023 裏口編入
(学視点)
私は、天帝高校の校長だが、就任してから初めての異常事態を肌で感じている。
過去に卒業した、桑原と言う人物の子供が編入申し込みをしてきたのだ。
過去に天帝高校に編入してきた人物は二人いたが編入システム自体が、公にしているものではないにも関わらず不手際なく申し込みをしてきた。
編入方法を何処で知ったのかがわからない。
すぐに身辺調査させたが、桑原の隠し子であり既に母親が他界している子供であった。
書面上には、一切不備も見つからず今迄どのように生活していたのか謎であった。
義務教育課程も学校に行かずに在宅で取得している。
この制度自体が、高校の裏金を作る制度であって過去二回は、前校長の子供と有名な政治家の子供であった。
編入試験を受けるには、前もって数億円の寄付が必要だが入金済みである。
あとは、試験の点数を子供の両親と校長と話し合ってお金で買い取るシステムである。
いま、目の前に桑原データが面接試験会場へ来たのだが、てっきり金持ちのバックがいて付添人が一緒に来るかと思ったが本人しか来ていない。
書類では男子になっていたが、凄い美少女のような外見である。髪はショートで胸も無いので男子と言われればそうなのかもと思うが、女性の様な顔立ちだった。
教頭の青井に説明してから通すように言ってあるので、この部屋に入った時点で寄付金は受理された事になるが点数を買い取る交渉をどの様にすれば良いのか?
過去に点数の買取交渉に失敗して寄付金だけを受け取って門前払いした数十人の成金達の子供を思い出す。
用意した学生用の机と椅子にデータが座った時点で話しかけた。
「一人? 私は、この天帝高校の校長の柿原学だ。桑原データ君かな? これは実名かね?」
「父が、プログラムが大好きだったらしく、そのように名付けられたようです。今はやっているキラキラネームでしょうか?」
「お父さんの事は大変だったようだね。いまも入院中だと聞いている。思い出すような事を質問してすまなかった」
父親の桑原は元桑原義肢製作所の所長で、病気になる前にはかなりの資金がある事が分かっているが、今や意識が無いと言う事と母親が他界している点をかんがえると、裏などなく自分から申し込んできたのだろうか?
「お父さんの事は別にして、君の能力を図りたい。机の上の問題を全てやってくれ。時間は1時間だ」
「わかりました」
試験が終わったら、生徒を先に退出させて付き添いの親か代理人と点数の買い取り相談と言う流れが出来ない。
この試験は、落とす試験であって受かるわけがない難易度の試験である。
形だけでも実施して、寄付金だけもらって落とすしかないなと考えながら、データが必死に問題を解いている姿を見る。
早速、データが机の問題を解き始めた。
数分して異常を感じる。
問題に対して回答用紙に全く止まらずに書き込んでいるのだ。
専門の大学生でも解答するのが難しい教養課程である全範囲の問題を滞りなく解答する?
そんな馬鹿な?
出鱈目な回答を書き込んでいるのだろう。
ただ、その流れるような筆記が何故か私の目を釘付けにした。
50分後に手が止まった。
手を休めて、私を見る。
流石に諦めたのだろうか?
「……あきらめたのかい? 最後まで諦めないのが天帝高校のスタイルだからね。もう試験は終わりだ出て行きたまえ」
1時間経過前だったが、点数が買い取り出来ない時点でどうせ落とす予定だった。
時間の無駄だと考えて退室を強制した。
キョトンとした顔で、データが退出していった。
君には悪いが、代々校長が実施していた規則だからね。
さて、落ちた報告と寄付金の礼状だけ作成しなくてはいけないと考えながら、回答用紙を回収した。
「え?」
空欄などなく、まるでパソコンでプリントアウトしたかの様な綺麗な字で全て埋め尽くされていた。
数十枚の回答用紙と模範回答を比較する。
「え?」
回答用紙と模範回答がほぼ等しく、データが書き込んだ回答用紙の方が詳しく書いてある様にも見える。
「そんな馬鹿な!」
教頭の青井を呼び出して採点をさせる。
結果次第では、合格するのか?
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