幼少期15
私が転生者だとみんなに知られてから何かが大きく変わるかと思っていたが、そうでもなかった。
あの日、話し合いの場には呼ばれなかったアークライトに、両親が説明をしたそうだが、弟は驚くことなくその事実を受け入れていたらしい。
後日言われた一言は、「姉様の事なら、今更ちょっとやそっとじゃ驚かないよ。」だった。
頼もしい弟をもったというべきか、私の普段の行動がやばいのか判断しかねるところだ。
あれからも、リドル家のブートキャンプは変わらず、絶対登れないだろう切り立った山々を登る訓練をしたり。(そして登れてしまうのが、加護を受けたリドルの血筋なのか・・・)
ちょっとあり得ないくらいの急斜面、岩肌を降りる訓練をしたり。
これ落ちたら絶対生死にかかわるよね?!!という際どい場所での訓練が続いた。
そして何より驚いたのは、リドル家が抱えている軍隊と呼ぶにふさわしいリドル国境警備隊と、私達と領民を守ってくれるリドル守備隊の方々が、普通にそんな訓練についてきている事。
「リドル家に仕えるには、このくらいできて当然です!!」
と、さわやかな笑顔で言い切る男たちにちょっと恐怖したけど、とても頼もしかった。
季節が冬から春に代わるころ、リドル領の北の山脈の向こう側、ガルネスト王国になにやら不穏な空気が流れ始めたと、警備隊の人たちが噂していた。
現国王は、とても好戦的であり野心家である。
国土はトリハルト帝国の半分くらいだが、内陸部にありトリハルト帝国との国境は険しい山脈に囲まれており、当然馬車が通れるような街道などない。
唯一人が通れるであろう道は、リドル領の北東の山道とつながっているが、正直ハイキングなんて生易しいものではない。日本で例えれば、アルプス山脈の登山と同じレベルだろう。
そして気候も雪の少ない盆地のリドル領とは違い、ガルネスト王国は雪深く冬が長い。そして現王になってから町の治安も悪くなり、商人が避けるようになったため町の暮らしは一気に悪化したらしい。
まだ、険しい山脈があるためガルネスト王国の人々がこちらへ雪崩れてくるようなことにはなっていないが、この状態が続くようであればいつかは・・・である。
それを踏まえて、私は祖父にある提案をしたら即導入されることになった。
そしていくつかの季節が過ぎ、リドル領にもまた春のあたたかな風が吹くころ、12歳となった私は兄とおなじトリハルト騎士養成学校への入学を果たした。
これにて幼少期は終わりで、学園編へ移ります。




