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ポカンとした私悪くない、よね!?

間に合わなかった!

キャンペーンは昨日で終わってしまった!

それでも出来上がったので公開しまするよ!(?)

※追記:短編企画でした。勘違いでかいちゃった(/ω\)

でもそのまま公開するよ!


コメディっぽいけどわりと二代目視点の時だけっす。

完結しているので最後まで一気にあげます!



なんなんでしょうか、この光景?


それが私二代目(・・・)勇者ティアの正直な感想。

私はこの世界の創造神であり守護神である神々のお告げで選ばれた勇者です。

といっても正式には(仮)といったほうが正しい状態なんですけど。


何で仮免勇者なのかというと、すべては初代勇者のせいです!

出会うことがあったらまずぶん殴って人々の期待と信頼を裏切ったことの罪を

その魂にまで染み込むように親切丁寧に教え込んでやろうと思ってました。

主に肉体言語で!


ええ、思って“ました”。


「お~いジーク! そろそろこっちで休憩しろやぁ!」


「おおっ! わかった!

 ここ終わったら行くから俺の分のオリンの実残しとけよ!!」


初代勇者ジークが目の前でクワもって畑耕してなければ。

首に手ぬぐい巻いて、頭には麦わら帽子の実に農夫スタイルな格好で。

ポカンとした私、絶対悪くない。


悪くない、よね?


あ、オリンっていうのはエルフの森だけでとれるすっごく甘い果物。

私も大好きだけどすごく貴重で王様や教皇様でも滅多に食べれない。

王族の方々が5年に1個手に入れば奇跡だといわれるほど……って話ずれた!?


おのれ初代勇者、私の大好物で話をそらすなんて卑怯な!!


「ま、待ちなさい先代勇者ジーク。私の話を聞いているのですか!?」


「あっ」


意気込んで一歩踏み出せば足元で妙な感触。

何気なく視線を下げれば盛り上げたばかりの畝を踏み潰してました。


「す、すいません。すぐに直して、ああっ!?」


慌ててしゃがんで崩した所を直そうと手で土を掬おうとして───




───落とし穴ができました……ごめんなさい!



「すいません、すいません!!」


もう謝ることしかできません。

私は本来一介の騎士ですが祖父が引退後農業してたのでわかります。

これで私は彼らの午前の頑張りの何割かを台無しにしたのです。


「ああ………別にいいよ。まだ勇者パワー制御できねえんだろ?

 何もしなくていいから、終わるまで、そこで、おとなしく、待ってろ」


別にいいといいながらその顔に宿る殺気漂う笑顔と言葉に

私はもう一度頭を下げて、指定された畑の隅っこで体育座り。


ごめんなさい。


初代勇者はそれから私が壊した所を手慣れた様子でクワで修復します。

すごい。私と同じ力を持っているのに完璧に制御してるどころか。

あんな繊細な作業を苦もなくやっているなんて、さすが勇者さま!!




ハッ!?


違う違う!!



いまは私が勇者!

あいつ先代! しかも敵前逃亡! そのうえ色々と持ち逃げしたヒト!

ただの泥棒っ……ていうのは言いすぎかな?

元々彼が神様からもらったものだし………でも黙って消えたのはよくない。



そうあの勇者は、突然いきなり失踪したんです。







いま世界は長い戦乱の中にあります。

私たちヒューマンと侵略者・魔族。

彼らの侵攻に私たちは神々から預かったとされる土地を奪われた。

当初はある程度の拮抗状態だった戦争も今やこちらが劣勢。

もうこの大陸の3分の2は魔族の土地になっていたそうです。

だからある時教会の偉い教皇さまが神々に希ったのです。


“天にまします我らが慈母神さまがた、どうか我らに救いを


 神の大地を汚す魔族を滅ぼすことのできる力を我らに!”


