010 エイジェントスミス
(スミス視点)
私は、大国の秘密工作員である。
コードネームはジョン・スミス。
今、初めて不可解な任務に就いている。
我が国の軍事開発における情報漏洩の可能性を調査して、万が一に情報が漏洩していた場合は漏洩した人物を速やかに秘密裏に消し去るのが任務である。
軍の開発でトップシークレットになっていた無音のモータや新型蓄電池などの七つの技術が、日本で特許として同時期に出願された情報を得たのでしらべると、すべの情報の出どころが桑原義肢製作所である事がわかった。
桑原義肢製作所からボトムアップ式に上にたどって行けば情報漏えいの犯人に辿りつく筈であった。
所長を拉致したところで、異常事態が発生した。
軍の開発スタッフから漏えいしたと思われる技術に関しての連絡が来たのだが状況が変わる内容であった。
我が国の技術を盗んだと思われていたが、盗んだとしても数年後の開発結果であって特許が取得された技術は、我が国の研究の先を行くものだったのだ。
情報漏えいではなく偶然同じ開発をしていた可能性と、かなり過去に我が国の情報を盗み出して我が国以上の規模で開発していたと言う事になる。
前者であれば拉致をしてしまった事は早まった行動になるし、後者であればバックにとんでもない存在が控えている事になる。
盗まれたと思われていた七つの技術が偶然同一だったとは考えられないため、拉致した桑原には悪いが強力な自白剤を使用してすべてを吐いてもらった。
結果は、後者の大きな存在が桑原義肢製作所に存在していて桑原義肢製作所は白(関係なし)であった。
桑原は薬で前頭葉が障害を起こして廃人になってしまったため日本の最高の医療施設に隔離して治療をさせている。
この製作所へ依頼してきている『データ』という存在が、すべての原点であることは桑原からの自供でわかったが、まったくの謎の存在である。
まだ開発段階で『データ』からの依頼が継続されているので、桑原義肢製作所をダミー会社に買収させて業務を継続し泳がせて尻尾をつかむ作戦を決行した。
私がチームリーダで、10人態勢で任務に取り掛かった。
結果は数週間観察したが、まったくしっぽがつかめなかった。
開発を観察していると開発担当の工藤雫と『データ』の連絡はメールと電話になるのだが、メールに関しては送受信記録やログがなぜか一切出ないのである。直接、工藤が使用している情報端末にメールを設置しているとしか思えない。
状況証拠だけでは工藤の自作自演の判定になってしまうが、それも不可能である。
送られてくる開発している全身義肢の資料は、一人の人物が製作したと思えないほどの量と質である。
工藤の行動は24時間監視しているが、そのような時間はなかった。
電話に関しても、電話会社に通信ログが残っていないのである。しかも盗聴しようとしても工藤の声しか録音できない。
工藤と『データ』が電話中に施設の電話線を意図的に切断したが、電話が中断されなかった。
これも状況証拠だけでは工藤の自作自演で電話を受けた真似をして独り言を言っていた事になる。
結局、工藤雫の存在が怪しい事にたどり着いた。
そして、拉致をして本部の一室に閉じ込めたところで、その読みが当たっていたのか異常事態が発生している。
工藤を閉じ込めた部屋に入れないのである。
セキュリティーロックが入っており、解除する事が出来ない。なおかつ、内部を監視カメラでみると誰もいなかった。
私は、何かに化かされいるのだろうか?
現在、ロック解除を試みているが成功していない。最終手段は物理的にドアを破壊する事になるがなるべく避けたいところである。
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