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淡々晋書  作者: ンバ
第三十四、羊祜伝
201/313

十九、最後の進言

19.

祜寢疾,求入朝。既至洛陽,會景獻宮車在殯,哀慟至篤。中詔申諭,扶疾引見,命乘輦入殿,無下拜,甚見優禮。及侍坐,面陳伐吳之計。帝以其病,不宜常入,遣中書令張華問其籌策。祜曰:「今主上有禪代之美,而功德未著。吳人虐政已甚,可不戰而克。混一六合,以興文教,則主齊堯舜,臣同稷契,為百代之盛軌。如舍之,若孫皓不幸而沒,吳人更立令主,雖百萬之眾,長江未可而越也,將為後患乎!」華深贊成其計。祜謂華曰:「成吾志者,子也。」帝欲使祜臥護諸將,祜曰:「取吳不必須臣自行,但既平之後,當勞聖慮耳。功名之際,臣所不敢居。若事了,當有所付授,願審擇其人。」


(訳)

羊祜は病疾で寝込むようになり

入朝を求めた。


洛陽まで至ると、ちょうど

景献皇后(羊祜の姉、羊徽瑜)は

宮車の中に在り、もがりの最中であった。


羊祜は哀しみで慟哭し、病が篤くなってしまった。


中詔により諭告された羊祜は

病を押して会見に現れ、

命によりてぐるまに乗せられて入殿した。


車を下りての拝礼をも除かれ、

甚だ優遇された。


侍坐(貴人の側に座ること)するに及び

面と向かって呉を討伐するための計略を陳べた。


帝はその病を以て

常に入廷させておくべきでないと考え、

中書令の張華を遣わして

そのはかりごとを問わせた。


羊祜は言った。


「今、主上には禅代(禅譲)の美挙があれども

功と徳についてはいまだ顕著ではない。


呉人の虐政は已に甚だしく

戦わずして勝つことができる、

混乱した十六(の州)を合わせて

文による教化を振興する事で

則ち主上は尭・舜とひとしくなられ、

臣下は稷・契と同等となり、

百代に渡る盛大なる軌範が為されよう。


これを放棄してしまうようならば、

もし孫皓が不幸にも没して

呉人は新たに令主を立ててしまった場合、

百万の軍勢と雖も

長江を越える事が出来なくなる。


まさに後難となりえようぞ!」


張華はその計略に深く賛同した。


羊祜は張華に対して謂った。


「吾が意思を成就させるのは、きみだろうな」


帝は羊祜に臥せったままでも

諸将を統制させようとしたが、

羊祜は言った。


「呉の奪取は臣自ら行く事が

必須というわけではございませぬ。


ただ、平定の後に

聖慮(陛下のお考え)の弊害と

なるのみでしょう。


功名(が成った)の際には

臣は(この世には)居りますまい。


もし事が了れば、

付授する所が有るであろう人物を

(任を与えるに相応しい人を)

どうか、お考えの上でお選びください」


(註釈)

病で寝込みがちになっていた羊祜は

洛陽へ一旦戻りましたが、なんと

7つ上の姉ちゃんの葬式の最中でした。


これにはさすがの羊祜も

大きなショックを受けて

病が一気に進行してしまいます。


ちょうど葬式やってた

っていうのが、なんだかなぁ。

太后のお葬式なら国葬でしょうに

ましてや親族でもある羊祜に

なぜ報せがいかないんだろう。


司馬炎は死にかけの羊祜を参内させて

呉を倒すための計策を問いましたが、


「戦わなくても勝てる」

「やるなら今しかない」


と、あんまり具体性がありません。


「但既平之後,當勞聖慮耳」


のところが、口をついて出た

羊祜の本音だと思いました。


「私が手柄立てちゃったら邪魔でしょ?」

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