025 データの考察
(データ視点)
面接試験以降は、倉庫に戻って自分自身を人間に近づける為の義体の開発を再び再開した。義体の性能が上がっていても私自身の行動が人間らしくなくてはいけない。行動面の研究も今後は進めていきたい。
私の価値観では、人間と等しいと思っていても人間から見ると私の行動は人間らしくないようである。
ちょっとした散歩をして人間観察していても、信号が青になったら渡ると思うのだが、数人の人間は青になる前から渡り始める人間がいたり、赤でもそのまま渡る人間もいる。
店先で品物を値切る人間もいれば、そのまま買う人間もいる。
自動車もゆっくり法定速度内で走る人間もいれば、法定速度以上で走る人間もいる。
個人差? 各個人での生活背景や立場の差異なのだろうか?
ネットでSNSで書き込んで情報を集めるが、人間にとっては当たり前の事なのか私を納得させる回答は得られない。
今まで義体の動作や人間の価値観に関して相談をしてきていた雫はいない。
そういえば、雫は今何をしているんだろうか?
義体を離れてネットの世界に戻ると調べる。
前の事件で入院した後、退院後の行方が不明になっている。
意図的にデータを消された形跡を発見し復元して追跡する。
海外に出国した所まで追えたがそれ以降は、私のデーターベースにすら何も痕跡が残っていなかった。
だが、それによって居場所の予測はついた。
私のセキュリティーシステムを使用していない施設は限られている。
私のシステムを利用していない大きな施設をピックアップしていく。施設付近の生活圏内の監視カメラから総当たりで雫の顔認証をしていく。
とある施設付近で行動している雫を発見する。
その施設を調べる。セキュリティーが厳重であったが職員名簿を手に入れた。大国の軍事部門であるPH社の秘密開発施設で働いているようだ。
ん? 義体の動作の開発にお世話になった大国じゃないか?
人間は、世話になったらお礼を送るのが望ましいという話を思い出す。
私が入る義体が作動したので、過去の開発したプロトタイプは不要になっている。
非常用の一体を残して雫に匿名で送ることにした。
共同で作った頃よりも改良されているが、義体を受け取った時の雫の顔を想像すると少し嬉しいという感情が芽生える。
足が付かない様に、手配して雫にプロトタイプの義体を一体残して三体送った。
喜ぶ顔を見るために、義体の動作プログラムにブラックボックスで外部から動作はしないが、雫を認識したら私と連絡が取れるようにしたので、遠隔で雫と対応できる可能性もある。
重量の問題から船での輸送の為に到着まで時間はかかるが、ワクワクすると言う感情も湧いてくる。
時間経過が待ちどうしいと言う感情がこれなのかな?
数日して、倉庫に郵便物が届いた。
天帝高校の編入合格通知であった。
え? 色々な人間の感情を読み取って落ちた気がしたが合格していたのか?
人間の感情は読むのが難しいと考えながら、夏休み明けからの天帝高校編入の為の準備を始めた。
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