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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第九十五話 「ネオンの夜」

 ノーマッド地区の夜。


 巨大物流道路の向こうで、

 ネオン広告が光っている。


 遠くには池袋高層区。


 赤と青の巨大ホログラム。


 感情市場の広告群。


 《感情安定薬》

 《AI恋愛補助》

 《Emotion Share Plus》


 世界は相変わらず、

 感情を売っていた。


 レンはコンテナ屋上へ座り込み、

 缶ジュースを飲んでいた。


「……静かだな」


 《EYES》が小さく光る。


『現在監視反応低下』


「奇跡か?」


 その時。


「レン」


 後ろから声。


 美玲だった。


 黒パーカー。


 長い髪。


 赤い瞳。


 ネオン夜景を背負う姿は、

 まるで都市の幽霊みたいだった。


「眠れないのか?」


「少し」


 美玲はレンの隣へ座る。


 しばらく沈黙。


 遠くでノーマッド輸送車が走っている。


 夜風が吹く。


 その時。


 美玲が静かに言った。


「……変な感じ」


「何が?」


「こんな風に」


「誰かとご飯食べたり」


「一緒に逃げたり」


 レンは少し笑う。


「逃げるのはどうなんだ」


「でも」


 赤い瞳が夜景を見る。


「嫌じゃない」


 レンは少し黙る。


 多分。


 今までの美玲には、

 こういう時間が少なかった。


 LUX。


 感情実験。


 財閥教育。


 世界最大配信者。


 全部が重すぎる。


 その時。


 《MAY-LIN LIVE》通知が出た。


『自動切り抜き再生数更新』


『総再生数:920億回』


「うわ」


 レンが引く。


「もう意味分かんねぇ数字だ」


 美玲は少し笑った。


「レン毎回叫ぶね」


「叫ぶだろ普通!!」


 コメント欄爆笑。


《平常運転》

《920億回》

《人類見てる》


 その時。


 《EYES》が新しい通知を出す。


《LUX内部通信傍受》


 レンの顔が変わる。


「……来た」


 青白い画面が展開される。



《LUX内部監査報告》


MAY-LIN現象危険度上昇


「感情自由化傾向確認」


「若年層影響率危険域」



 空気が少し冷える。


 美玲も画面を見る。


「……また始まるね」


 レンは頷く。


 池袋は終わっていない。


 LUXも。


 市場も。


 《MAY-LIN》をまだ監視している。


 その時。


 遠くの夜空で、

 巨大広告が点灯した。


《LUX》


『感情は管理されるべきです』


 レンは顔をしかめる。


「露骨だな……」


 だが。


 その隣の別広告が突然切り替わった。


 赤い龍。


 ネオンライブ。


 そして。


《MAY-LIN LIVE》


『感情は、生きている』


 美玲が少し驚く。


「……これ」


 《EYES》が解析。


『広告回線乗っ取り』


 レンは苦笑した。


「ハヤトか?」


 その時。


 コンテナ下から、

 ハヤトの笑い声が聞こえた。


「広告戦争も市場の基本だぞー!」


「遊び感覚で企業戦争するな!!」


 ネオン都市の夜。


 感情市場戦争は、

 まだ始まったばかりだった。

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