また盗賊クエスト
読んでいただきありがとうございます。
日本語にはまだ不自然な部分があるかもしれません。
もし誤訳や不自然な表現などがありましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
四人は、数十枚もの依頼書が貼り付けられた依頼掲示板の前に立っていた。
討伐依頼、調査依頼、配達依頼、護衛依頼。
その他にも、様々な依頼が並んでいる。
四人は一枚ずつ依頼書を確認し、それぞれの内容を読み始めた。
しばらくして、シルフィーが掲示板から一枚の依頼書を剥がした。
「ねえ、これなんて良さそうじゃない?」
そう言って、他の三人に見せる。
「ベルの討伐だって。これならいいでしょう?」
「それに、エリンの新しい杖も試せるし」
「ベルって何ですか?」
エリンが尋ねる。
「ベル。洞窟の周辺に生息してる大きな熊よ」
「大きな爪を持っていて、皮膚もすごく硬い。それに口の中は牙だらけ」
「中には、口の外まで牙が飛び出してる個体もいるわ」
「そ、それ……すごく怖そうです」
「大丈夫よ。私たちなら一匹くらい倒せるって」
シルフィーはエリンを安心させるように言った。
「それで、あなたたちはどう?」
シルフィーは依頼書をアウエルとリカに見せる。
しかし、二人はほとんど興味を示すことなく、アウエルが答えた。
「いや。盗賊討伐を受ける」
「えっ!? また!?」
シルフィーが声を上げる。
「ちょっと! あなたたちのパーティー、もう二人も装備を新しくしたでしょう?」
「それなのに、まだ盗賊なんて相手にするの?」
「二人から文句は聞いていない」
「だから、嫌ならお前は抜ければいい」
シルフィーは拳を握り締め、今にも殴りかかりそうになる。
しかし、エリンがすぐに彼女を止めた。
「だ、大丈夫です。盗賊討伐でいいですよ」
「それに、盗賊の依頼を受ければ、攫われた村人たちを助けることにもなりますよね?」
「まあ、そうだけど……」
「盗賊を倒すなんて、すごく簡単じゃない」
「これじゃ、せっかくの新しい杖がどれだけ使えるのか分からないわ」
「う、うん……でも、私が杖を使う機会はまだたくさんあるよね?」
「ねえ、どうしてあなたはいつもあいつの味方をするの?」
シルフィーがエリンに尋ねた。
エリンは慌てて首を横に振る。
「ち、違います。ただ……」
「アウエルは、私たちのパーティーリーダーだから……」
「チッ……なんて馬鹿なパーティーリーダー」
その頃、アウエルとリカは依頼掲示板を探し続けていた。
やがて、リカが盗賊討伐の依頼を見つける。
掲示板から依頼書を剥がし、アウエルに見せた。
「ねえ、あったよ」
「これなら街のすぐ近くだから、すぐ終わるよね?」
同じ頃、アウエルも盗賊討伐の依頼書を見つけ、掲示板から剥がしていた。
「こっちのほうがいいと思う」
リカはアウエルが持っている依頼書に目を通す。
そして、あることに気づいた。
「ちょっと待って。これ、遠すぎない?」
「……北の森の反対側でしょう?」
「すごく遠いよね?」
「ああ。しかも、クーズロの近くだ」
「クーズロ……?」
リカはその名前を思い出そうとする。
「ああ! アウエルの故郷だよね?」
「ああ。依頼が終わったら、そこへ行く」
「俺には、やらなきゃいけないことがある」
「へえ。それで、重要な何をするつもりなのかしら?」
シルフィーが尋ねる。
「お前には関係ない」
アウエルはそう言って、依頼を受けるため受付へ向かった。
一方、シルフィーの怒りはさらに増していく。
「……何なのよ、あいつ」
彼女はリカとエリンへ振り向いた。
「どうしてあなたたちは、あんな奴と一緒にいられるの?」
リカは気まずそうに笑った。
「俺たち三人、もうかなり長いこと一緒にいるから……」
「まあ……我慢してよ」
――そして、時間が過ぎた。
すでに夜になっていた。
森の中。
盗賊たちが交代でアジトの見張りをしていた。
彼らの隠れ家は、地下にある洞窟だった。
現在、入口には二人の盗賊が立っている。
「ったく、なんで俺たちが入口の見張りなんだよ?」
一人が不満そうに言う。
「先週、俺たちがちゃんと仕事したからじゃなかったのか?」
「知らねえよ」
もう一人の盗賊が答える。
「大ボスが重要な客が来るから、出迎えろって言ってたんだ」
「でも、どこにいるんだよ?」
「ボスがそう言い始めてからもう一週間だぞ。誰も来てないじゃねえか」
「いいから仕事しろよ」
――ヒュッ!
