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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第七十五話 「十億人の共鳴」

《EMOTION LINK MODE》


 赤い龍と、

 青白い感情波が重なり合う。


 感情海。


 池袋全域のEmotion Crashが、

 少しずつ鎮まり始めていた。


 赤黒いノイズが剥がれる。


 怒号が消える。


 歓声が、

 ただの“声”へ戻っていく。


 《EYES》が通知を出した。


『Emotion Crash減少率:32%』


 レンは息を呑む。


「……本当に押し返してる」


 だが。


 負荷が重い。


 10億人以上。


 人類規模の感情接続。


 レンの脳が悲鳴を上げていた。


 頭痛。


 吐き気。


 他人の感情が、

 洪水みたいに流れ込んでくる。


「ぐっ……!」


 《EYES》が警告を連打。


『神経負荷危険域』


『人格境界維持低下』


 その瞬間。


 レンの手を、

 美玲が強く握った。


「レン」


 暖かい。


 それだけで、

 感情の濁流が少し遠ざかる。


「……お前」


「何」


「なんで平気なんだよ……」


 美玲は少し考えて。


 そして。


「慣れちゃったから」


 レンは言葉を失う。


 この少女は。


 ずっと、

 世界中の感情に晒され続けてきた。


 孤独。


 期待。


 熱狂。


 憎悪。


 全部。


 全部背負って、

 笑っていた。


 その時。


 《JOKER》が苦しそうに叫ぶ。


『なんでだ……!』


『なんでそんな繋がり方ができる!!』


 感情怪物が崩れていく。


 炎上。


 憎悪。


 依存。


 それらが、

 《MAY-LIN LIVE》の光へ押し流される。


 だが。


 《JOKER》はまだ立っていた。


『人間は孤独だ!!』


『だから数字を求める!!』


 レンは静かに言う。


「……違う」


 青白い《EYES》が光る。


「数字が欲しいんじゃない」


「誰かに見つけてほしかったんだろ」


 空気が止まる。


 《JOKER》の瞳が揺れる。


 感情海全体が震えた。


 その時。


 美玲が前へ出る。


 赤い龍を纏い、

 《JOKER》へ手を伸ばす。


「終わりにしよ」


 静かな声。


「もう」


「壊れる配信やめよう」


 感情海が静まる。


 10億人以上が、

 その言葉を聞いていた。


 《JOKER》は震える。


 怒り。


 孤独。


 悔しさ。


 全部が混ざった顔だった。


 そして。


 小さく笑った。


『……負けたよ』


 その瞬間。


 池袋感情コアが崩壊を始める。


 ドォォォン!!


 赤黒い海が砕ける。


 Emotion Crashが消えていく。


 ネオン都市の空へ、

 本来の青白い光が戻ってきた。


 《EYES》が表示する。


『池袋感情汚染:急速収束中』


 レンは力が抜ける。


「……終わった?」


 その時。


 《MAY-LIN LIVE》の数字が、

 さらに更新された。


『登録者数:6億3000万人』


『同時接続:13億8000万人』


 レンは数秒黙って。


 そして絶叫した。


「だから増えすぎなんだよぉぉぉ!!」

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