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『NEO横浜電脳租界 〜違法感情AIと美少女配信者〜』  作者: 神代零


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第三十一話 「一億人の朝」

 朝。


 NEO横浜電脳租界は、

 完全に壊れていた。


「……なんだこれ」


 レンは呆然と呟く。


 窓の外。


 九龍街。


 通勤ドローン。


 大型モニター。


 全部が《MAY-LIN》一色だった。


《登録者1億人突破》

《都市を救った少女》

《感情同期事件の真実》

《MAY-LIN LIVE》


「ニュース全部お前じゃん……」


「……やめて」


 美玲はソファへ顔を埋めていた。


 珍しく完全にぐったりしている。


 配信部屋の大型モニターには、

 世界中のトレンドが表示されていた。


#世界感情同期

#MAYLIN

#九龍街の奇跡

#レン誰


「最後なんなんだよ!!」


「愛されてるね」


「雑すぎる!」


 だが。


 笑っていられる空気でもなかった。


 昨夜の都市規模感情同期事件。


 その影響で、

 NEO横浜全域が軽い混乱状態になっている。


 街では。


* 集団熱狂

* 感情酔い

* 一時記憶混乱

* 同調暴走


が各地で発生していた。


 完全に社会問題だ。


 レンは頭を抱える。


「これ絶対ニュース案件だろ……」


「もう世界ニュース」


「スケールでかすぎる!」


 その時。


 部屋中央モニターへ、

 新しい通知が映る。


《LUX公式声明》


「うわ出た」


 周天宇の顔。


 白スーツ。


 銀縁眼鏡。


 相変わらず腹立つ。


『昨夜の感情同期現象は、違法感情AIによるテロ行為です』


「おい」


 レンの顔が引きつる。


『LUXは被害者であり、現在捜査へ全面協力しています』


「いや絶対お前らだろ!?」


 コメント欄も荒れていた。


《は?》

《責任転嫁》

《LUX終わってる》

《でも証拠なくね?》


 レンは嫌な顔をする。


「……世論操作始まった」


「来ると思った」


 美玲はソファから起き上がる。


 その顔は、

 もう《MAY-LIN》のものだった。


「ここからが本番」


「本番?」


「配信戦争」


 レンが固まる。


「なんだその嫌すぎる単語」


 美玲はモニターを操作する。


 瞬間。


 大量の切り抜き動画が表示された。


《MAY-LIN危険説》

《感情テロ配信者》

《都市洗脳》


「うわぁ……」


 レンが本気で引く。


「AI生成デマも混ざってる」


「早いな!?」


「一億人市場だから」


 美玲は冷静だった。


「企業も個人も群がる」


 その時。


 《EYES》が警告を出す。


『感情誘導型ニュースを検知』


「ニュースまで感情同期利用してんのかよ……」


 レンは吐き捨てる。


 だが。


 美玲は小さく笑った。


「だから配信者は戦うの」


「何と?」


「世論と」


 その瞬間。


 部屋のドアが突然開いた。


「メイリン!!」


 飛び込んできたのは、

 一人の小柄な少女だった。


 金髪メッシュ。


 派手なARゴーグル。


 巨大パーカー。


 そして。


 両手に配信機材。


「大炎上してるじゃん!!」


 レンは目を瞬かせる。


「……誰?」


 少女はニヤッと笑った。


「池袋北環状区配信同盟所属!」


「《LAN-LAN》こと周藍華!」


「助けに来たよ、《MAY-LIN》!」

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