一筋の矢が飛んできた。
一人の盗賊の首を、矢が一直線に貫く。
その場で即死した。
「な、なんだ……チッ!」
もう一本の矢が残った盗賊へ飛んでくる。
しかし、盗賊はそれを予測していたかのように身を躱した。
直後、笛を取り出して吹く。
――ピィィィィッ!
「次はもっと狙いを良くしろ」
アウエルが茂みから飛び出しながら言った。
「何!?」
アウエルは凄まじい速度で盗賊へ接近する。
盗賊は剣を構え、振り下ろした。
アウエルは身体を僅かに傾けるだけで、その攻撃を躱す。
――ザンッ!
高速の斬撃が盗賊を襲う。
その時、洞窟の中から一人の大男が飛び出してきた。
大男がアウエルへ拳を振り下ろす。
アウエルは後ろへ跳び、刀を鞘へ収めた。
大男は止まらない。
そのまま、もう一度拳を振り抜く。
「アースウォール!」
――ドゴォン!
地面が盛り上がり、壁となって拳を受け止める。
その壁は非常に頑丈で、大男の拳を完全に防いだ。
アウエルは壁の横を回り込む。
刀を抜き、大男へ突きを放つ。
――ヒュッ!
しかし、突然洞窟の中から矢が飛んできた。
アウエルは攻撃を中断し、後ろへ跳ぶ。
その隙に大男が拳を引き、再びアウエルへ振り抜いた。
だが――
アースウォールの反対側から、すでにリカが動いていた。
炎を纏った刀を振り抜き、大男の背中を斬りつける。
――ザンッ!
直撃。
大男はその場に叩き倒された。
アウエルとリカは構えを取り、洞窟の入口を睨む。
そこから、さらに四人の盗賊が姿を現した。
近接戦闘を担当する二人。
弓使いが一人。
そして、魔法使いが一人。
二人の近接戦闘員が、一気に二人へ向かって突っ込んでくる。
「ファイアボール!」
魔法使いが火球を放つ。
その横で、弓使いが矢を番え、狙いを定める。
アウエルが先に動いた。
刀を鞘に収めたまま、僅かに抜刀する。
迫ってきた火球を、その刃で弾き飛ばした。
そして、すぐに刀を鞘へ戻す。
次の瞬間――
一瞬の動きで、炎を纏った刀を抜き放つ。
空気ごと斬り裂くように振り抜くと、いくつもの炎の斬撃が二人の盗賊へ飛んでいく。
二人は攻撃を躱し、そのまま前進する。
一人がアウエルへ剣を振り下ろす。
アウエルはそれを受け止めた。
続いて、もう一人が横から剣を振るう。
リカが割って入り、その攻撃を弾き飛ばす。
そのまま止まることなく、二人へ刀を振り抜いた。
――ザンッ!
一閃。
二人の盗賊が、同時に地面へ倒れた。
その直後、矢が飛んでくる。
二人は簡単に身を躱した。
「弓使いは俺がやる。あんたは魔法使いをお願い」
リカが言う。
二人は何の文句も言わず、残った盗賊へ向かって駆け出した。
再び矢がリカへ飛んでくる。
しかし、リカは簡単に刀で弾き飛ばした。
そのまま距離を詰め、弓使いを叩き倒す。
「ファイアボール!」
アウエルへ向かって、再び火球が飛んでくる。
アウエルはそれを受け止め、反撃へ移ろうとした。
――ヒュッ!