過去にもヒューマンが窮地の時には神の助力があったとのこと。

それを期待しての願いは見事神々に届いたそうで、

神さまたちは一振りの聖剣を私達に託すとその剣の持ち主が

お前たちを救い、魔を払う『勇者』であるという神託を下しました。


聖剣の導きで一人の青年を見つけると彼は勇者となって戦った。

神の加護を得た勇者を筆頭に劣勢だった戦況を塗り替え、

奪われた土地を奪い返し、魔族側の領土にまで突き進む破竹の勢い。

まだまだ未熟な私はそんな武勇伝をただ後方で聞くだけでした。


だから勇者さまのお仲間の戦死。

恋仲だった我が国の姫さまの突然の病死。

一番大きな支援をなさっていた教皇様も老齢だったゆえか病死。


訃報が続いて、国を守るだけの私たちも悲しかったです。

それでも勇者さまは戦いました! 立派だと尊敬しました!


けれどそれに危機感を覚えたのか。

ついに魔族の王が前線に立って勇者と一騎打ちです。

こちらも勇者さまだけが希望ですが魔族にとって魔王もまた重要。

あちらの王の首を取れば士気は下がり、実質的に我らの勝利です。


一週間にも及んだ激闘は誰にも手が出せないものだったそうで、

ついには勝敗がつかずに引き分けになりましたが魔王は重傷を負いました。

勇者さまの傷はまだ浅く復活した彼が再び攻め入れば勝てる!

誰もがそう思っていたのですが………


そのあと勇者さまは突如として姿を消してしまいました。

神の加護が与えられた様々な武具と勇者の証である聖剣と共に。


色んな憶測が流れました。

実は戦死したんじゃないかとか浚われたとか魔王の呪いとか。


まあ、いま目の前で楽しそうにクワふるってますけど。


こほん。せつわきゅうだい……じゃなくて閑話休題。ですよね?


とにかく!

当時私たちはあちこち探しましたが5年たっても見つかりません。

結局戦況は勇者さまを欠いた軍では魔族を抑えきれずに押し返され、

大陸を二分する状態をなんとか維持していると聞いています。


困った私たち、というか国や教会のトップの方々は次の勇者を求めました。


どうなったのか解らない勇者をこれ以上探すより新たに賜りたい。

それが無理ならいま勇者がどこにいるのか教えてほしいと神に願います。

これを願った神官たちはさすがに応えてくれないと思ってたらしいです。

だってこちらが希った存在がいなくなったので次ちょうだいというのです。

ましてや最初の声を聴いた教皇さまは亡くなって次代の方はまだ決まってもない。

恥知らず。無礼。と神の怒りを受けてもこちらは文句いえません。


慈悲深い神々が応えてくださったから私などが勇者になれたのですが。


そして勇者の位置はわからないが聖剣のだいたいの位置ならわかると。

それがここ“エルフの里”その一つ。近年になって誕生した新しい里。

名をレスティナといい、神々はそこに聖剣の気配があるといいました。


エルフは森の民といわれる種族。

私たちヒューマンとも魔族とも違う種族です。

ヒューマンが神々を信仰し魔族が魔王を信仰するように自然を信仰する種族。

魔法に長けていますが基本的に争い事は嫌いで、けど自然を汚す者に容赦はない。

そんなエルフとヒューマンは残念ながら種族としてあまり仲が良くありません。

ヒューマンが森を切り開いて国や文明を作った事が原因といわれています。

個人なら仲良くなったりするヒトもいますが国としては中立。

襲われればどちらが相手でも戦いますがもう一方に助けを求めない誇り高い種族。

そんな種族の、それも新しく作られた里に何故あるのか。疑問はつきません。

勇者さまのパーティには戦死なさいましたが、エルフがいたと聞きます。

おそらくはその繋がりだったと思いますが、それでも謎です。

けどとにかく我々は族長に連絡をとって聖剣を返すようにいいました。

ところが。


「レスティナは非武装地域じゃ。

 我らエルフとて武器を持っては侵入不可の土地。そこに聖剣じゃと?

 バカバカしい、あるのはせいぜい田畑を耕す農具かナイフ程度じゃ!」


そういって我が国や教会からの要請は一蹴されたそうです。

実際この地は強い結界が張ってあって剣一本持ち込めませんでした。

一応念のための護身用に短剣程度は許してもらえるみたいですが。


とはいえ神々にそこにあるといわれてるのに、はいそうですかと引き下がれません。


内部を探索することを要請しましたがそれもかなり揉めたようです。

なんとか認められたのは新たな勇者ひとりなら入ってもよいと。


やった、勇者になっての初任務!


