幼少期5
戦女神。
それは、トリハルト帝国の建国時代。
まだ小国で、たくさんの隣接する国々との戦が繰り広げられていた時代。
一人の少女が、戦場へ向かう恋人のために、
神殿へ籠り神々に恋人の無事を祈り続けた。
恋人は、少女の祈りのおかげで神々の祝福を受け
トリハルト帝国の建国の英雄となる。
英雄を支えた少女は、戦を勝利へと導く戦女神として人々に崇められ、大きな戦の無くなった現在でも、戦女神の像は我が国の信仰の対象である。
「・・・は?戦女神って、戦のない今の時代に?」
大きく拳を天に突き上げた私に弟は呆然と問いかけてきた。
その顔にはあきらかに、゛ばかなの?゛と書いてある。
相変わらず失礼だ。
「大きな戦はないけれど、私たちのリドル辺境伯領は、いくつかの国と隣接しているわ。そのうちの1つ、ガルネスト王国は新しく王が交代してから情勢が不安定だとお祖父様も仰っていたもの。」
そう、リドル辺境伯の爵位は既に父に譲られているが、父は帝国騎士団長でもあるため、王都を長く離れるわけにはいかない。
なので領地の運営は、前辺境伯である祖父が担っている。
その祖父が、ガルネスト王国をだいぶ警戒していたのだ。
楽観視はできないだろう。
「それは、僕も聞いているからわかるけど・・・だからって姉様がなぜ、戦女神を目指すのかがわからない。だいたい、姉様が神殿に籠ってひたすら無事を祈るとか想像できないんだけど??」
「やだ?!私がそんなのするわけないじゃない!!」
「え?だって戦女神になるって・・・」
混乱して目を白黒させている弟に私は顔の前で人差し指を立て、左右に振った。
「祈るんじゃなくて、私も一緒に戦うのよ。勝利は自分の手で掴みとるの!!」
そうだ。
祈ってるだけじゃ何も手にはいらない。
何かあった時のため、私自身が父や兄、弟と共に立って、母や領民を守れるようになりたい。
私がいれば、なんとかなる!と思ってもらえるくらい強くなりたい。
私の考える戦女神は、ただ神様に祈るか弱い少女ではなく、自分の力で守りたいものを守るのよ!!
なんと!!
ブックマークが増えてて嬉しい限りです。
ありがとうございます。
つたないですが、頑張っていきますのでよろしくお願い致します。