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一、父の遺業を継ぐ
1.
王隱,字處叔,陳郡陳人也。世寒素。父銓,曆陽令,少好學,有著述之志,每私錄晉事及功臣行狀,未就而卒。隱以儒素自守,不交勢援,博學多聞,受父遺業,西都舊事多所諳究。
(訳)
王隠は字を処叔、陳郡の陳の人である。
世世貧しく質素であった。
父の王銓は暦陽の令で、
少くして学問を好くし
著述を志しており、
いつも私的に晋の事績及び
功臣の行状を記録していたが、
いまだ成就せぬうちに卒した。
王隠は儒教の質素さを自ら守り
勢援(助けとなる者)と交わらず、
博学多聞で、父の遺業を受け継ぎ
西都の旧事の多くを※諳悉していた。
(※暗誦できるほどに極め尽くしていた)
(註釈)
父親の影響で歴史著述に興味を持った王隠。
彼の著書もまた、裴松之が
ちょこちょこ引用しています。