だが突然、背後から矢が飛んできた。
アウエルは身を躱す。
矢はそのまま魔法使いへ突き刺さり、最後の盗賊を倒した。
茂みからシルフィーが姿を現す。
「ふぅ……楽勝ね」
「おい。次はもっとちゃんと狙え」
アウエルが言った。
シルフィーの矢が、危うく彼に当たりそうだったからだ。
「はぁ? あなたが私の射線に入ったんでしょう?」
シルフィーが言い返す。
「俺が邪魔だったのか?」
「それとも、お前の腕が悪いのか?」
「……今、なんて言った?」
「はぁ……」
リカが頭を抱える。
「二人とも、もう喧嘩するのやめてよ」
しかし、二人とも聞く耳を持たない。
「エリン、もう出てきていいよ」
「お願い、こいつらを縛るの手伝って」
リカが呼びかける。
しかし、茂みの向こうから返事はなかった。
「エリン?」
その時――
二人の周囲に黄金の光が現れ、輪を形成する。
アウエルはその光を見て、何が起きているのかを理解した。
「逃げろ!」
アウエルとシルフィーは後ろへ跳んだ。
しかし、リカは間に合わなかった。
黄金の輪がリカの身体を締め上げ、その場に拘束する。
「何だよ、これ!?」
「チッ……まだ終わってない」
アウエルは再び構えを取る。
その時――
茂みの向こうから、何者かが凄まじい速度で飛び出し、シルフィーへ襲いかかった。
しかし、シルフィーも間一髪で反応した。
短剣を抜き、攻撃を受け止める。
――ガキィン!
衝撃に押され、シルフィーの身体が後ろへ吹き飛ばされる。
アウエルがすぐさま、その人物へ向かって駆け出した。
だが――
巨大な影が、突然上空から降ってきた。
――ドゴォン!
アウエルは間一髪で後ろへ跳ぶ。
そこにいたのは、また一人の盗賊。
先ほどの大男にも負けないほど、巨大な身体をしていた。
新たに現れた二人の盗賊は、アウエルを完全に無視してシルフィーへ意識を向け、一気に駆け出す。
アウエルも追おうとした。
しかし――
背後から何かを感じる。
――ザンッ!
アウエルは身体を捻り、攻撃を躱した。
「へぇ……いい勘してるじゃねえか」
別の盗賊が笑う。
二人の盗賊がシルフィーへ迫る。
一人が短剣を振り抜いた。
シルフィーは再び短剣で受け止めようとする。
――ガキィン!
しかし、今度は衝撃が強すぎた。
シルフィーの短剣が手から弾き飛ばされる。
そこへ大男が迫り、シルフィーの腕を掴んだ。
そのまま力任せに引き寄せる。
そして、もう片方の拳を叩き込んだ。
――ドゴォン!
凄まじい衝撃。
シルフィーの足元の地面に亀裂が走り、そのまま彼女は地面へ叩き倒された。
一方、アウエルはもう一人の盗賊と対峙していた。
盗賊が短剣を振るう。
アウエルは簡単に躱し、反撃する。
だが、盗賊は笑うだけで動かなかった。
――ザンッ!
斬った。
――そう見えた。
アウエルの刀が盗賊の身体を斬り裂く。
しかし、次の瞬間。
その身体がゆっくりと霧へ変わり、消えていく。
「何……!?」
直後、アウエルは背後から別の気配を感じた。
盗賊がアウエルの背中へ向けて刃を振るう。
アウエルは身体を捻って躱した。
そして刀を突き出す。
狙ったのは盗賊ではない。
その横だった。
――ズブッ!
刃が盗賊の身体を捉える。
だが、またしてもその身体は霧へ変わり、消えていった。
アウエルは身体を翻し、刀を構える。
――ガキィン!
攻撃を受け止めた。
「チッ……」
盗賊が笑う。
「本当に勘がいいな、お前」
「でも、悪いな……」
その瞬間――
大男がアウエルの背後に現れた。
拳がアウエルへ叩き込まれる。
――ドゴォン!
今度は躱せなかった。
アウエルの身体が吹き飛ぶ。
そのまま意識を失った。
「他人のことに首を突っ込むのは、もうやめたほうがいいぜ」
盗賊は倒れたアウエルを見下ろしながら続けた。
「お前の実力には、本当に驚かされたよ」
「これなら、どうしてシビロとフォルトを倒せたのかも納得だ」
「だが――」
盗賊はアウエルを見下ろす。
「お前の旅は、ここで終わりだ」




