乙女ゲームに出せないレベルの容姿をしている。


「王子、是非とも私にお任せください。」


「いえ、私に!」


「おい、待て!ここは王子の母上に進言した私だろう!」


「幼女は俺のものだ!」


 全員、粛清した方が世のためになりそうだ。だが、王族なので、マーク王子だけは生かしておかなくてはならない。


 仕方ないが、私自らこいつらの相手をしてやろう。


「おい、お前らその程度の装備で大丈夫なのか?」


 腰に剣を差しているが、いかにも安物だ。加えて拳銃も用意しているようだが、私を殺すつもりならアサルトライフルは持ってくるべきだろう。


 いくらなんでも舐めすぎだ。


「へへへ、安心しなお嬢ちゃん。俺のとっておきのエクスカリバーをお前の体にぶっこんでやるから、あくまでも腰に差している剣はお飾りだ。」


 汚い男が近づいてくる。匂い、見た目、しゃべり方、すべて気持ち悪く、吐き気がする。私は敵の顔面を掴み、そのまま握りつぶした。


「ぎゃあああ」


 メキメキメキと嫌な音がした後、顔を完全に粉砕し、そのまま頭も握りつぶした。


 ゴシャ


 その結果、脳みそが飛び散り、男は動かなくなった。


「嘘だろ!隊長が殺られたぞ。」


 驚くことではない。私が強かっただけである。それにしても隊長が弱すぎた。


「安心しろ、すぐに全員隊長の後を追わせてやる。」


 美少女である私に乱暴を働こうとしたことは看過できない。私に逆らった時点でマーク王子が次期国王になる未来はなくなったのだ。戦力をとことん削って、消えてもらおう。


「まずはお前からだ。」


 先頭にいた一人がナイフを構えようとしたが、私は敵が構えている最中に手刀で手首を切り落とした、いや、正確には叩き潰したと言った方が良いだろうか。


「ぎゃあああ」


 一人ずつ、手刀で手を切り落とし、首を落とし、とどめを刺していった。


「わあああああ」


 統率も取れなくなってきている。実力差がありすぎた。


「こいつを囲い込め、殺ってしまえ!」


 現状を把握していないマーク王子が偉そうに指図を出している。


「「「うるさい。」」」


 部下たちにもうるさいと言われてやがるぞ、この王子。やっぱり、マークも一緒に殺そうかな?どっちでも良い。まあ、とっておきの技を使ってから考えてやる。


「神の祝福、ゴッドブレス。」


 私の髪の毛が赤く発色し、一瞬にして周囲にいた兵士を火だるまにした。神が人類に火を与えたという神話があるが、私の火はそれに比べたら威力も規模もショボい。


 それでも、周囲の人間を一瞬で塵にする程度は容易い。鋼鉄をもドロドロに溶かす私の髪が伸びていき、火だるまになった兵士に絡み付いて骨も残らず焼きつくした。


「ぜん、ぜん、ぜん、全滅?」


 王子だけはまだ生かしてある。さて、どうするか。一度は殺そうとしてきたのだ。このまま、誰も見ていない森の中で殺害するか?そうすると、町の中で王子と争っていたことが仇になり、後日、家に警察が来るかもしれない。


 家族には迷惑をかけたくない。まあ、別に全然危なくなかったし、今回は見逃しても良いかな。


 そもそも、この程度のゴロツキでは私を倒せない。だが、学園生活の終わり頃の王子やこのゲームの続編の登場人物には私以上の手練れが数多く登場する。


 次第に力に差を埋められていくのだ。


 だが、それもまだ先の話だ。神殺しのレベルに達するようになるまでの時間はまだある。それまでに私がぶっちぎりで強くなれば良いのだ。友達エンドの条件として、主人公が学園最強に君臨していることが条件になる。そうでもなければ、生け贄エンドや監禁エンド、はたまた奴隷エンドなど、未来がない。生き残るには王子ルートで勝ち進むか友達エンドを迎えるしかないのだ。


 まだ本編は始まっていない。それに、1000人いるどの王子も次期国王になるポテンシャルがあるのだ。才能の芽を摘むのは惜しい。だから今回は罰ゲームだけにする。


「君に呪いを授けてあげよう。」


「あー!」


 王子の周りを黒い煙が取り囲み、彼の体に呪いを刻み込んだ。


 私は優しいので、軽い呪いだけにしてあげることにした。内容は学園生活が始まるまで毎晩、今日の出来事を悪夢として再現することだ。己の力不足を呪い、強くなると良い。


 マーク王子と同型のシリーズは100人いる。マーク王子がその中で一番になって、学園で真剣勝負をするのも一興だろう。


 私、いや()が友達エンドを選ぶ理由は王子全員とバトルしたいというのも理由の一つだ。そもそも学園に行かないという手段もあるのだが、そんなつまらないことはしない。それに、私が学園に行かないと私の息子である続編の主人公が誕生しないことになり、完全にシナリオが崩壊し、今後の世界がどうなるか全く分からなくなる。


 私はどの王子も応援しないが、最終的に勝った王子とは不可侵でありたい。だから、それ相応の実力を誇示しつつ、上手く立ち回らなくてはならない。無論、彼らとは恋仲にはならないだろう。そうなったら、結局死ぬことになる。


 もっとも、このままだと独身で終わるのではないかという懸念もあるにはあるが、現在の私は文字通り男でも女でもどっちでもオーケーであり、気に入った相手がいれば付き合うのも良いと思っている。


 私がどういう人を好きになるのかどうか、こればっかりは実際に大きくなってみないと分からない。


「今、できることは自分の力を高めるだけだ。」


 学園生活まで7年、その間にもっと強くなる必要がある。だが、今は戦いの師匠がいない。そして、一人では対人経験が積めないので、10歳くらいになる前に師匠を最低一人は欲しい。


 そのため、続編で登場する予定の世界最強の竜騎士であるパルサーに私は弟子入りするつもりだ。彼は竜童山にいたはずだ。弟子入りするためにも数年以内にあの山を越えなくてはならない。


 他の師匠候補として私の実の父や封印された邪神、あるいは大魔王が候補に挙がる。もっとも、父は不真面目なのであてにならず、邪神と大魔王は強者にしか興味を示さないので、私のような小娘では相手にされない。


 師匠は竜騎士一択だ。他のは竜騎士がダメだったときに考える。


 まずは、山越えできるように鍛練を積もう。待っていろよ、王子ども。貴様たちを全員圧倒してくれるわ!


「じゃあね、マーク王子。また会える日が来たらその時は存分に戦いましょう。」


「こ、コロス」


「バイバイ」


 私は苦しむ王子を置いて、その場を離れた。私についての記憶は呪いで思い出せないようにした。だから、こいつは私に報復できない。まさか、町娘に敗北したとは思わないでしょう。


 しばらくブラブラしていたら、夕方になっていて、私も少し眠くなっていた。子供の体だからだろう。


 今日はもう帰るとするか。私は良い子だから門限は守るのだ。






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