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--- ## 第2話 「同居人は、存在しないはずだった」



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## 第2話 「同居人は、存在しないはずだった」


朝。


目覚ましが鳴るより早く、違和感で目が覚めた。


リビングから、音がする。


俺の家は一人暮らしのはずだ。


恐る恐るドアを開けると――


そこには、ルナがいた。


昨日の夜、駅で出会ったあの少女が、

当たり前みたいにソファに座っている。


「おはよう」


何事もなかったかのような声。


「……なんでいるんだよ」


「行く場所がないから」


即答だった。


「いやいや、警察とか施設とかあるだろ普通」


「“普通”って、どこにあるの?」


その一言で、言葉が止まる。


ルナは悪びれる様子もなく、カップを手に取る。


「これ、飲んでいい?」


「勝手に冷蔵庫開けるな」


そう言いながらも、追い出せなかった。


なぜか、外に出したらいけない気がした。


学校へ行く準備をしていると、ルナがじっとこちらを見ていた。


「ついていく」


「は?」


「一人だと、また“消えそう”になる気がするから」


消える。


その言葉だけが、やけに引っかかった。


---


### 学校


教室に入った瞬間、いつもと違う空気があった。


友達が、俺を見ている。


でも、その視線の“焦点”が少しズレている。


まるで、俺の隣にいる“何か”を見ていないみたいに。


「お前、誰と喋ってるの?」


友達の言葉に、背筋が少し冷える。


「隣にいるだろ」


「……いや、誰もいないけど」


ルナはそこにいる。


なのに、誰も気づいていない。


ただ一人、俺だけが見えている。


---


昼休み。


屋上に逃げるように出ると、ルナもついてきた。


「ねえ」


「なんだよ」


「あなた、私のこと“見えてる理由”あると思う?」


「知るか」


「でも、たぶんそれ、偶然じゃない」


ルナは空を見上げる。


その横顔が、少しだけ寂しそうだった。


「私ね、この世界に“居場所”がない気がするの」


「じゃあどこから来たんだよ」


「それを思い出したら、多分……消える」


風が吹く。


その瞬間、ルナの髪がふわっと揺れて、

一瞬だけ輪郭が薄くなった気がした。


「おい……」


思わず手を伸ばす。


触れた瞬間。


ちゃんと、そこに“温度”があった。


ルナは少し驚いた顔をしたあと、小さく笑った。


「ほら。まだ大丈夫」


その笑顔が、妙に危うかった。


---


## エピソードタイトル


**「見えているのは、たぶん俺だけ」**


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