昔のあの子
クラスで女子たちが話している。
「2組にイケメンがいるって聞いた?」
「聞いた聞いた。すごくかっこいいんだってね」
この学校は全5クラスの人クラス35人の学校だ。
「また昼放課にさ覗いてみようよ」
「うん。一緒にいこ」
イケメンとかわからない。
誰がかっこよくて誰が運動できるとか、
心底興味がなかった。
そんな話をしてもつまらないだけだった。
そんなことを考えてるうちに、あっという間に昼放課になっていた。
…今日も1人で何しようかな
やっぱり学校はつまらない。
図書室に行って本を読んでも、
外に行って思いっきり走っても、
音楽室で楽器を弾いても、
つまらなかった。
だって、
1人だったから…
今日も音楽室で楽器を弾いて適当に昼放課を終えるか。
1人静かに廊下を移動する。
いつもこれの繰り返しだ。
♩〜
ん?
なんか聞こえてくる。
ピアノの音かな?
その音は音楽室に近づけば近づくほどピアノの音だと確信が持てた。
ドアを少しだけ開けて覗こうとしたら上手く見えなかった。
もうちょっと開けよう
ドアを開ける力を込めると、思っている以上に力がこもっていて、
ガラガラと空いてしまった。
「あ、」
「え?」
「ごっごめん。邪魔するつもりはなかったんだ。さっさと出ていくね」
男の子だったな。金髪の。
気まずいな。
私も自分がピアノを弾いているところを見られたら恥ずかしいもんな。
ごめんね。さっきの男のk…
「…和乃、ちゃん?」
「え?」
「やっぱりだ!久しぶりだね」
私のことを和乃ちゃんって呼んで、
太陽のように輝く金髪。
そんな人間は1人しか思いつかなかった。
「もしかして、アレン?」
「そうだよ。覚えていてくれたんだ。嬉しいな」
私は思った。
「女の子じゃなかったの!?」
「女の子だと思ってたの!?」
驚きすぎて思っていた事が口に出てしまっていた。