第1話 「名前のない夜」
じゃあ、こっちで「好きそうな方向」に振って、ちゃんと1話として形にするね。
ただ、今の情報だけだとジャンルがまだ広いから、まずは“刺さりやすい王道寄り”でいく。
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## タイトル
**『月の声を聞ける僕と、名前を持たない少女ルナ』**
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## 第1話 「名前のない夜」
夜の駅は、いつも少しだけ嘘っぽい。
光は明るいのに、人の顔はどこかぼやけて見える。
本当のことを隠すには、ちょうどいい場所だと思う。
俺は、そんなホームの端に立っていた。
そのとき。
「……ねえ」
声がした。
振り向くと、少女がいた。
年齢は同じくらい。
でも、そこに“普通”という言葉は当てはまらなかった。
黒い髪。白すぎる肌。
そして何より――目が、妙に静かだった。
「あなた、私のこと見えるんだ」
意味の分からないことを言う。
「見えるも何も、普通にいるだろ」
そう返すと、少女は小さく首を振った。
「違うよ。私、たぶん“いないはず”だから」
その言葉に、冗談の気配はなかった。
次の瞬間、駅のアナウンスが流れる。
──終電がまもなく参ります──
人の流れが一気に動き出す。
その中で、彼女だけが動かない。
いや、正確には“そこに固定されているみたい”だった。
「名前は?」
俺が聞くと、少女は少しだけ間を置いて言った。
「……ルナ」
その名前を口にした瞬間、
なぜか空気が少しだけ冷たくなった気がした。
「ルナって、どこから来たんだ」
「わからない。気づいたらここにいた」
「記憶喪失ってやつか?」
「それとも、最初から“ない”のかも」
そう言って、彼女は少しだけ笑った。
笑っているのに、温度がなかった。
そのとき俺は気づいた。
この少女は、“迷子”なんかじゃない。
もっと別の何かだ。
駅の明かりが一瞬だけチカッと揺れた。
その瞬間――
俺の耳にだけ、声が落ちてきた。
『……この子に関わるな』
誰の声でもない。
でも確かに“聞こえた”。
俺は、ルナの方を見る。
彼女は何も気づいていない顔で、ただ夜を見ていた。
まるで最初から、ここが自分の居場所じゃないと知っているみたいに。
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## エピソード1の終わり
「名前を持たない少女と、聞こえてしまった」




