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淡々晋書  作者: ンバ
第六十八、顧栄伝
248/313

一、天の美禄に酔う

68巻から、顧栄こえいです。


孫呉の丞相、顧雍こようの子孫ですね。


1.

顧榮,字彥先,吳國吳人也,為南土著姓。祖雍,吳丞相。父穆,宜都太守。榮機神朗悟,弱冠仕吳,為黃門侍郎、太子輔義都尉。吳平,與陸機兄弟同入洛,時人號為「三俊。」例拜為郎中,歷尚書郎、太子中舍人、廷尉正。恆縱酒酣暢,謂友人張翰曰:「惟酒可以忘憂,但無如作病何耳。」


(訳)

顧栄こえいは字を彦先げんせん、呉国の呉の人で、

南方の地で著名な家系である。


祖父の顧雍こようは呉の丞相、

父の顧穆こぼく宜都ぎと太守であった。


顧栄は機知に富んで朗悟であり、

弱冠にして呉に仕えて

黄門侍郎こうもんじろう太子輔義都尉たいしほぎといとなっていた。


呉が平定されると、

陸機兄弟とともに入洛し、

当時の人から「三俊」と号された。


試しに侍中に拝され、

尚書郎、太子中舍人、廷尉正を歴任した。


いつも欲しいままに

酒を酣暢かんちょうし、

友人の張翰に言っていた。


「ただ酒のみが憂いを忘れさせてくれる。

ただ、病気になってしまう事だけは

どうしようもないがね」


(註釈)

「機神」って

デウスエクスマキナみたい。

機微に玄妙、「機知に富む」と訳しました。


陸遜りくそんの孫、陸機りくき陸雲りくうん

そして呉の丞相だった顧雍こようの孫、顧栄。


かれらは「三俊」と呼ばれ、

呉が滅んでもVIP待遇を受けたっぽい。


陸氏の娘が何人か

顧家に嫁いでるんじゃなかったかな。

呉の名家、ヨコのつながり。


三国志「顧雍伝」を読んでみると、

顧雍の長男、顧邵こしょうは将来を嘱望されていたが、

30代前半で早逝してしまった。


次男の顧裕こゆうは病を患っていて、

顧邵の子・顧譚こたん顧承こしょう

孫権晩年の内訌(二宮の変)で

左遷されてしまった。


顧雍の死に際して、孫権が

末子の顧済こせい騎都尉きといに任命したが

後継がなく、絶えたとある。

が、

次男の顧裕が宜都ぎと太守になった、

とあるから一応お家存続してるっぽい。

丞相(総理大臣)の家でも

断絶しかけるのか……。



顧雍伝が引く「呉録」にいう、


「裕一名穆,终宜都太守。裕子荣」


顧裕は一名を顧穆こぼくといい

宜都ぎと太守に終わった。


顧雍伝が引く「呉書」にいう、


「雍母弟徽(中略)

子裕,字季则,少知名,位至镇东将军」


顧雍の同母弟、顧徽こきの息子も

「顧裕」という名前だ。


唐代に編纂された「晋書」では

顧穆こぼく」の方で表記されてるし、

顧雍の次男は従兄弟と名前が被ったため

「顧穆」に改名したのだと思われる。


今回登場する顧栄こえいは、

この顧裕の子であります。


312年に亡くなってるから

祖父の顧雍(243年没)の在世時には

生まれていない可能性が高そう。


弱冠(20さい)で呉に仕え

黄門侍郎こうもんじろう太子たいし輔義都尉ほぎとい


太子輔義都尉は太子の護衛役かな。

多分孫皓(そんこう)の太子の孫瑾そんきんを指す。

彼が太子に立てられたのは269年、

顧栄が輔義都尉になったのもそれ以降。


呉が平定される(280年)と入洛した。

この時、30代くらいと思われる。

恐らく劉淵りゅうえんと同年代くらいで

石勒せきろくより20くらい年上。


西晋でもそれなりのポストを貰った。


顧栄はお酒が大好き。

酒を飲めば辛さも吹っ飛ぶと豪語。

それだけ人生の無常を

多く味わっているって事かも。


曹操も言ってた。

酒を飲めばまさに歌うべし。

人生いくばくぞ。


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