008 雫の危機
(工藤視点)
桑原義肢製作所に異変が起きていた。
所長の桑原が病気で引退して、大国のSE(ScienceElectro)社が桑原義肢製作所を買収して合併したのだ。
桑原義肢製作所は、解体されてSE社の支部として新しく大国の外人の所長と多くの外人のスタッフが増員された。
雫にとっては、データからの依頼を実行出来るなら会社全体の変化はどうでも良かったので桑原の事など気にせずに、いつも通り開発進めていった。
テスト用のプロトタイプの全身義体とデータに納品する為の全身義体が、あとは制御装置を組み込めば完成の所まで開発が終了した。
工藤が朝出勤すると、入り口にセキュリティーロックが掛かっており第三工作所が閉鎖されていた。
入り口には、工藤雫が第三工作所から第一工作所へ転属する旨の指示が書いてある張り紙がしてあった。
張り紙を手荒く剥がして、突然の変化に対して新しい所長へ工藤が文句を言いに行った。
「失礼します」
いつも見慣れた事務所には、桑原ではなく大柄のビジネススーツを着た新しく来た外国人の所長が工藤を待っていた。
「君が工藤雫さんですね。第三工作所勤務を外して第一工作所へ転属しましたが、何か問題でもありましたか?」
「僕が一人で一年間かけて開発した仕事から外された理由が知りたい」
「一年間? 一人で? ふむ」
深く考える仕草を新しく所長が大袈裟にした。
「もう一人ぐらいなら、大丈夫だろう。彼女からも情報を取ろう」
いつのまにか雫の背後に、もう一人の外人が現れて手に持っている注射器を雫の首筋に刺した。
雫は、意識を失った。
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