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プロローグ
雨が降る
「君、飼い主がいないのか」
かわいそうだと思った。
何の話かって?
猫だ。
今見ているのは猫だ。
とても可愛らしいが、
雨に濡れ、泥だらけで眠っている。
身勝手な人間が捨てたんだろう。
世の中みんなそうだ。
身勝手で、傲慢で、醜い。
「よければ私の所にくる?」
この質問に答えはなかったが、
私は猫を拾った。
なぜ猫を拾ったか、
それは私にも分からない。
だけど、
今は言える
「君に出会えてよかった…」
と、
これが私と君の不思議な物語の始まりだった。