中年のプロローグ。
ローファンタジー書いてみた結果がこれだよ。
錬金術、錬成術。使い手がほとんどいない非常に珍しい職業
戦士曰く「地味。貢献が微妙すぎる」
魔術師、魔法使い曰く「地味すぎて話になりませんね」
僧侶曰く「地味ですね。何をしているのか分かりませんし」
錬金術師曰く「最強の技である」
――俺の名は土田 成夫
今年で齢50になる。
最強の錬金術師である。
私はダンジョンを探索する冒険者学校の教師を務めている。
あと科学技術部の顧問でもある。部員は数名しかいないがな。
「はぁ」
溜息をつく。理由は沢山あるが、最も今悩んでいるのが、新入生についてだ。
「どうしました?」
後輩の前田君が話しかけてくる。
現在、居酒屋で男二人で飲んでいる最中である。
「いや、なんで俺が教師なんてやってんだろうなーとね」
「さあ?でもよかったじゃないですか。今度担任になるみたいじゃないですか」
そうなのだ。来年度の新入生の、Cクラスの担任になったのだ。
「まぁな。でもなぁ。今絶賛錬金術師が不遇だろ?最強の称号貰った俺でさえこうして普通に働いてるんだから」
「じゃあダンジョンにでも籠ればいいじゃないですか」
その言葉を聞いてジョッキの中に入っている黄金色のビールをごくごくと飲み干す。
「ぷはぁーー。この為に仕事してるようなもんだね。で、その質問についてだが、それが出来たら苦労はせんよ。最近体がなまってなぁ。オークもまともに投げ飛ばせなくなったんだよ」
「十分じゃないですか?最近の子供はゴブリンすら投げませんからね」
「俺がもっと若いときゃドラゴンを一本背負いしてたもんよ!今となっちゃ昔のやんちゃ話だがな」
「錬金術師の仕事じゃないでしょう……」
「いや思ったより筋力つくのよねぇ。錬金術ってさ。というか俺が本気でドーピング薬作ればお前だったレッサードラゴンくらいなら投げ飛ばせるぞ」
もちろん俺が投げるときはドーピングは基本的にしないがな。
「マジですかぁ」
「おう、マジマジ。最強の錬金術師なめちゃあかんよ」
「というかそれって結構痛い名前でしたよねぇ」
「いうなって。貰う時かなり恥ずかしかったんだからさぁ」
わざわざお偉いさんの前で恥ずかしい二つ名をつけられ、それを自分で就任したとはっきり言わなければならないのだ。いい大人にとっては苦痛でしかない。
「はぁ……にしても錬金術師って少ないよなぁ」
「いきなりですねぇ」
前田君もぐびぐびとビールをあおる。
「なんでだと思う?魔法使いの前田君」
「三十歳童貞ともしかしてかけてます?」
「そんな自分に突き刺さるような鋭いブーメランは投げんよ」
はっはっは、と笑った後にズーン。という重い空気が漂った。
これは一人の中年教師の物語である。
錬金術師は錬金術とか錬成術とか色々使えます。ゴーレム作ったりとかポーション作ったりとかがメインの仕事です。