っと、本当は喜んではいけないのですが。

下級の騎士だった私が王妃様がたから直々に命じられて燃えたのも本音。

信頼していた勇者を失い、姫様を亡くした王妃様は痩せていましたが、

気丈にもいろいろと聖剣について教えていただきました。

何せ勇者さまと共に戦った事もない私は本物を知りません。

探すためには見たことのある人たちの証言だけが頼りです。



「聖剣は背負わなくてはいけないほどの大剣で柄は黄金に輝き、鍔には赤い宝玉が」



「え、腰に差してた赤い柄の曲刀ではなかったかしら?」



「なにをいうのだ。聖剣は我らが教会のシンボルである十字を模した形の……」



「みなさん何を!? 飾りはないですが白銀の刃を持つ両手剣でしたよ?」




頼り、でした。

なんでもうみなさんいうことが違うんですか!?

中には剣じゃなくて斧だったとか槍だったとか。

普段はブレスレットになってたとか常につけてた指輪が真の姿だとか。



「と、とにかく!

 エルフの里レスティナにてそれらしいのを探してくるのです!」


「ははっ!!」


って頷くしかないよね!!??

勇者ですけど私もともと騎士なんですよ!

けど無茶ですよ王妃様、何探せばいいんですかそれ。

元・同僚たちの哀れむような視線が痛いです。


同情するなら聖剣情報プリーズ!!


いえ、やっぱこれ以上は混乱するからいいです。

口々に別の武器をいいだす彼らから逃げるように出発した私。

結局よくわからないまま聖剣を探すためにレスティナに来たんです。


当たり前ですけどみんなとがった耳してて、恐ろしいほど美形でした。

農村の娘さんレベルでどこかのお姫様かと見間違いましたよ私!

けど、全体的にヒューマン嫌いなのかみんなの私を見る目が怖いです。

罵声とか投石とか無い分、理性的な対応なんでしょうけど。

ちょっと悲しいです。これじゃ仲良くなれません。

エルフのみなさんとお友達になれるかもと思ってたのに。

あ、いえ、これでは聖剣探すなんて無理です。が正解です!

お友達はできれば、できればですのでそこんところ間違えないでね!


けど勇気出して話しかけても誰も返事してくれないのはショックです。


かといっていくつかある彼らのおうちに許可なく入れません。

倫理や道徳的にはもちろんですけどそれ以上にヒューマンの危機です。

どうも今のエルフ族長さんはヒューマンがとくに嫌いらしく、

私以外が入った場合や入った私がレスティナで狼藉を働けば、

自分達エルフは魔族側につくとまでいったそうです。


ここでエルフ族の怒りを買いたくないので粗相しないようにと

出立前にわたしは口酸っぱく注意されました。耳に蛸できました。


でもそうなると里中の建物の外をぐるぐるぐるぐる回るだけです。

当然そこらに聖剣が落ちてるわけがありません。


ハッ、落ちてても私わからないじゃないですか!?


天の神さま、ティアはどうすればいいのですか。

そう嘆いていた時です。その言葉が聞こえたのは。


ジーク(・・・)! ここらの全部収穫してもいいのか?」


「ん、ああ! 全部いいぞ!」


農作業に汗を流すエルフたちの中から意外な名前が飛び出します。


ジーク。


先代勇者の名前です。思わず振り返った私間違ってないです。


「勇者さま!? どこっ、どこですか勇者さまっ!! ジークさまぁっ!?」


黄色い声だしましたけど、間違ってないのです!






し、仕方ないでしょ。


一度王都に凱旋した時の凛々しいお姿を拝見した時からファンだったんです!

その憧れは、農夫スタイルの彼を見た瞬間なんかガラガラ崩れましたけどね!


「あっ? なんだあんた?」


神々しい白銀の鎧を付けた爽やかな笑顔のヒトが、

泥土にまみれてどすのきいた声を出されたら誰でもそうなります。


なるよねっ!?




話を思いついた時、こんなおバカな子じゃなかったんだけどねぇ(笑)



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