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淡々晋書  作者: ンバ
第六十八、顧栄伝
250/313

三、ああ、それにしても自殺したい

3.

齊王冏召為大司馬主簿。冏擅權驕恣,榮懼及禍,終日昏酣,不綜府事,以情告友人長樂馮熊。熊謂冏長史葛旟曰:「以顧榮為主簿,所以甄拔才望,委以事機,不復計南北親疏,欲平海內之心也。今府大事殷,非酒客之政。」旟曰:「榮江南望士,且居職日淺,不宜輕代易之。」熊曰:「可轉為中書侍郎,榮不失清顯,而府更收實才。」旟然之,白冏,以為中書侍郎。在職不復飲酒。人或問之曰:「何前醉而後醒邪?」榮懼罪,乃復更飲。與州里楊彥明書曰:「吾為齊王主簿,恆慮禍及,見刀與繩,每欲自殺,但人不知耳。」及旟誅,榮以討葛旟功,封喜興伯,轉太子中庶子。

(訳)

斉王の司馬冏しばけいに召辟され

大司馬の主簿となった。


司馬冏が権力を独擅どくせんして驕り高ぶり、

好き勝手に振る舞うようになると

顧栄は禍が及ぶのを懼れて

終日に渡って浴びるほど酒を飲み

役所の仕事を顧みなくなった。


事情を友人の長楽・馮熊ふうゆうに告げると

馮熊は司馬冏の長史の葛旟かつよに言った。


「才覚と人望から

顧栄を選抜して主簿とし、

事態の処理を委ねる事で、

海内の人々の心を落ち着かせ、

南北の親疎を二度と

計ることのないようにしたい。


今、主府の大事を盛んにするのは

酒客の政などではない」


葛旟は言った。


「顧栄は江南に人望のある男で、

かつ職に就いてから日が浅い。

軽々しく彼を代えて

主簿に変更するべきではなかろう」


馮熊が言った。


「(ならば)中書侍郎に転任させるべきだ。

顧栄の清明は失われず、

主府は新たに実才を収める事になる」


葛旟がこれをもっともだと考え

司馬冏に建白したところ、

顧栄は中書侍郎となり、

職務中、二度と酒を飲まなくなった。


ある人がこの事について問うた。


「どうして以前は酔い潰れていたのに

後になって素面しらふに?」


顧栄は罪を懼れ、

そこで再び酒を飲むようになった。


州の里人である

楊彦明に書状を与えていわく、


「吾は斉王の主簿となったが、

常に禍が及ぶ事が慮られ、

刀と縄を見るたびに

自殺したいと考えてしまう。

ただ人が知らないだけだ

(君にしかこんな事は話せない)」


葛旟が誅戮されるに及んで

顧栄は葛旟討伐の功績を以て

喜興伯に封じられ、

太子中徐子に転任した。


(註釈)

八王の一人、司馬冏しばけい

権力を独占すると

顧栄は浴びるほど酒を飲んだ。


刀と縄を見ると自殺したくなる

とか言ってるし、

司馬冏は傍目に見ても

調子乗りまくってたのがわかる。


但人不知耳。


は「ただ人知らぬのみ」だから、

「誰にも言わないでくれ」じゃなくて

「ただ誰にも言ってないだけだ」の

方が適切かも。


顧栄が手紙を送った「楊彦明」は

あとでもう一回出てきます。


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