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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第六十九話 「数字の怪物」

『俺達と何が違う?』


 《JOKER》の声が、

 感情海へ響き渡る。


 ドクン。


 ドクン。


 池袋感情コアが脈動する。


 赤黒い海。


 無数のコメント。


 怒号。


 承認欲求。


 全部が、

 一つの怪物みたいだった。


 レンは息を呑む。


 《JOKER》の言葉。


 それは。


 痛いほど核心だった。


 《MAY-LIN》もまた、

 世界中の感情を集めている。


 4億6000万人。


 7億同接。


 人類規模の熱狂。


 その中心にいる。


 《JOKER》は笑った。


『配信者ってのはさ』


『感情を喰う怪物なんだよ』


 感情海が揺れる。


 世界中のコメントが流れ込む。


《もっと見たい》

《刺激くれ》

《熱狂させろ》


 レンは理解してしまう。


 視聴者もまた、

 感情へ依存している。


 その時。


 美玲が静かに前へ出た。


 赤いネオンの輪郭。


 感情海の中心。


 彼女だけが、

 妙に静かだった。


「……違うよ」


 《JOKER》が笑う。


『何が?』


 美玲は赤黒い海を見る。


「確かに」


「配信は感情を集める」


 赤い瞳が揺れる。


「でも」


 その瞬間。


 《MAY-LIN LIVE》が輝き始めた。


 赤い光。


 世界中のコメント。


 7億人の視線。


 それが。


 感情海の中で、

 暖かい光へ変わっていく。


 レンは目を見開く。


「……これ」


 《EYES》が解析する。


『Emotion Crash抑制反応』


 美玲は静かに言った。


「私は」


「誰かを壊すために繋がってない」


 空気が変わる。


 感情海の色が、

 少しだけ薄くなる。


「寂しい人が」


「少しでも笑えるなら」


「それでいい」


 沈黙。


 《JOKER》の笑みが少し止まる。


 レンは気づく。


 美玲は。


 世界最大の配信者なのに。


 本当に欲しいものは、

 数字じゃない。


 “誰かとの繋がり”なんだ。


 その瞬間。


 感情海が暴れた。


『綺麗事だ!!』


 《JOKER》が叫ぶ。


 赤黒い波が爆発。


 巨大な感情怪物が襲いかかる。


『人間はもっと醜い!!』


 怒号。


 炎上。


 憎悪。


 全部が美玲へ向かう。


 だが。


 彼女は動かなかった。


「レン」


「……何」


「配信繋いで」


 赤い瞳が真っ直ぐ向く。


「今から」


 《MAY-LIN LIVE》のUIが変形する。


 赤い龍みたいな光が広がる。


「池袋の感情を塗り替える」

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