ユメの生活④ 短いデートもこれで終わり♪
2階に上がると、予想通り、ミオは角のベンチに腰掛けていた。
なんだか申し訳なさそうな顔をしているミオに、手を振りながら近付く。
「ごめんね、ちょっと休んでた。」
「ううん、大丈夫だよー!ねぇねぇ、ミオはどんな服が欲しい??」
「……いらない。」
「なんで?!どーして!!」
先ほどの申し訳なさそうな顔はどこへいったのやら…
「いらない」と言った時のミオは、なぜだか凄く嫌そうな顔をしていた。
「どうしてって……必要ないから?」
「だってミオ、いっつも同じ服着てるよ??」
「……別に誰にも迷惑かけてないし。」
うーん…
やっぱりミオは、ファッションには関心が無いみたいだ。
でも、せっかくここまで来たんだし、なんとか一着でも買って帰りたい…!
「せっかく美人さんなのに…!もったいないよ。」
「…つまり、私にお洒落を楽しめって言ってる?」
「そんな強制みたいなことじゃなくてさ。わたしはもっと色んなミオが見たいな〜♪」
「……その言い方はズルい。」
「じゃあ選びに行こ??」
「い……いやだ。」
ふむ。
これは重症かもしれない…
わたしだって、そこまで無理してほしいわけではないのだ。
「そっか…じゃあやめた。喫茶店でも行こ?」
「……うん。」
……
照明が暗めの喫茶店は、まだ時間が早いからか、ほとんどお客さんがいなかった。
ミオはアイスコーヒーで、わたしは、なんかキャラメルのやつ。
飲みながら話をしてたけど、ミオはいつもより生返事が多くて、少し考え事をしてるみたいだった。
やっぱり、服のことでちょっと言い過ぎたかな…?
理由は分からないけど、ミオにとっては嫌なことだったに違いない。
やっぱりさっきの事を謝ろう…と口を開いた時、ミオの方がわずかに早く言葉を吐き出した——
「ごめん…さっきの事。せっかくユメが私の為に提案してくれたのに。」
「えっと、いや、提案とかそんな大したことじゃないんだけどね…」
「私はさ、服には本当に頓着してなくて…なんというか、どうしても興味が持てないんだよね。だから、入店するのも選ぶのも辛い。」
「うん……そっか。わたしもごめんね。勝手に服を選んであげたいなんて、おせっかいだったよね。」
そうだ…
わたしが一方的に服を選んで着て欲しかっただけで、それって凄く自分勝手だったかも。
ミオはそんなこと望んでなかったのに。
そう思い至ったわたしは、申し訳ないやら情けないやらで…
そんな気持ちが溢れそうになって思わずうつむいてしまった——
「…そんなことないよ。服選びが嫌なのは、あくまで私の問題。こうやって私にお節介を焼いてくれるのはユメしかいないんだから…その気持ち自体は嬉しいんだよ?」
「……ほんと?」
「うん…だから、嫌な気持ちにはなってないよ。」
「そっか……よかった。」
テーブルを見ると、ミオはわたしの手を握ってくれていた。
こんな風に触れてくれるのは、かなり珍しい。
「ごめんねミオ、気を使わせちゃった。…もう大丈夫!」
「……小物ならいいよ?」
「えっ…?」
「ユメが何か買いたいなら、アクセサリーとかの小物なら一緒に見てもいいよ。」
「うん…わかった!じゃあ早く行こ♪混んじゃう前に帰りたいでしょ?」
……
その後、わたし達はお揃いのアクセサリーを購入した。
自分でも、かなり選ぶ時間がかかるかと思っていたけど…
不思議なことに、ミオとわたしはお店に入ってすぐ、同じブレスレットに目を吸い寄せられた。
白いレザーと金色のメタルが組み合わさったブレスレット。
ミオのクールなファッションにも、わたしのちょっと可愛い系なファッションにも絶対似合う。
手に取って隣を見ると、ミオも軽く頷いてくれた。
レジに行くまでに、どちらが払うかのバトルが勃発したけど、今回はわたしがプレゼントしたいんだと押し切った。
まぁ、正直そこまで高価なものではなかったんだけど。
……
今回のお出かけはこれでおしまい。
昼前には家に帰っていた。
ショッピングモールの滞在時間は2時間弱だったと思う。
お昼くらい食べて帰ればよかったのに…なんて思う人もいるかもしれないけど、それをしてたら多分ミオは疲れてしまっていただろう。
わたしは正直物足りないけど、デートをする時は物足りないくらいが丁度良いのだ。
そんな話をどこかで聞いた気がする。
今度の誕生日には、ネックレスかブローチでも贈ろうかな?
だって、小物ならいいって言ってたもんね♪




