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淡々晋書  作者: ンバ
第三十九、王沈伝
263/313

四、褚䂮ふたたびつっこむ

4.

沈又教曰:「夫德薄而位厚,功輕而祿重,貪夫之所徇,高士之所不處也。若陳至言于刺史,興益於本州,達幽隱之賢,去祝鮀之佞,立德於上,受分於下,斯乃君子之操,何不言之有!直言至理,忠也。惠加一州,仁也。功成辭賞,廉也。兼斯而行,仁智之事,何故懷其道而迷其國哉!」褚䂮復白曰:「堯、舜、周公所以能致忠諫者,以其款誠之心著也。冰炭不言,而冷熱之質自明者,以其有實也。若好忠直,如冰炭之自然,則諤諤之臣,將濟濟而盈庭;逆耳之言,不求而自至。若德不足以配唐虞,明不足以並周公,實不可以同冰炭,雖懸重賞,忠諫之言未可致也。昔魏絳由和戎之功,蒙女樂之賜,管仲有興齊之勳,而加上卿之禮,功勳明著,然後賞勸隨之。未聞張重賞以待諫臣,懸穀帛以求盡言也。」沈無以奪之,遂從䂮議。


(訳)

王沈は再度教勅して述べた。


「そもそも徳が薄いのに位が厚く

功が軽いのに祿が重いというのは、

貪欲な者なら徇り、

高潔の士なら処さぬ所である。


もし刺史に至言を陳べ、

本州をますます隆興させ、

隠れ潜んでいる賢者を見通し、

祝鮀しゅくだの佞を除き去りて、

上が徳義を立て下が配分を受けたなら

これ乃ち、君子の徳操であり、

どうして進言を取り入れぬ事があろう。


正しき道理を直言する事とは忠である。

恩恵を一州に加える事は仁である。

功を成して賞を辞するは廉である。

これらを兼行するは仁智の事業であり

どうしてそうした道を抱きながら

その国を迷妄させようとするのか」


褚䂮はふたたび建白した。


「堯、舜、周公に敢えて

忠諫出来る者がいたったのは

その款誠の心が

明らかであったからです。


冰炭(氷と炭)がものを言わずとも

冷たさと熱さの質が自明である事は

それが実を有しているからです。


もし冰炭の自然さの如くに

忠義による直言を好まば、

則ち諤々(直言をする)の臣が

済々と庭に満ち、

耳に逆らう言葉は

求めずとも自ずと至るでありましょう。


もし徳が不足していながら唐・虞に並び

明が不足していながら周公に並んだなら

実質は冰炭と同様のものではあり得ず

重い賞与を懸けたところで

忠諫の言は至りますまい。


昔、魏絳ぎこうは戎狄と講和した功績に由り

女楽の賜り物をこうむりました。

管仲かんちゅうは斉を興隆させた功績を有し

上卿の礼を加えられました。

功勲が明確となって、然るのちに

恩賞がこれに隨うものなのです。


重賞を賭けて諫言の臣を待ち

穀物や帛を懸けて

言葉を尽くす事を求めるというのは

聞いたことがありませぬ」


王沈はこれを奪わず、

遂に褚䂮の議に従った



(註釈)


 ………………


王沈

「来ねぇ\(^o^)/


どうして諫言してくれないの!?

国を迷走させる気なの!」



褚䂮

「堯、舜、周は真心が明らかなので

諌めようという人間が沢山いました。

氷が冷たくて、炭が熱いように

その性質は一目瞭然だったのです。


氷や炭のようにとても自然に

直言を好む者だと思われれば

求めずとも自ずとやってきますよ。


功績のあとに褒賞があるもので

大金によって忠諫の士を招く事が

そもそも理にかなってないです」



この褚䂮は、河南かなんの人で

友人の羊祜ようこの推挙によって

アラフィフになってから仕官した

遅咲きの人だ。


三国志、晋書に列伝はないが

一族から東晋の康帝の皇后である褚蒜子ちょさんし

褚裒ちょほう褚翜(ちょしょう)が出ている。


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